- 原句は[忘られぬその人の名は吾亦紅]でした。
- 原句は[クレーンの天に届きて秋の空]でした。
- 原句は[目つむれば秋の錦の大雪山]でした。
- 原句は[世界地図描きし雲や鳥渡る]でした。
- 原句は[聞き耳を立ててしつとり秋のこゑ]でした。
- 原句は[秋暑しため息ばかりの散歩径]でした。
-
[大森理恵先生の御選評]
こう言った作品を【時事俳句】と言います。(昨日、早朝よりマイアミでの試合で大谷翔平さんが前人未到の51盗塁&51号ホームランをかっ飛ばされました。一試合で三つのホームランと二盗塁を、やってのけることは今迄の野球界では考えられませんでした。)俳句は俳句のみのお勉強では、少しも実力がUPしません。先ずは何事にも好奇心を持つことが一番大切です。それと俳句の世界では年齢、男女の差、地位、肩書き、学歴、名誉など一切関係ないので名前で呼びます。子供が大人の句を詠むことも、大人が子供の句を詠むことも構わないのです。作者は多分、野球とかスポーツには、これまであまり感心がなかったと存じます。が私が昨年のWBCを夢中で見ていて大谷さんの大ファンになり、うるさく言うので影響されて下さったのでしょうか?季語の【天高し】が何より、一試合で三つの特大ホームランが高く高く天に届くように上がっていった事を上手く表現されています。そして下五の【世界湧く】なのですが、此処も言い得て妙です。ともかく、今、世界では嘘のような戦争が二つも起きていて日本も経済的、政治、文化に於いて世界から取り残されている状況です。ややもすると地形的にお隣りの中国、ロシア、アメリカの真ん中にある位置ですから何処からも狙われても良い位置にあります。世界が一つになることなんて考えられません。嫌な国際的なニュースばかりです。日本も今の与党の総裁問題、次の天皇の問題とあまり、良い事のない、お話しばかりです。
唯一、世界的に誇れる、平和の光を見せてくれているのが、国を超えて超人的な活躍を努力の積み重ねで見せてくれている、大谷翔平さんです。老若男女問わずの大ファンが世界中に沢山、おられます。
それを作者は即吟で挨拶句にされました。普段、彼女は即吟句が超苦手と仰ってました。が苦手な事を克服されて素晴らしい特選句を作られました。非常に嬉しいです。ありがとうございます。
[ 頬撫でる風心地良き雁渡し ]
- 原句は[頬撫でる風心地良き秋暑かな]でした。
- 原句は[風の径いつか来た径秋来たる]でした。
- 原句は[秋の陽の色を残して日暮れかな]でした。
[ 夕風にとんぼう来ては竹の先 ]
[大森理恵先生の御選評]
この作品の良い点は上五と下五の名詞が季語の『とんぼう来ては』を上手く活かして、上五&下五で挟んでいる。御本人は全く気がついておられないがこれは非常に、上手いバランスである。特に上五の『夕風に』がとても良い。これが『朝風』では全く色が出なくてバランスが悪くなる。
作者は、そんなことも考えずに不意に湧いてきた一句である。しかも下五の止めの『竹の先』の着地がしっかりと収まっている。二年前の作者からは考えられない実力のUPである。これは徐々に前向きに真摯に俳句と対峙されている作者の【志】での賜物である。こういう作品も句集の中には重要である。
ともかく、この作者の作品は品格&格調が高い。やはり俳句には全てが出る。御本人の品格のあるお育ちや性格が見事に良いように出ている一句である。この句のように早く小さな秋が来てほしい。リズム、映像の復元が良く効いている流れの良い特選句である。
[ 鴫集ふ田拡がれり風のあり ]
[大森理恵先生の御選評]
作者の大好きな秋の季語の【鴫】の作品ですね。
先ず、この作品は俳句で一番大切なリズムが良いです。鴫が田に集まる事により、田んぼがより一層拡がるように大きく見えて爽やかな秋の風も感じるというダイナミックな意味の一句です。作者の影響を受けて私も凛とした美しい佇ち姿の鴫が大好きになりました。
鴫さんの集合写真も美しくて、とても素敵ですね‼ 皆さまのコメントにありますように【鳥見】の重鎮さんであった作者が行けなくなった鳥見を今度は俳句で表現されているのが何よりの至福です。リズムの良い、美しくて力強い特選句です。
[ 葉から葉へ閑かにしづかに秋のこゑ ]
[大森理恵先生の御選評]
