[ 俳句 ]
- 探梅やひよつこり顔出す過去の人
- 埋火やむかしむかしの人恋ふる
- 風の色変わりし朝や寒明くる
- 鳥の群れ空広々と春動く
- 鴨の群れラッシュアワーの駅のごと
- 春の空どこまで続く広さかな
- 小さき実や冬青空に手を伸ばす
- 凍てつく田こゑ出し遊ぶ鳥三羽
- 冴え返る弾みて聞こゆ鳥のこゑ
- 春来たる障子に映る恋ひとつ
- 地を蹴って鞦韆バルーンに届きたる
- バレンタインデー袴姿の父のゐて
- ふらここや夢乗せ歌乗せ二人乗せ
- 待雪草あすへの灯り点しけり
- 喜びも悲しみもあり犬ふぐり
- 日めくりが教えてくれた春の数
- 冬木の芽一つぽつんと深大寺
- 春浅き雲の形のさまざまに
- 浅春や小枝に新芽の二つ三つ
- 牡丹の芽秘密の恋を潜めけり
- 鳥雲に北の大地へ思ひ馳せ
- ちよつとこい小綬鶏の啼く昼下がり
- からつぽの巣箱入居者募集中
- また一年思ひ出残し鳥雲に
- まだ早き川の桜に鳥下見
- 星空のまたたき見たり犬ふぐり
- 草の芽やそそぐ光の虹色に
- 冴え返る朝の閑けさ鳥のこゑ
- 料峭や木々の蕾もふるえをり
- 鶯のかくれんぼする藪の中
- 雉子哭くや空あをあをと拡がれり
- そそぐ陽に囀りひびく湖畔かな
- 麦青むあふるる光風こぼす