- 原句は[人混みを避けて風吹く素秋かな]でした。
- 原句は[歳時記と小さな句帳とひとりの灯]でした。
-
[大森理恵先生の御選評]
此処での季語は『蝗』(イナゴ)この蝗を使って、小さな蝗の飛ぶ秋の田を広々という作者独自の感性の句。が、何が良いかと言えば下五の『希望あり』である。蝗 ➡ 田広々とのみでは、あまりにもシンプル過ぎる。が締めくくりの『希望あり』で救われる。日本も世界から見ると、かなり小さくて狭い国。然しながら色々な活動をして【夢】や【志】を持ち発信をしているからこそ、国民の心に希望が芽生えて生活に潤いと希望が芽生えてゆく事と信じたい。小さな蝗と大きな田んぼの比較。
こう言った【蝗】の例句は他にない。それにより答えが『希望』という明日が見える前向きなポジティブな作品。作者自身の撮影された秋の広々のした田と蝗と違って白鷺が良いですね。小さな物事も句材にされる作者に乾杯です。
追記︎レッスンの折に直せば、良かったのですが【いなご飛ぶ田の広々と希望あり】ですね。田【の】の助詞を入れるだけで間が入りリズムが良くなります。 申し訳ございませんでした。
[ 秋の空高層マンション埋め尽くし ]
- 原句は[自転車の少女と共に律の風]でした。
- 原句は[秋来たる風のささやき子守唄]でした。
- 原句は[透き通る空の青さよ素秋かな]でした。
- 原句は[遠き日の想ひ出描く鰯雲]でした。
- 原句は[カーテンの裾ゆらゆらと秋のこゑ]でした。
- 原句は[秋雨や車の音の遠ざかり]でした。
- 原句は[露草の露ほろほろと涙かな]でした。
- 原句は[コスモスの花ゆらゆらと虚空かな]でした。
- 原句は[一村の絵葉書届く夜食かな]でした。
- 原句は[そぞろ寒煮物支度の厨かな]でした。
- 原句は[友よりの分厚き封書秋気満つ]でした。
- 原句は[新米のふくふくふくと歌の満つ]でした。
- 原句は[草の向かふ鴫のひとこゑ閑かなり]でした。
- 原句は[柳散る夕べの明かりゆらゆらと]でした。
- 原句は[神の留守ペリカンゆらゆら平泳ぎ]でした。
[ 文机の友のたよりや秋気満つ ]
[大森理恵先生の御選評]
京都は早朝から大雨です。少しは涼しくなりましたが極端な大雨は珍しいです。
さて、今回の句ですが【文机の友のたよりや】に対しての季語が【秋気満つ】これはGOODです。️作者らしい作品ですね。俳句としては優等生として凄く出来過ぎていますが、欲を言えば、少し冒険して欲しいです。
御本人が「行き詰まっております」の理由は実は此処に隠されております。(花鳥諷詠しか出来ない結社の俳人の方々は致し方ないのですが、個性を重んじる私のでは、もっと冒険して欲しい!その方が榮子さんも更に俳句が楽しくなると信じております。それにつきましては、明日のレッスンでご指導させて頂きます。がやはり実力UPの上では他の方の選句や鑑賞がとても大切なのです。)
けれどこの作品の【秋気満つ】の難しい季語に対して自己投影に持ってこられたのは、さすがです。
[ 秋深し日本政界闇深し ]
[大森理恵先生の御選評]
出た!!! 時事俳句!!!