この作品も昨日のと同じく、とても流れが良いですね。流れが良いと言うことはリズムが良いということ。すなわち、俳句の中で一番、大切なリズムを大切にされているのです。
『葉から葉へ』のリフレインと『閑かにしづかに』のリフレインが、抜群の効果を果たしています。そして、何より『言葉は平明に想いは深く』という、私の俳句哲学を学ばれている一句ですね。〆の【秋のこゑ】の季語も絶対的に動きません。これは完璧な素晴らしい特選句です。
[ 鶺鴒の消えゆく先や石畳 ]
[大森理恵先生の御選評]
秋の鳥の季語の【鶺鴒】は季語では【石たたき】とも言う。この鶺鴒は『日本書記』にもでてくる秋を象徴する有名な小鳥である。
さすが、作者の御写真は美しい。これは白鶺鴒であろうか?中七からの下五の『消えゆく先や』➡『石畳』とあるので、この【鶺鴒】はまだ日本でも、北海道や本州北部に繁殖して、秋になると日本の南方に渡るのであろうか???さすが【鳥見】の重鎮さんの作品である。
ともかく、この【鶺鴒】は日本の古来から色々な異名を持ち、イザナギ・イザナミ両神に『みとのまぐあひ』(婚姻・交合)の、道を鶺鴒が尾を振って教えたとあり山本健吉先生からは『とつぎをしへどり』とも言うと習った。この鶺鴒の別名、『庭たたき』や『石たたき』の別名より作者は下五を『石畳』で止められたのであろう!
読者に想像力を溢れてさせ想いを掻き立てる豊かな秋の【鶺鴒】の一句である。言葉は平明では、あるが中身の濃い鳥見さんならではの特選句である。
[ GDP釣瓶落しの日本かな ]
[大森理恵先生の御選評]
日本の経済活動はここ30年程、殆ど止まっているようなものだ。が、コロナが始まって、以降は急にドスンと急降下してきた。言いたくはないが日本を統括している政治家さん達のせいでもある。稀に見る円安に今後の夢も希望も少しも見れないし、先ず、日本の『少子高齢化』は、もう昔からわかってた事!勿論『地球温暖化』にしても、今更である。
それに対して、政府は何の手段も、対策も、志も見せてはくれなかった。物価は上昇し、格差社会はどんどんと拡がり、こんな世の中に日本人は次の世代に子供なんて作る気もしないし、昔からある、日本古来の家屋も職業も伝統も古いモノは廃るばかりである。
作者はそれを秋の夕焼けの【釣瓶落し】と例えられた!すとんと急降下した日本!上手い例えだ。こう言った作風を【時事俳句】と言う。この前は句友の真理子さんが令和の【米飢饉】について詠まれていた。
私は政治家も大嫌いであるが、もっと嫌いなのがマスコミ、メディアである。なので幼い頃から、マスコミから依頼が来ても全て、お断りしている。中には良い方々もおられるのであろうが、やはり、今回の、宮崎地震を南海トラフの前兆と煽ったり、お米のない事ばかりをニュースで流して大騒ぎさせているのもメディアである。真実を報道しないで煽るばかりのメディアは、ウンザリである。だから若い子は新聞も読まないし、TVも観ない。悪循環である。
今回の首相も誰がなっても日本は変わるという少しの【夢】もない。否定的でポジティブな事ばかり書いて申し訳ないが、私は日本が世界に誇る【季語】と言う何処にもない国の短詩系の文藝の【俳句】だけは何とか残したい!!!作者は、その【志】を継承して下さってるからこういった作品を出して下さる。俳壇も日本の政治と同じく腐っている!マスコミに出てるのは全て偽物ばかり。
此処をご覧になられてる皆さまだけはその事を理解して作者の普段からの努力を見ていてほしい。この一句は特選句というよりも日本の政治家やメディアに対しての作者の心からの深い想いの一句である。
[ 忘れられぬその人の名や吾亦紅 ]
[大森理恵先生の御選評]
俳句では【一字違いが大違い】と言う言葉がある。たった17文字しかないので一字の助詞の使い方を間違えただけで意味合いが違ってくる。
作者の原句であれば、忘れられないその人の名前は【吾亦紅】さんと言う(笑)決して作者は、そのような事を言いたかったのではない。優等生の作者も猿も木から落ちる時がある。(笑)此処はウッカリされていて助詞の【や】と【は】を間違われたのであろう。【忘れられぬその人の名や吾亦紅】になると、それが、異性であったのか???同性でも仲良しの人であったのか???古き良き昭和のスター或いはハリウッドスターであったのか???と色々と読者の想像が膨らむ。【吾亦紅】は秋の季語なので二人で歩いていた時に咲いていたのか?それとも映画のワンシーンで出てきたのか?それを問い詰めるのは俳句では野暮と言う。
