タイトル:九羽の白鳥 鳥たちの広場

[ 2018年の思い出 ]

  • コミミズク
  • コミミズク Short-eared Owl
  • 暑い夏の日差しのもとでは、青々とした草が勢いよく伸び、辺り一面緑、また緑の世界であったが、枯れ草色が広がる世界に一変している。賑やかなセッカの声を聞き、爽やかなコジュリンの声を遠くに聞きながら、小鳥たちの姿を探した夏をふと思い出す。
  • 淡いベージュ色を一面に敷き詰めたような冬枯れの草原。聞き慣れない奇妙な声を聞き、空を仰ぐと2羽のコミミズクの姿。威嚇しているのだろうか。初めて見る光景に一瞬、たじろぐ。しばらく様子を見ているとコミミズクの動きが、実に活発である。明るい時間帯にこれほどの光景が見られるとは思っていなかっただけに嬉しさは、格別。少し白味を帯びた綺麗なコミミズクが近づいて来る。
  • コミミズクとの懐かしい思い出のひとこまである。
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  • オオマシコ
  • オオマシコ Pallas’s Rosefinch
  • 鳥に関心を持つようになったのは、手賀沼のコブハクチョウとの出会いがきっかけであるが、その世界に導いてくださったたくさんの方々のことは、決して忘れてはいない。見るものすべてが新鮮でキラキラ輝いていたあの頃。薔薇色の綺麗な鳥がいると教えてくださった方に出会った。
  • 当時、私の手元には野鳥図鑑は、1冊しかなかった。その図鑑を見ると薔薇色の綺麗な鳥の名前がオオマシコということが分かった。そしてオオマシコがいるという山道を案内してくださったのである。その山道には、ハギの実があった。ハギは、オオマシコの大好物である。込み入ったハギの間に、まさしく薔薇色のオオマシコが姿を見せたとき、私の胸は、あまりの嬉しさに苦しくなってしまったほどであった。
  • 寒さの中で出会ったオオマシコ。嬉しく懐かしい思い出のひとこまである。
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  • メジロ
  • メジロ Common Pheasant
  • 河津桜の咲く頃、いつも出会いを楽しみにしているのがメジロである。メジロの声は、通年で聞く機会があるが、その姿をじっくり見る機会は案外少ない。数年前まで、近くの神社の河津桜にメジロがたくさん姿を見せ、楽しませてくれたのだが、どうしたことか一昨年からメジロの姿を全く見かけなくなった。一体、何が原因なのだろうか。
  • 河津桜にメジロの姿を想像しながら歩いていたある日。何と近くの河津桜で♫チィーチィー♫と鳴くメジロの姿を見かけたのである。河津桜が、程よく咲き、2羽のメジロが、嬉しそうに蜜を吸う。嘴を黄色く染めて、何とも微笑ましい姿である。
  • 早春の日差しが降り注ぐ日の嬉しい出会いのひとこまである。
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  • オオハシシギとエリマキシギ
  • オオハシシギとエリマキシギ Long-billed Dowitcher & Ruff
  • 田んぼで見られるシギ・チに関心を持つようになって何年になるだろう。春のお彼岸の頃から5月の連休の頃まで蓮田や田んぼに飛来して羽を休め栄養補給していくシギたちの姿にどれほど心癒やされたことだろう。振り返っても思い出は、つきない。
  • 4月末の蓮田で出会ったオオハシシギとエリマキシギの姿も、その思い出の中のひとつである。この日の蓮田は、水面がとても静かで夏羽のオオハシシギの姿を綺麗に映していた。すぐ近くには、エリマキシギがいて、休んでいたのだが、しばらく待つと2羽が並んでくれたのだった。
  • 春の渡りにしても秋の渡りにしても、シギ・チの飛来数が減り、何とも寂しい限りである。また、いつの日か蓮田の賑わいを見せて欲しいものである。
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  • トラフズク
  • トラフズク Long-eared Owl
  • 木々の緑が辺り一面を覆い尽くすような季節を迎えると、出会いを楽しみにしている鳥がいる。そのひとつがフクロウであり、もうひとつがトラフズクである。フクロウは、巣立ったばかりの雛や、親鳥にも何度か出会ったことがあったが、トラフズクは、なかなか機会がなかった。
  • そのトラフズクに静かな静かな林の中で出会った。親鳥は、離れた高い木の上にいたのだが、巣立ち雛が2羽、かなり近い位置にいる。しかし、手前の枝が視界を遮りなかなか思うようにはいかない。それでも2羽が、「何かご用?」とでも言うように、こちらを向いてくれた。短時間で引き上げたが、思いがけない嬉しい出会いであった。
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  • コジュリン
  • コジュリン Japanese Reed Bunting
  • 田んぼ回りを好んでする私だが、シギチとの出会いの他に楽しみにしているのが、コジュリンとの出会いである。♫チョッピチュリリリピッ♫田んぼの奥の方から、爽やかなコジュリンの声が聞こえて来ると、胸の鼓動が速くなり、辺りをじっくりと見渡すのである。
  • コジュリンの声は、実に良く通るので、声が聞こえてもかなり遠くにいることが多い。そのコジュリンが、何とか撮影出来る位置にとまっていると、そわそわしてしまう。この日は、思いがけず緑の草の上に乗っているコジュリンの姿を見かけ、大いに慌ててしまった。背景も申し分ない。何とも嬉しい出会いであった。