この季語の【秋深し】と【闇深し】のリフレインが抜群に良いです。時事俳句を作ると天下一品の作品になりますね。日本の政界がどんどんとダメになって行くのをタイムリーに詠まれた即吟句。これはリズムが凄く良くて誰もが覚えられる一句で最高ですね。最悪な日本の政治ですが作者の俳句は最高です。文句なしの特選句。大好きです。
[ 人混みを避けて鳥啼く素秋かな ]
[大森理恵先生の御選評]
原句の『風吹く』では少しインパクトが弱いので『鳥啼く』と添削しました。人混みを風が避けるのには少し無理がありますね。けれど、この句は上五からの流れが凄く良くてウッカリして見落とすと『風吹く』でもいいや!と思ってしまうとこがあります。
作者の原句はいつも良いので少し添削すると秀逸作品になります。今迄、大勢のお弟子さんを指導してきて、中にはどうしょうもない、原句もあります。が作者は基本に、かなり忠実に学ばれておりますので、俳人の多くの皆さまが間違われる助詞の【や】【に】【の】【かな】【けり】の間違いは殆どありません。俳句で最も難しいのはこの助詞です。これは良い指導者の元で正確な助詞を学ぶしか方法が何も、ないのです。が、その指導者が現在では、なかなかおられずに皆様がご苦労されております。
さて今回の作品の功労は、やはり季語の【素秋】を使われたことです。これは【秋】と同じ意味の季語なのですが、、、凄く難しくて本質を掴むのには皆様、ご苦労されます。
京都は昨日は大雨、そして今日は雨模様です。こう言った気候では【素秋】という綺麗な季語は使えません。空は青く晴れていながら風の色もなくて秋を感じる爽やかな季語です。
私の句に【すれ違う男のコロン素秋かな】が【ひとりの灯】にありますが、【素秋】は、このように使います。すると何もない秋にかすかな匂いが付いて、一句が更にインパクトが強くなり句が輝きます。私が原句に『鳥啼く』としたのも、そのインパクトを出す為なのです。原句が良いから添削して特選句になりました。
[ 天高しOHTANI次の夢語る ]
[大森理恵先生の御選評]
朝から榮子さんに爆笑させて頂きました。(グッドタイミングの俳句ですね。今朝の9時過ぎからワールドシリーズへ向けてポストシーズンのメジャーリーグの第一戦、ドジャース VS パドレスの一回目の試合が始まります。)
大谷翔平さんは高校生からマンダラチャートを作り、その通りに毎日、実行して、ご自分の夢を一つずつ、一つずつ、着実に果たして来られました。素晴らしい指導者やご自分の真面目な性格によりアメリカンドリームを成し遂げられて記録を塗り替えてばかり。
『次の夢語る』が抜群に良いですね!!こう言う俳句も一応は時事俳句の中に入りますが、私は何でもオッケーの自在な俳句作りを受け入れております。勿論、花鳥諷詠は基礎ですが、同じような俳句ばかりは個性がなくて面白くないです。榮子さんの自在な作風に拍手です。季語の【天高し】まさに京都は、この通りの秋空です。素晴らしい、ご挨拶句をありがとうございます。タイムリーな大特選句ですね。
[ 歳時記と色なき風とひとりの灯 ]
[大森理恵先生の御選評]
この句は名詞ばかりで一句が完成しております。非常に難しいテクニックなのですが、残念なことに季語がありませんでした。なので中七に季語の『色なき風』を入れました。これでリズムも音調もバッチリの一句に仕上がりました。
ラストの『ひとりの灯』は2007年に角川春樹さんのポケットマネーで出版されましたが読売新聞社後援で第一回一行詩大賞を受賞した五万冊が完売して絶版になっている私の句集のタイトルです。︎三つは作者がいつも持ち歩いてると仰ってくださいます、【三種の神器】とのこと。
いよいよ、暑かった夏も過ぎて来週から、そぞろ寒の季語が使えそうな気候になりました。中七は季語がないので添削しましたが名詞ばかりで作成された作者の冒険心にバンザイです。
今日は土曜日。榮子さんの通院の日です。お気をつけて病院へお出かけ下さいませね。名詞ばかりの作品はなかなか難しいのに挑戦された素晴らしい【志】の素敵な特選句です。️
追記 昨夜のレッスンでも添削はしましたが優れた作品が数多くありました。何より俳句が好きなこと!それが上達の秘訣です。優等生でIQの高い作者は殻を破って更に上を目指して頑張っておられます。それが何より嬉しく私の心の支えでもあります。ありがとうございます。
[ 秋の陽の色に染むるや散歩道 ]
[大森理恵先生の御選評]
美しい一句ですね。文語もバッチリで、すっかり基礎も身につかれたご様子・・・とても嬉しいです。『秋の陽の色に染むるや』という措辞が、まるで日本画のように美しく、つがいの鴨さんたちも句に沿っていますね。
ラストの『散歩径』までの流れもリズムもスムーズ!!!今年は夏日が長かったので余計に秋の散歩径が待ち遠しく、いつまでも歩いていたくなる気持ちになります。素直な自然体の心象を現している榮子さんらしい特選句。
[ 天高し天井知らずの物価高 ]
[大森理恵先生の御選評]
とてもユニークな一句である。初見では爆笑させて貰った。作者は一見、優等生でこのような作品は作られないように思うが全てを俳句に、されてうっぷんを昇華されている。季語の『天高し』そして『天井知らずの』『物価高』『天』のリフレインが良く効いていて流れの良いリズム感のある一句。
まさに、まさに、腹が立つ程、全てが高い。今月から郵便料金が爆上がり。スーパーへ行っても小さな林檎が200円。大根400円。柚子一個300円。やってられない!令和の飢饉だ!!
作者はIQが高い。IQが高いとは知識が豊富にあると言う意味じゃなくて頭が柔らかいのだ。砂漠に水が滲み入るように吸収が早い。画像もムカつく渋沢栄一にされている。何故、この人がお札になるのかも謎である???