ともかく、原句の一字の誤りのみでの作品である。リズムも良くて季語の【吾亦紅】が効いている。とてもロマンティックな作品である。これが例えば【秋桜】コスモスではあまりにも平凡なので上五から中七の措辞が活かせない。︎切れ字の【や】【かな】【けり】は俳句では実に便利な助詞である︎(これを、しっかりと身につけられたら完璧である。)一字を添削したがリズムと自己投影、映像の復元が揃ってる特選句である。
[ 桐一葉落ちてこぼるる陽のひかり ]
[大森理恵先生の御選評]
季語は【桐一葉】ですが中七からの『落ちてこぼるる』は上五の【桐一葉】にも下五の【陽のひかり】にもかかります。この手法は作者に指導した訳ではないのですが俳句用語では【句またがり】と言いまして、かなりの上級者でないと使えないテクニックなのです。先日、句歴40年以上の結社二つの同人さんのお友達が、榮子さんの最近の御上達ぶりに非常に感心しておられました。私も、とても嬉しいです。
桐一葉が落ちることにより陽がこぼれながら光ってる様子を一句に仕立てあげられました。この句を前回のレッスンでの初見の折には実際、驚きました。少しずつ、少しずつ、実力を️UPされていてそれが、上手いとか下手ではなくて、まさに【実の力】となり榮子さんの骨格になって来ています。いつも言いますが彼女の作品は没句が殆どなくて少しの添削で良くなります。私は原句を変えるのを良しとしません。なので、なるべく、原句に合った添削をしています。それでないとそれぞれの個性が活かされませんから。
この一句も格調の高い品格のある榮子俳句の特選句です。
[ うたた寝の心地よきかな虫のこゑ ]
[大森理恵先生の御選評]
京都は朝から36度の真夏日です。確かにこの作品のように【虫のこゑ】が聞こえてくると爽快感に包まれて、二度寝もしたくなります。
先ず、この句は上五〜中七の出だしの『うたた寝の心地よきかな』の措辞の使い方が良いですね。中七の【かな】の切れ字で止めるのも、結構、難しいのに、作者はいとも簡単に詠んでおられます。然も止めが季語の【虫のこゑ】。京都は、まだまだ湿度も温度も高くてクーラーは暫く、必須の日々・・・今年は何故か虫の声すら聞けません。毎年、今頃は前の桜並木が緑の杜なので【虫時雨】が聴こえてくる時期なのに???地球温暖化の異常気象のせいで京都は諦めた方がよいかもです。
ともかく榮子さんの作品は秋らしい気持ちの良い一句です。作者らしく、難しい言葉は使わずに想いの込もった特選句ですね。
[ 五線譜に想ひを乗せて秋暑かな ]
[大森理恵先生の御選評]
この作品のポイントは上五の『五線譜』である。これは作者が弾いてる五線譜とも、又、聴いてる曲の五線譜ともとれる。これは、どちらでも良い。俳句では一旦、投稿すれば『俳句のひとり歩き』と言う言葉があって、読者に想像を膨らませて貰うことができる。
此処での、より深いポイントは季語の『秋暑かな』にある。作者は作句されていてもそこまで、考えずにこの季語は、たまたまここ、数日の残暑厳しい秋の暑さで作られたとは、思う。然し、作者も、考えて作句されていない季語に我々は考えを馳せる。この曲は、あまり涼しそうな曲ではないのだ。ヴェートンベンで言えば、『運命』とかの重い曲であろう!︎
此処が俳句の面白いところなのだ.︎季語の使い方により五線譜の曲までにも想いを馳せることができる。これが句会で出て来た一句であれば、選者によりそこまで、深く採れる選者と、只、『秋暑』に何かの曲を聴いたという軽いタッチで採る選者もおられるであろう。
俳句は作るよりも選句が難しいと日々、私が指導しているのは其処にある。作者の想いをより深く慮って選句すること!この一句は、その学びの為にも、とても良い特選句となっている。
追伸 作者は此の難しい上の文章を今、理解されなくても良い。何年か先の学びの先に理解してくださいましたら本望です。
榮子さんへ(御参考までに)この、下五の季語が【小鳥来る】とかの季語ですと、クラシックで、言えば、ベールギュントの【朝】の曲とかになります。少しはヒントになりましたか?
