例年7月の半ばを過ぎると、そろそろ田んぼの様子が気になり、そわそわし始める。田んぼ巡りの醍醐味は、何と言っても、四季折々の伸びやかな田園風景、春の渡り、秋の渡りのときのシギ・チとの出会いであろう。
私の好きなシギのひとつがエリマキシギである。エリマキシギに初めて出会ったのは、野鳥に関心を持つようになって、まだ日が浅い頃、茨城の蓮田であった。あのとき、オオキアシシギが出ていて、オオハシシギ、タカブシギ、ハマシギなど教えていただいたが、シギとは、何と難しい鳥であろうとの印象しかなかった。
今、エリマキシギに出会うと心が弾む。あの当時を思うと信じられないことである。今回、エリマキシギ♂に出会う機会があった。遠目にも黒くて目立つ個体であった。襟の部分は、抜け落ちていたが、夏羽の名残りが残っている。シギ・チに精通した方のお話では、肩羽と雨覆いの一部に新しい冬羽が見られるという。エリマキシギに出会うと、田んぼ巡りが一層楽しくなってくる。