[ 薫風にのせし言の葉ありがとう]
[大森理恵先生の御選評]
正直に告白します。私はラストの榮子さんの4月18日のレッスンを終えて、彼女から帯状疱疹にかかったと聞き、毎日、毎日、心配で心配で眠れずとうとう昨日、倒れてしまいました。朝から右手の痺れがでて、立てませんでした。夜中、早朝と人の居ない晴明神社に日参して祈願して今日はとうとう、京都の一番のパワースポットの、遠い山の貴船神社にバス、電車、徒歩で祈願に行くつもりでおりました。ところが昨日の夜8時に榮子さんから10句LINEが入っていて私は、まさかのまさかと思い、速攻、お電話しました。
もう、既に嬉しさと驚きでボロ泣きでした。10句はどれも今迄のお休みが何であったのであろうという作品ばかりでした‼ 特にこの一句は季語の【薫風】と措辞の抜群に真実の愛の込もった素晴らしい挨拶句です。榮子さん、こちらこそ『ありがとうございます』もう、昨夜はやっと約40日目に、ぐっすり眠れました。こんなに嬉しいことはありません。
2024年、5月23日午後8時を私は一生、忘れることはないと思います。やっと生きてる実感が湧いてまいりました。作者はとても習われ上手なお弟子さんで三万人以上の方々を指導させて頂いてきましたが心地よく御指導させて頂ける方は、そうそう、おられません。この句は作者の苦手とする挨拶句であるが特上の特選句です。
榮子さんどうぞ、こ無理のないようにユルユルと学び続けてください。貴女が始めに一言、仰った「先生、私、俳句から遠ざかるのが怖くて、まだ痺れは引きませんがレッスンして頂けませんか?」の謙虚なお言葉を私は一生忘れません。︎感謝感激です。
[ ほーたる来いほんのり白き小さき手 ]
[大森理恵先生の御選評]
昨日から今、京都は大雨です。偶然ですが二日前の夜に前の東堀川に蛍を見に行きました。真っ暗な川に沢山の蛍が凄く綺麗に飛んでました。都会のど真ん中に住んでいて蛍を観れるのは贅沢なことと思い感動してた、ばかりです。
作者は持病をお持ちなのに今回、帯状疱疹にかかられて酷い後遺症に悩まされておられる。にも関わらず、この作品は【言葉は平明に想いは深く】の典型的な一句である。
上五の呼びかけの『ほーたる来い』がとても効を発している、素晴らしい作品である。中七から下五にかけての『ほんのり白き小さき手』も【自己投影】の効いたフレーズ! 此処一ヶ月の苦難を乗り超えられた作者は、逆境をバネに更に一段と強くなられた。やはり【俳句】=【生き方】を、作品で見せて下さって非常に嬉しい。️それが見事に、この一句である。添削のするところのないキュートな特選句である。
[ 遠ざかる淡き想ひや麦の秋 ]
[大森理恵先生の御選評]
この作品は前回のレッスンの一句である。前回は持病をお持ちの上に帯状疱疹にかかられてひどい後遺症にも関わらず、全ての作品が冴えていた!
この『麦の秋』の季語と『遠ざかる淡き想ひ』との措辞が、とても良い。【麦秋】は、やはり哀愁と郷愁がなければいけないのだ!!!鋭く、季語の本質を掴まれている一句である。この句も【言葉は平面に想いは深く】作者は慈愛に満ち溢れた器の拡い女性である。
今回は逆境の最中にあっても、決して屈しない芯の強さを全ての作品で見せて下さった。【俳句】=【生き方】を最近、少しずつ、理解して下さったようだ。心からリスペクトする大人の女性の品格のあるノスタルジックな一句である。
追記 画像の御写真の【麦秋】も素晴らしい。麦秋の色に染まるセッカの一羽が際立っている。榮子さんありがとうございます。