[ 歳時記を抱いてうたた寝夜長かな ]
[大森理恵先生の御選評]
この季語の【夜長】は凄く効いてますね。俳人なら、誰でもやる行為です。
上五からの流れの良いリズムですし、この句は、言わずもががな初見で特選句に頂きました。
今日九月九日は【重陽の節句】です。昔ならばもう、少し、涼しかったのに・・・京都は今日も35度です。確かに日の沈む時間も早くなり、日の出も遅くなりましたから【長き夜】に近づいているのは間違いない事ですが…。中七からの語彙は誰もがしている事ですが、このように具体的に詠まれたのは凄く、嬉しいことです。文句なしの特選句です。
[ 風の径とほくちかくに秋のこゑ ]
[大森理恵先生の御選評]
相変わらずリズムの流れの良い作品ですね。上五の『風の径』〜『とほくちかく』そして〆の季語が『秋のこゑ』完璧な優等生の一句です。
上五〜中七迄が特にゆっくりと秋が、そこまでやって来ているという比喩が効いています。作者の作句の特徴として、一句の流れが、ゆったりとしていて、まるで、お琴の音と共に日本画を見ているような気分になります。
この作品も非の打ち所がない一句です。秋が『風の径』からやって来るという発見が、この一句を見事に特選句にしています。
[ 友の句に学びし一句秋暑し ]
[大森理恵先生の御選評]
この作品は、どの作品から榮子さんが真理子さんの影響を受けられたのかは存じておりません。(あっ!『思考の止まる厨かな』ですね)が、確かに真理さんと榮子さんの句柄は全く違います。
真理子さんはその辺にある句材でチャチャチャとお料理の如く、作句されます。が榮子さんは超、優等生ですから一から完璧な作品です。上の作者の一句は実に、お見事です。
句友の作品を見て、自分も頑張らねばという私の大好きな前向きの作品です。【俳句】=【生き方】このような感じで気負わず、榮子さんのお優しいご性格で俳句と対峙されてくださいませ。俳句の神さまはこちらが一生懸命になれば、きっとご褒美をくださいます。いつか、ベールが全て剥がれて、白内障の手術あとのように、全てがクリアに見えます‼️
これは私も何年も努力しました結果の出来事です!!!どうぞ、このままのスタイルで俳句の神さまと向き合われてくださいませね。、句友の作品が自分の句調と違いますと、とっても勉強になりますね。榮子さんらしい謙虚な特選句ですね。
[ 目つむれば色なき風のこゑ聞こゆ ]
[大森理恵先生の御選評]
この作品の特筆すべき点は『色なき風のこゑ聞こゆ』である。
『色なき風』=秋の季語で色のない素の風とも言う。その風の音が、目を瞑っていたら聞こえてくるという、とても叙情的な美しい言い方である。作者は何かにつけ繊細で優しい。それが全て俳句に出ている!言わずもががな、私が一番、大切にしているリズムは既に身に添われてきた。
あとはスペシャルな感性である。これは好奇心がとても必要。脳を、あちこち張り巡らして、少しでも句材があれば吸い取ることが大切である。それと欲を言えばボキャブラリーの豊かさも、今後は課題になる。然し上の一句は上五の『目つむれば』からの流れが、かなり良い。季語を中七に持ってくるのはベテランでも難しいのであるが、此処も、いとも簡単に乗り越えられている。
京都は今朝も36度。お彼岸迄は秋暑しが続きそう。早く、『色なき風』に触れてみたい。絵本に出てくるようなお手本の特選句である。
[ 秋の田の黄金色なり豊かなり ]
[大森理恵先生の御選評]
この作品は特にリズムが良い。俳句で、一番大切なのはやはりリズムである。何世紀後までも覚えているから・・・
上五の季語『秋の田の』から始まり『黄金色なり』『豊かなり』の『なり』のリフレインは簡単なようで、とても難しい。このリフレインを作者は、いとも軽く、使われている。こういった作品は考えると湧いて来ない。ふっと出て来たのであろう。このように句意も前向きで明るい一句は力強くて読んでいても気持ちが前向きになる。
これで令和の米飢饉も少しはマシになればよいが・・・ともかく、新米も高い。日本のお米が高級食品になるなんて・・・あれもこれも、次の日本の首相次第である!昨夜のレッスンでも2人で、その話しをしていた。P〇〇の竹〇平〇からは日本を守れる力のある人でないと!日本のTV局もメディアも印象操作されていて大嘘ばかり!!!
