[ 俳句 ]
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- 糸蜻蛉ハートを描く儀式かな
- 初秋や雲柔らかに筑波山
- 風の色変わりし朝や秋立ちぬ
- 紅芙蓉ソフトクリームのごと空を突く
- シギの群れ遠くに見えて空広し
- 鴫立ちて描く波紋や世界地図
- カーテンの揺れたる先や小鳥来る
- 金色に輝く稲穂海のごと
- 三尺の父そこにいて良夜かな
- 色なき風そつと耳元撫でてゆく
- 杖の先蜻蛉とまりて小休止
- 夏草に道ふさがれて空高く
- 空と田とひとつになりて秋立ちぬ
- 栗の実のはじけさうなる昼下がり
- 台風禍曇の間に間に浮かぶ貌
- 台風禍ラーゲリの書の胸を突く
- 母の持つ絵筆の先や曼珠沙華
- 柿の実の色様々に小さき手
- 空広しひ-ふ-み-よ-鴫の群れ
- 句づくりに四苦八苦する夜長かな
- 雲描く形さまざま鳥渡る
- 街路樹の色づく朝や小鳥来る
- 百舌鳴くや筑波の嶺にかかる雲
- 幼子の手の伸びる先柿たわわ
- 鴫集ふ田の広がりや風渡る
- 北極星目指して飛ぶや渡り鳥
- 母恋ふや天を突くごと鵙高音
- 天高し風のささやき子守歌
- 手を拡げ胸いつぱいに秋の風
- 渡り鳥また逢えたねと夫の貌
- 鴫立つや風の向かうに友のゐて
- 鴫立つや鏡の中に母のゐて
- 学ぶことあまりに多き夜長かな
- 後の月考えたる句全部没
- 鴫立つや眠れぬ夜の独り言
- 文机に父の声あり後の月
- けらつつきこんこんこん子守歌
- 味噌の香に母恋ふ朝や秋の風
- 塩むすび頬張る朝や神無月
- 五七五浮かばぬ我や鳥渡る
- 空いっぱい溢れそうなる鰯雲
- 手を休め米研ぐ朝や雁渡る
- 久々の青空に在り雁の列
- 藪の中ひとつぽつんと烏瓜
- 人混みの懐かしきかな神無月
- 良夜かな俳句たのしむ一夜あり
- 新米の炊けたる朝や母のこゑ
- 柿たわわ風にゆらゆら子守歌
- 色鳥の見え隠れする昼下がり
- 紅に染むる山の端そぞろ寒
- 赤き葉に光の差して冬隣り
- 忘れたき言葉の重み秋夕べ
- 頬撫でる風やわらかに深む秋
- 神の留守じゅりじゅりじゅりと鳥のこえ
- 秋時雨ピアノの音の沈みけり