[ 2017年の思い出 ]
- マガン Greater White-fronted Goose
- 伊豆沼の朝は、太陽が昇り始める前から、動きがあります。それは、マガンやヒシクイが、ねぐらにしているからです。彼らは、日の出を待たずに動き始め、餌場である田んぼへ向かう準備を始めます。賑やかな声は、夜のとばりの中でも聞こえますが、飛び立つ前には、いっそう、大きな声になります。
- 空が白み始める頃、気の早いマガンが飛び立ち始めます。刻一刻と変わっていく伊豆沼の朝。太陽が昇り始めるとマガンの声は、いっそう大きくなり、その羽音と共に、たくさんのマガンが飛び立って行きます。忘れられない思い出のひとこまです。
- ヤマドリ Copper Pheasant
- キジ Common Pheasant
- 日本の国鳥であるキジ。春先になると田んぼで多く見かけるようになります。キジの雄は、華やかで、目を惹きます。太陽の当たり具合によって、緑、紫、紺色が、微妙に変わり、その美しさは、はっとするほどです。「雉も鳴かずば打たれまい」ということわざがありますが、キジは、縄張りを主張するために「ケン、ケーン」と鳴きます。そのとき、羽をバタバタとさせ幌うちをします。その姿は、魅力的で、キジ雄の姿を、いっそう美しく見せているように思います。
- 早春の田んぼで出会ったキジ。幌うちをする姿が、印象的で、目に焼き付いております。
- オオルリ Blue-and-white Flycatcher
- 日本三鳴鳥のひとつと言われるオオルリ。姿もその色も鳴き声も美しく、シーズンを迎えると会いたくてソワソワします。春の渡りで、近隣の公園を通過するとき、出会える機会もあるのですが、声を聞くことは出来ても、姿を写真に収めることは、結構難しいものです。
- 少し足を伸ばしてみると、芽吹き始めた木々の間から、オオルリの声が聞こえて来ます。辺りを見渡すと、ほんの一瞬、オオルリの姿が見えました。しばらく様子を見ていると、程よい位置に姿を見せてくれたのが、このオオルリです。出来れば、背中の瑠璃色が撮りたかったのですが、この後、飛び立ってしまい、ちょっと残念です。また、いつかオオルリにゆっくり出会いたいものです。
- ソリハシセイタカシギ Pied Avocet
- 足が長く、白と黒のツートンカラーが、美しいソリハシセイタカシギ。アボセットと呼ばれることも多いのですが、嘴の反り具合とセイタカシギに似たスタイルは、ソリハシセイタカシギと呼ばれる方が、似合っているでしょうか。
- 数年前、茨城県で出会ったことがあるのですが、今回は、千葉県での出会いです。蓮田にたくさんセイタカシギが抱卵しているところに、1羽のソリハシセイタカシギが、舞い降り、皆を楽しませてくれました。時々、セイタカシギとの諍いもありますが、居心地が良さそうでした。朝の光の中で、その姿をゆっくり観察することが出来、心に残るひとこまとなりました。
- セッカ Zitting Cisiticola
- ♪ヒッヒッヒッ♪チャッチャッチャッチャッ♪賑やかな声が稲田のほうから聞こえて来ます。春から夏の暑さが本格的になる頃まで、田んぼでは、この賑やかな声をたっぷり聞くことが出来ます。
- この日は、不思議なことにセッカの賑やかな声が、全く聞こえて来ませんでした。見事に実った稲穂を眺め、写真を撮っていると、小さな鳥が飛んで来ました。一瞬、スズメかと思いましたが、大きさが違います。色も少し白っぽい。双眼鏡をのぞいてみると、なんとセッカです。鳴き声もせず、突然現れたのですから、ビックリです。まだ幼さが残る印象でした。嬉しく思いがけない出会いのひとこまです。
- ツミ Japanese Sparrowhawk
- 桜の咲く頃に飛来すると言われているツミ。近年は、日本にとどまり渡って行かない個体も見かけるようになりましたが、若葉が色濃くなって来る頃、ツミの声を聞くとほっとします。ここ数年、ツミを観察している公園に足を運んでみました。到着とほぼ同時くらいに、あの懐かしい声が聞こえて来たのです。それは、懐かしい友人にでも会ったような何とも嬉しい気分でした。やがて雛が生まれ、無事に大きくなり元気に飛び回るようになりました。夏の日差しの中、元気に飛び回るツミ。暑さを忘れる懐かしい思い出です。