話しが逸れて申し訳ございません。この一句のように前途明るい日本の未来に期待したい。勿論、流れの良い言葉は平明に想いは深くの特選句ですね。
[ クレーンの天に届きて秋高し ]
[大森理恵先生の御選評]
この季語の【秋高し】は同じようなのがあと二つあります。【天高し】と【空高し】です。
初見で、『クレーンの天に届きて』まではとても良かったのですが、『天』と『空』が喧嘩しますので添削致しました。
俳句はダイナミックな発想と且つ繊細な語彙の使い方が大切です。これも体験の積み重ねです。 焦ると良い作品は出てきません。ゆっくりとマイペースで継続することです。 作者には珍しい、クレーンを詠まれた作品には、凄く嬉しかったです。 【秋高し】【天高し】【空高し】は似て非なる季語と覚えてくださいましたら良いです。
添削しての特選句ですね。
[ 目つむれば秋の色して大雪山 ]
[大森理恵先生の御選評]
俳句は、何としても引き算でなくてはならない。
原句の『秋の錦』は言い過ぎていたので『秋の色』とすっきりと添削した。【目つむれば秋の色して大雪山】だと地名の『大雪山』も抜群の効果を見せてくれるし、やはり何も言わなくても『錦秋』と言う言葉が頭を駆け巡る。
作者にしては珍しい足し算の作品になった。
この作品も【一字違いが大違い!俳句は実に奥が深い文藝である。】 添削して頂きました作品です。
[ 世界地図開きし夜や鳥渡る ]
[大森理恵先生の御選評]
(原句の『描く』=エガク=『書く』という意味になります。)
けれど、とてもダイナミックな大きな句柄の一句ですから没句にしないで描きし=開きしと、一文字を添削致しました。
【世界地図開きし夜や鳥渡る】
それと原句の【雲】を【夜】にしたのは鳥が渡るのは空の雲の中ですから此処も【夜】と抒情的に治しました。いずれにしても添削して秀逸作品になるのは原句が良いからです。
私は秋の季語の【鳥渡る】と春の季語の【鳥雲に】は幼い頃から大好きな季語です。
高いお空を見上げると鳥が群れを成して飛んで行きます。何処の国へ飛んで行くのかなぁ〜と幼心から、いつも考えていました。私も鳥になって大空を自由に跳びたいと思っていたのが懐かしいです。
鳥の重鎮さんから見れば幼稚な感覚ですがこの【鳥渡る】は俳人の初歩の季語です。
この季語を世界地図と組み合わせて、マッチングされたのはとても素敵ですね。
追記 父が亡くなった時に私の着物の図案を大好きな、【鳥渡る】に染めて描いてくれた父への想いを込めて40年前に【父恋ふや幾何の模様に鳥渡る】と短冊に書いて、お墓に添えました。懐かしいです。
[ 聞き耳を立てて二人に秋のこゑ ]
[大森理恵先生の御選評]
ユニークな一句です。
【聞き耳を立てて】&【秋のこゑ】はとても良いマッチングなのですが、原句の【しつとり】は少し言い過ぎです。
俳句は全て引き算の文藝ですから、なるべく形容詞・副詞は使わずに名詞で勝負することが大切です。此処は【二人に】と添削しましたのは、とても優しい御主人様と作者の二人と言う意味です。
この添削により【秋のこゑ】を二人揃って聞き耳を立てて探しているという時間の経過と共に 映像の復元および、自己投影が現れます。
そしてリズムも良くなります。
俳句は如何に俯瞰的に物事を詠むかで一句の格調が違ってきます。作者は元々、品格の高い詠み方をされますからやはり【しっとり】は×ですね。それでも原句が良いので添削して特選句にUPした一句です。
★俳句では世阿弥の学ばれた風姿花伝➡️花鏡より【離見の見】と言う言葉が、とても大切です (これは非常に難しいのですが、お能の用語です。)もう一人の自分が離れて、自分を俯瞰的に見ることです。次の段階では、そろそろこの【離見の見】を身につけるように学びましようね。 これも文語が自然に身に付いたのと同じように学んでいるうちに自然と身につきます。 IQの高い作者ですからそこは、理解できることと信じております。 挙げ句は添削しての特選句です。