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  • コアジサシ
  • コアジサシ Little Tern
  • 太陽の輝きが、一段と強くなり始める頃、ハマヒルガオの咲く海辺で、コアジサシの姿を探すのが楽しみだった。遠くからそっとそっと近づいてコアジサシの様子をうかがう。威嚇されないように、そっとそっと。あの海辺で、コアジサシの姿が見られなくなって久しい。あちこちの営巣地で、コアジサシの姿が消えたという。何とも寂しい限りである。
  • しかし、この夏、思いがけずコアジサシの姿を見ることが出来た。数は少なかったが、コアジサシの姿を久しぶりに見て心が弾んだ。良く見ると、コアジサシ幼鳥が2羽、草の陰をちょこちょこ動いている。雛の姿を見ることは叶わなかったが、嬉しく心に残る夏の日の思い出である。
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  • アオバズク
  • アオバズク Brown Hawk-Owl
  • 青葉若葉の季節に子育てのため日本に飛来するアオバズク。神社・仏閣などの大きな木の洞に営巣する。初めてアオバズクを見たのは、東京都のある神社の境内であった。洞は、程よい高さにあって巣立ちが近づくと雛の姿が良く見えた。初めて訪れた日は、親鳥2羽が枝に並んでいて、あまりにあっけなくアオバズクを見ることが出来たのだった。
  • その後、アオバズクは、あちこちで出会いがあり、思い出はつきない。親鳥と巣立ったばかりの雛が並んだこの1枚は、ひっそりとした神社の境内で出会ったものである。金色の目が何とも魅力的で、シーズンを迎えると一度は会いたいと願うアオバズク。来季も元気な姿を是非、見せて欲しいものである。
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  • ノビタキ
  • ノビタキ Common Stonechat
  • 暑い夏の日差しを受けて黄金色に輝いていた稲田。見渡す限り稲穂が揺れる様は、何とも美しく心惹かれるものがある。その稲田もコンバインが入り、収穫が進んで行く頃、姿を見せてくれるのがノビタキである。夏羽と違い、地味で目立たないが、そのシックな色合いが大好きで、出会いを心待ちにしているのである。
  • 数年前までは、田んぼを一回りすると、稲穂にとまったノビタキや野の草にとまったノビタキの姿を簡単に見つけることが出来たのだが、今では、すっかり寂しくなり、ごく希に出会いがあるだけになってしまった。この1枚は、土手沿いの田んぼを回っているときに出会ったノビタキで、少なくとも近くに3羽のノビタキの姿があった。あの日のような出会いは、もう夢物語なのだろうか。是非、また会いたいものである。
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  • スズメ
  • スズメ Eurasian Tree Sparrow
  • 田んぼで良く出会う鳥のひとつがスズメである。私は、田んぼが大好きで四季を問わず良く田んぼ回りをする。一番楽しみにしているのは、春の渡り、秋の渡りのとき栄養補給のために立ち寄り、羽を休めていくシギたちの姿を見ることなのだが、それにも負けないほどスズメとの出会いは、楽しみである。
  • 群れで見ることが多いスズメだが、何故か田んぼが寂しくなって来ている。街中のスズメは、かなり数を減らし、見かける機会が少なくなっていると聞くが、田んぼのスズメも数を減らしているのだろうか。ハヤブサやオオタカが、スズメがたくさん集まっている草地や葦原に突っ込んで行く様を見たことがあるが、それが原因とは思えない。
  • 2羽のスズメがのんびりくつろいでいるこの1枚。回りには、たくさんのスズメがいて、♫チュンチュン♫と元気な声で鳴いていた。
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  • マヒワ
  • マヒワ Eurasian Siskin
  • 公園に華やかさを添えていたモミジバフウの葉がすっかり落ち、辺り一面モミジバフウの葉で埋もれるようである。とげとげの実も落ちている。秋の深まりを感じさせる光景に見とれていると何やら鳥が飛んできた。一瞬、カワラヒワかなと思ったが、良く見るとマヒワのようである。
  • 地面で啄む姿も見られたが、何とか木にとまったところを撮りたいとしばらく様子を見ることにした。回りには、どなたもいなくてゆっくり観察出来る。しばらくすると、程よい位置にマヒワが姿を見せてくれた。かなりリラックスしている様子で、思い切り羽を伸ばしている。マヒワのこのような姿は、初めて見るので、内心どきどきしながらの撮影であった。懐かしい思い出のひとこまである。
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  • アカゲラ
  • アカゲラ Great Spotted Woodpecker
  • お誘い頂いて出掛けた高原。それほど標高は高くはないのだが、思いがけず辺り一面銀世界であった。雪国の方々のご苦労を思えば、雪景色が大好きなどとの言葉を発するのは、ためらわなければいけないのだろう。しかし、私は、雪景色を見るのが大好きである。
  • 辺り一面の銀世界。何だか嬉しくなってワクワクした気分で辺りを見渡す。前方を鳥が飛んだ。見通しの良いところなので、鳥の行方は、すぐに分かった。双眼鏡で見るとアカゲラのようである。こちらの体が丸見えなので、かなり注意深く腰をかがめて接近する。何とか雪の影に隠れながら撮ったこの1枚。懐かしい思いがこみ上げてくる。