昨日、久しぶりに沼のほとりを回ってみた。夏草が生い茂り、人が歩いた形跡が見られない。葛の花があちこちで咲いている。釈迢空の名歌「葛の花 踏みしだかれて 色あたらし この山道を行きし人あり」を思い出しながら、しばし歩く。沼の方へ飛んで行くのは、カワウ。他の鳥の姿も声も聞こえず寂しい沼のほとりだ。
これほど鳥に出会えないのは、あまりに寂しい。ここまで来たのだからモモイロペリカンのカンタ君に会っていこう。カンタ君は、お立ち台のようなところで、つまらなそうな顔をしてポツンと立っていた。400mmレンズなので、かなり遠くから写真を撮っていたのだが、夫が、「カンタ君の目、綺麗だよ。」というので、少し近づくと思いがけず羽を広げてくれた。そのあと、色々なポーズで大サービス。やはり褒められると嬉しいらしい。私には、そう思えた。沼のほとりは、相変わらず静かである。