[ 銀河の夜ため息ばかりの散歩径 ]
[大森理恵先生の御選評]
この添削は何故か自分でも超・超・超・極上です。いつも、このような季語が不意に浮かぶ訳はないです。日頃の努力です。私の大好きな秋の季語の【銀河】を使いました。
プライベートな事で申し訳ないのですが、先程、作者がご投稿された瞬間位に私の世界一大好きな大谷翔平選手が去年のWBC優勝の地のマイアミの球場で、前人未到の51本塁打と51盗塁を決めて私にとっては最高の嬉しい瞬間でした。一試合にホームラン三本打って二盗塁は信じられません。然し御本人は自分の事よりもチームが、今日でドジャースがプレイオフに出場の方が嬉しい、ご様子です。
さて俳句に戻ります。 原句の【秋暑し】➡【ため息ばかりの散歩径】では暑さでため息ついてるという説明句になります。然し【銀河の夜】とするだけでロマンティックな映像が浮かび、綺麗な一句になります。
俳句は実に実に不思議な文藝です。一字変えたり季語を変えるだけで、すっかり世界が 変わるのですから。
これは皆さまに見て頂きましたら一番、良くわかることだと存じます。季語の三文字変えたのみで場面が、このように逆転するのですから。
けれど、俳句も野球も同じです。私も六歳から66年、日々努力・努力の生活の毎日です。私は俳句は好きではありません。インドアよりもアウトドアのお仕事がしたかったです!!!どちらかと言えば通訳とかFBIでのお仕事がしたかったのです。
地味な俳句!されど俳句!俳句は日本が唯一、世界に誇れる季語という不思議な語彙のある短詩系の文藝です。この【俳句】を少しでも日本の方々に良さを、わかって欲しいと 思い、日々、禅寺で尼のような生活を送っているような日々の生活です。
ストイックに生きることが私には何よりも貴重なのです。こんな、私に付いてきて下さいます、お弟子さんも大変だと思いますがこの【人生の生き方】は変わることはないです。命の続く限り、少しでも俳句の良さを私なりに皆さまに発信していきたい所存です。
ともかく、この作品は添削しましたが添削させる原句がないと出来ません。普段から作者の優しさや大きな愛が私を包んでくださってる結果の大特選句です。
[ 天高し大谷快挙世界沸く ]
[大森理恵先生の御選評]
作者は凄く正直な方なので季語についての『実に居て虚に遊ぶ』まではまだまだ、難しいかもしれないです。だが、俳句に於いては措辞のみではなくて季語も『虚』が使えるです。これは決して、嘘と言う意味の『虚』ではありません。句を完璧にする為の『虚』です。
今回の挙げ句は確かに秋暑なので頬を撫でる風が心地よかったという意味ですがそれでは説明句になって、しまいます。なので今回は季語を【雁渡し】と作者も私も大好きな季語に添削しました。これで景がダイナミックになり、立体感もでて詩的になります。こう言った、季語の使い方を今後は少しずつ、ゆっくりと覚えていって下さいますと嬉しいです。【雁渡し】の季語を使っての特選句ですね
[ 稲穂垂れ何か佳きことありさうな ]
[大森理恵先生の御選評]
昨夜は月に一度の句会でした。皆さま、それぞれが秀句を出されて、選句も良くてとても楽しい充実した句会でした。夜も久々にクーラーなしで眠れましたが、六月から付けていましたので身体がクーラー病にかかってたみたいです。
さて挙げ句ですが季語の【稲穂垂れ】と言う言葉から【何か佳きことありさうな】までが一気呵成の素敵なリズムですね。難しい言葉は一つも使っていなくてとても覚えやすい縁起の良い一句です。
最近、作者は始めの頃と違ってあまり悩まずに作句されている、ご様子が句に現れていてとても嬉しいです。俳句をしていますとメモ書きも癖で五・七・五になってます。右脳で感性を磨き、左脳でリズムを取りますから俳人の方に認知がないのも諾えますね。軽いタッチの平明な語彙の明るい特選句です。
[ 夢の中夢を見てゐる律の風 ]
[大森理恵先生の御選評]
