[ 俳句 ]
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- 菜種梅雨しとしとしとと人恋ふる
- 鳥のこゑひそかに聞こゆ菜種梅雨
- 花冷えや小鳥のこゑの高らかに
- 山笑ふ手のぬくもりや五十年
- 寄り添ふや朱色の木瓜の熱き恋
- 空の色杏の花に染まりけり
- 花杏遠くに父のこゑのして
- 杏咲き閑かな里に鳥のこゑ
- 五十年桜並木は八分咲き
- 堅香子や互ひにお辞儀ごきげんよう
- 桜舞ふ二人で歩いた五十年
- 杏咲き信濃の里の雲の中
- 初めての社会に一歩チューリップ
- 初雲雀ちゆるるちゆるると母を呼ぶ
- トンネルの先に見えるや竹の秋
- ゆく春の後姿の昭和かな
- 堅香子や里一面に朝の雨
- 人追ふて弧を描きたる揚げ雲雀
- ゆく春や筑波の嶺に雲ながる
- 散る桜すずめのお宿はどこかしら
- おぼろ夜や狸ひよつこり貌を出す
- 藤の花揺れる姿や母に似て
- 花の雨里一面にセレナーデ
- 母恋ふや桜吹雪に染まる径
- 山藤の彩を運ぶや昼下がり
- 明るさも暗さもありて竹の秋
- 語りけりおとぎ話の竹の春
- すみれ草のどかなのどかな散歩道
- ゆく春や惜しむ心に鳥のこゑ
- 春の海太公望が競ひ会ふ
- 山笑ふ道草かさね年かさね
- 薔薇の芽や爪を隠してぶりつこす
- 春の鴨覚えているか吾の顔
- 木の芽和え手のぬくもりや母のこゑ
- 永き日やすずめも遊ぶ垣根越し
- アネモネや国いつぱいに愛の歌
- てふてふやお休み処は夫の肩
- 春雨や鉢巻き巻きて句を作る
- 散歩道径に迷つて揚げひばり
- 夕蛙やすみやすみの散歩かな
- たけのこの横の姿やミルフィーユ
- 石楠花やはずかしさうに頬染めて
- 石楠花のうすくれなゐに雨のあと
- 春の鴨住民登録五年経つ
- 春の鴨住めば都と二羽三羽
- なんじやもんじや右か左か道を問ふ
- 揚げ雲雀秘めたる想ひ風に乗せ
- 鳴き交わす蛙のこゑや愛の歌
- すずめの子ぽつんと一羽雨宿り
- 石楠花のウエディングベールのごときかな
- こいのぼり世の中すべて風次第