[ 俳句 ]
- 山眠る大空に舞ふ鳥一羽
- 時雨るゝや車のライト点滅す
- 月冴ゆる透きとほりたる母の歌
- 時雨るゝや風のささやき母のこゑ
- 冬青空真つただ中に我ありて
- 筑波嶺の眠れる姿父の影
- 寒木瓜や紅やわらかに日暮をり
- 花八手父の匂ひのしてをりぬ
- 冬木立父の足音遠くなり
- 十二月八日星のまたたき見てをりぬ
- 白息や通学の子の急ぎ足
- 真冬へのページをめくる木々のこゑ
- ちゃんちゃんこ母のぬくもり肩にあり
- 街路樹の色鮮やかに夕時雨
- 冬ざれや夜空に在りし父の貌
- 遠き日の埋火恋し母のこゑ
- 月冴ゆる心の底に父ありて
- 真冬へのページをめくる木々のこゑ
- 白鳥の群れて真白き本埜村
- 小さき鳥チーチーチーチー冬の空
- 落ち葉踏む音奏でたる小径かな
- 冬帝や通りの角までお出迎へ
- ふくろふの呟き父のこゑ似たる
- 楓の葉いろさまざまに冴えてをり
- コーコーと白鳥鳴くや本埜村
- 冬日差す木立ちに一羽鳥の影
- 信濃より頬を染めたる冬りんご
- 寒雀弁天様のお気に入り
- 寒雀身を膨らませご挨拶
- 冬紅葉日暮れ残して日暮れかな
- 鴨集ふ夫の笑顔や空晴れて
- 雲ひとつ浮かびて今日の寒さかな
- 熟柿あり両手で包む故郷よ