この句の良い点は、上五〜中七の措辞『夢の中夢を見てゐる』と言う幻のような流れの言葉の中で【夢】のリフレインが良く効いている、上五から中七までの流れ。その、とても綺麗な、流れの語彙とやわらかな感じとの固い季語との対比である。いわゆる感覚句!感性の作品である。
その、ふぁーんとした想いに浸る中で秋の季語の凛とした【律の風】。【律の風】は日本の古来の秋の調べの呼び方で日本音楽では【呂】陽【律】陰を用いてきた。春の陽気な風に対しての秋の調べの風の事を【律の風】と言う!!!日本語は凄く造詣と歴史が深い。作者はそれを考えて、措辞を幻の中にいるような素敵な措辞にされて季語を【律の風】できっちりと〆られている。これは相当、お勉強していないと出来ない一句である。けれど作者はたまたま、措辞がふっと湧いてきて偶然、季語が出てきたのかも、しれない。
それは、どちらでも良い。が、作者のこれまでの作品の中では【言葉は平明で想いが深い】代表的な一句である。この対比する上五〜中七対季語との組み合わせのバランスをたった17文字に収めた功労は凄い‼️‼️
うちのお弟子さん達は句会になると偶然か、どうか知らないがとても良い作品を出される。この句は初見で驚いた特選句である。
読者の皆様には、挙げ句は、とても難解かもしれませんが、感覚的に【律の風】と上五〜中七の措辞との対比を捉えて頂きたい。俳句は決して難しい文藝ではなくて学んでいるうちに、言葉に慣れて自然に日本古来の言語にぶつかって非常に奥が深くて、その魅力にハマってゆくものであり、非常に面白い文藝でもあります。
[ 米高騰見渡す田んぼ黄金色 ]
[大森理恵先生の御選評]
この作品も【時事俳句】という。今、気がついたのだが季語がない。これは私のミスである。私が見ていない句を作者が出される事はない。然しながら私の唱えている俳句は【一行の詩】である。なので季語がなくても自分の言いたい事が述べられてれば構わない。そのくらい、この作品には力がある。
今回のお米の高騰事件はまだまだ治らないのだ。この、令和の米飢饉が勃発したのは、新米が出る前の事である。なので国民は新米が出る頃には何とか、お米も出て来て、高騰だった値段も落ち着くと思っていた。が、それも儚い夢であった。新米はバカ高い。作者は、その事を詠みたくて中七から『見渡す田んぼ黄金色』と生き生きとした稲穂の垂れている様子を詠ってるのに上五を『米高騰』とした!!!
日本人の主食はお米である。そのお米位、何とかしてほしい。あと数日で日本の総裁が決まるが、今回はこの人と言う絶対的な人が、いない。特に若い人に期待していたのにどうやら最近の子供や若者には政治家は人気がない。我々も、誰が首相になっても、大きく変わることはないであろうと思い、いつのまにか夢のない日本に成り果てた。作者の憤りに溢れた一句でもある。季語がなくてもそれを上回る【時事俳句】の言葉の強さがある作品には拍手を送りたい。
★この作品とは関係ないですが能登の水害には何とも辛くて悲しい限りである。日本のライフラインが豪雨になれば既に、何処も古く朽ちてダメになるのは政府も、地方の行政も、わかっていた筈だ。にも関わらず、今回の豪雨で又、能登に死者が多数出てしまい、元旦の地震に続き酷い天災である。どうか、次の首相はこういった、天災により被災者が出ないように、細やかな日本のライフラインが閉ざされない細部迄、心が行き届く方を望むばかりです。
[ 風の径いつか来た径そぞろ寒 ]
[大森理恵先生の御選評]
上五から中七の『風の径いつか来た径』はリフレインの効いた流れのよいフレーズです。然し、原句の「秋来たる」は少し、説明していて自己を主張する言葉ではなくて説明句になります。なので上五〜中七のフレーズが活かされなくて勿体ないです。そこで、こう言う場合には、少しまだ早いのですが『やや寒』「肌寒」『そぞろ寒』という実感を含めた季感のある季語を使います。そうすることにより説明句からは逃れられます。