- タマシギ Greater Painted Snipe
- 初めてタマシギに出会ったのは、10数年前のことです。まだ鳥のことは、ほとんど何も分かっていない頃でした。田んぼを回っていると早苗の揺れる田んぼに2羽の鳥がいました。それは、タマシギの雄と雌だったのです。初めての出会いが、あまりにラッキーでしたので、タマシギには、いつでもすんなり会えるものと思ってしまいました。ところが、その後、なかなか出会いがありません。シギ・チを探しに出かけた帰りのたんぼ道。何とも嬉しい出会いが待っていてくれました。久しぶりに見るタマシギの親子です。ほのぼのと心和む光景でした。
- スズメ Eurasian Tree Sparrow
- 身近な鳥の代表とも言えるスズメ。出会う機会は多いのですが、撮影となりますと、そう簡単には参りません。スズメは、可愛くて大好きなのですが、警戒心が強く、そっと近づいても、すぐに飛ばれてしまいます。鳥との出会いの少ない時期に、私は、好んでスズメにレンズを向けます。この日も、あちこちの田んぼを回ってもお目当てのシギ・チに会えない日でした。すぐ目の前で、スズメが何とも愛らしいポーズをしてくれたのです。何とも嬉しい出会いでした。心に残るひとこまです。
- チュウサギ Intermediate Egret
- 私は、好んで田んぼ周りをします。一番の目的は、春の渡り、秋の渡りで、渡って来るシギたちとの出会いを楽しみにしているからです。しかし、ここ数年、残念なことにシギ・チの飛来数が、激減しております。加えて、他の鳥たちの姿も、ずいぶん少なくなっているように思います。
- 田んぼでは、サギ類を時折見かけますが、稲の収穫の時期を迎えると一層、その数が増えて来るように思います。ずっしりと実った稲穂、その上に、真っ白なサギの姿は美しいものです。この日の出会いは、チュウサギでした。黄金色の稲穂の上に純白のドレスをまとったチュウサギ。秋の光景にふさわしいひとこまと思いました。
- コゲラ Japanese Pigmy Woodpecker
- 公園や近隣の林、遊歩道などでも見かける機会の多いコゲラ。ところがいざ撮影となりますと、背景などを考え、案外難しいものです。この日、馴染みの公園を歩いていると、例の♪コンコンコン♪という音が聞こえて来ました。「あっ!コゲラの大工さん!」と思い、探してみると桜の木のそばに、コゲラの姿を見つけました。そのコゲラが飛んで、なんとキノコの生えたところに飛び移ったのです。キノコの生え具合が、なんとも風情があり、嬉しくなって、何枚もシャッターを押してしまいました。嬉しく楽しいコゲラとの出会いでした。
- シマフクロウ Blakiston's Fish Owl
- 日本最大のフクロウと言われるシマフクロウ。アイヌ語では、「コタン・コロ・カムイ」と呼ばれ村の守護神としてあがめられて来ました。今、絶滅が心配されています。そのシマフクロウに会いたくて、何度か北海道を訪れました。今は、禁止されたストロボが、まだOKの頃に出会ったシマフクロウ。その大きさと存在感。神秘的な眼差しと風貌。暗闇の中で、その姿は、神々しく、アイヌの人々が、村の守護神とされているそのお気持ちが十分分かる重々しさがありました。忘れらない思い出のひとこまです。
長い間の夢であったアネハヅルとの出会い。その夢が叶った日、その足で、向かったのが筑波山でした。久しぶりにハギマシコに出会い、気を良くしていると、さらに不思議な出会いが待っていてくれました。なんと目の前にヤマドリの姿。あまりに近すぎて、ファインダーに入りきれません。全く偶然の出会いでしたから、ほんの数人の方とレンズを向けていたのですが、どんどんヤマドリが近づいて来るのです。こんなに長い尾のヤマドリは、剥製でしか見たことがありません。ドキドキしながら、夢の中かと思いながらの撮影でした。