最近、朝晩は窓を開けていると『やや寒』なのですが日中、お日様がでてると気持ちの良い『爽やかな』『身に沁む』と言う季語の使える『素秋』です。今の間に『素秋』『色なき風』『白秋』とかの秋、真っ盛りの色のない風の季語を使いましょうね。しかし、これらの季語は意外と措辞のフレーズが難しいのでこれは私の句を探して良くお勉強なさって下さいませね。
それこそ、今はお『月』さまとか『銀漢』=星の季語が使い易い時期かもしれませんね。上五から中七までのフレーズの流れが凄く良いので添削し易い作品となり治しての特選句になりました。
[ 龍田姫袖振るごとに山燃ゆる ]
[大森理恵先生の御選評]
此処での季語は平城京の西の方にある竜田山を秋の女神に例えて【竜田姫】としたという曰れのある難解な季語である。この言い方は万葉の時代からである。
挙げ句は、その竜田姫の袖を降るたびに、山が秋の色を見せてくれて紅葉やその他の色で綺麗に燃えている。という意味の作品である。なので、紅葉の頃の晩秋の季語になる。が作者は句会でこの作品を出された折には、直喩のテクニックに凄く感動した一句である。
【竜田姫】が袖を降ると山が燃えるという不思議な魅力の作品。かなりの実力UPである。少し、難解な作品であるが、これは良く季語を噛み砕いて作られたと、とても感心した。作者の本来の句の作り方から又、一歩、前進した特選句である。
[ 波高き地球岬や鳥渡る ]
[大森理恵先生の御選評]
この作品も句会では特選句に頂いた風景のダイナミックで大好きな一句である。特に室蘭にある『地球岬』という固有名詞が、とても良い効果を出している。
最近の温暖化や人間の勝手な生き方により大自然に生きる鳥さん達も生きづらい。昨夜は作者とのレッスンであったが我々はお互いに痛みのある身体を労りながら今回の首相選挙に諾なえぬ煮えくりかえる心の中をぶちまけて本心をぶつけ合って話した。︎心が凹んで、やり場がないので個人的に、この場を借りて書かせて頂きますが幼い頃から、私利私欲や権力に弱いメディアやマスコミが大嫌いでした。︎今回の総裁戦も案の定、マスコミや、メディアは私利私欲に自分のことしか、考えない利権に駆られた○中○蔵の元、マスコミ、メディアの仲介している大手広告会社のDなどにより、印象操作をされて真実の事を、国民に話して流してはいなかった。なので地方に住む、TVや新聞しか見ない方々は、かなり嘘の報道をされて、真実をご存知なく印象操作されてしまった。
今後の日本は如何になるのであろう。うちには若い人達が来てくれて昨夜からその話しで持ちきり。先ず大自然に生きる鳥や他の生物までもに災害の影響が出る!!!それこそ、地球はあちこちで戦争が勃発して、めちゃくちゃになる。命がけで生きている沢山の鳥さんのの行く末を思うと泣けてくる。
最近は、秋の大きな季語であった【鳥渡る】も見なくなったのは地球環境のせいである。私、一人が憤っても仕方ないが、【夢】も【志】もないこの国を捨ててお金のある人は外国に住居を構えるであろう。少子高齢化も増えるばかりである。この句があまりにも自然界を綺麗に詠まれてるので余計に悔しい!!!
昨日は選挙の、結果があまりにも酷くて腹が立ち、一睡も眠れなかった。この作品のように綺麗な日本、綺麗な地球に戻るのはいつの事であろうか???が私には日本が世界に誇る伝統文藝の唯一、季語をのある俳句を守るという【志】と【夢】がある!今後とも自然界の鳥を守り生物を守るためにも、悪徳人間から清い鳥さん達を守ってゆきたい!!!この作品を見て涙が止まらない。あまりにも作者の綺麗な心の現れている特選句である。
[ 秋の陽の色を残して柚餅子かな ]
[大森理恵先生の御選評]
原句では秋の日暮れの説明句になりますので、此処で日暮れの色を連想する秋の季語の【柚餅子】を使いました。これによりまして季重なりにはなりますが一句が奥深くなります。
この御作品も原句が素直ですから良い添削が出来ました。食べ物季語は季重なりになっても、余り気になさらないで下さいませ。添削により一段と深みのでて色も鮮やかな特選句になりました。