昔は一万円というと結構、色々と食料品が買えたのに今は2〜3回買い物に行くと飛んでゆく。政治家も一度くらいはスーパーに行き、主婦の日々の生活のやりくりを学んでほしい。頭の固い一般の俳人には出来ない。作者は、最近、俳句を楽しんで作句されているご様子。これが何よりである。個性的なスッキリとする気持ちの良い特選句。
[ いなご飛ぶ田広々と希望あり ]
[大森理恵先生の御選評]
現代の【秋の空】を言い得て妙な作品ですね。私も今のマンションに入居してから45年になりますが始めの頃は高層ビルもなくて比叡山や東山が、何も遮る建物もなく遠くまで、しっかりと鮮明に綺麗に見えていたのですが、いつの間にか、数々のマンションが増えて来ています。京都の八月の名物の送り火の【大文字】もうちの部屋から五山がくっきりと鮮明に見えてましたのに高層ビルが邪魔して正面の【大文字】や、あと二つ程しか、ハッキリと見えなくなりました。
京都は建物の規制が他の県よりも、キツイのにも拘りませずです。その現代の高層ビルを詠まれた下五の『埋め尽くし』が全てを物語っております。
作者の最近の俳句は視点が広くてあちこちに、目が付いているみたいに視野が広いです。これは俳句の句材を虎視眈々と狙っている作者の好奇心の現れですから凄く嬉しいです。
俳句は花鳥諷詠も基礎ですから大切ですがそれを超えた世界を、拡げる作者の意識の高さが何よりです。
令和を詠んだ現代的な特選句ですね。
[ 自転車の少女の髪や律の風 ]
[大森理恵先生の御選評]
京都は【肌寒し】ですが天高し・秋高し・空高しの清々しい青空です。
さて、上の挙句なのですが、季語は難しい【律の風】⬅秋の風のことですが、中国の陰陽から来た言葉で春の風を【呂の風】と陽で言い、秋の風を【律の風】と陰で使います。
作者は10年以上かかっても使えない【律の風】をいとも簡単に季語として自分のモノにされています。原句の【自転車の少女と共に律の風】の原句も悪くはないのですが大特選にする為に俳句は具象が一番大切ですので(ごめんなさい。️俳句は大切なモノがありすぎて・・・ここで、私は【少女の髪】を入れて律の風になびくように、より一層、具象を加えて、流れる黒髪を入れました。(此処が茶髪では少しイメージが崩れますけど…笑)
これで完璧な【映像の復元】のある歳時記の例句にしても良いような【律の風】が陰ではなくて陽の働きを持ち明るく使うことが出来ました。
【自転車の少女の髪や律の風】完璧ですね‼️これで大特選句です。
[ 神留守や風のささやき子守唄 ]
[大森理恵先生の御選評]
原句でも悪くはないのですが、作者の実力にしては少し平凡ですので、季語を【神留守】としました。
措辞が簡単な語彙であれば季語を少し難易度を高くする!⬅これは実力UPする上での俳句に於いての貴重な陰陽のバランスなのです。(作者は既に二年前の八月から本格的に学ばれていますから二年&二ヶ月になります。)
私はそれぞれ個人に合わせた指導を心掛けております。俳句は上手にならずに、(上手な俳句はいくらでも出来ますが同じような作品になり、個性がなくなります。なので基礎をしっかりと把握してから個人の個性を活かします)なので今回は少し難易度の高い季語を使いました。
以前に萩原真理子さんが【神迎へ】と使われましたがあれは、たまたま10月1日!出雲の稲佐の浜には全国の八百万の神様が集まられる海からの入口になります。そして出雲大社で各地の神様が集合されて会議をされます‼️10月は陰暦で出雲は【神迎へ】!それ以外の土地は【神送る】【神の留守】と言う季語を使います。
措辞が『風のささやき子守唄』と優しい語彙を使っておられますので此処に季語の【神の留守】を持ってきますと一句が締まります。陰暦10月11日〜17日迄が八百万の神様の会議中!!!大自然はその間に安らぎの中気持ち良く風が優しく吹いたり小鳥が子守唄を歌うお昼寝したりしている様子を見たてて完成度の高い一句に仕立てあげました。措辞が優しいから季語を難しくした最高例の一句です。
[ 透き通る空の青さよ鳥渡る ]
[大森理恵先生の御選評]
凄く綺麗な青空ですね。(昨夜より片目が充血して腫れています)なのでポイントのみ。
原句の【素秋】は上五から中七が少し、素秋の説明をしています。此処は、やはり違う季語を持ってきて作者に合わせて【鳥渡る】とさせて頂きました。秋の高い青空へ鳥が渡る様子がしっかりと目に焼き付きます。季語と措辞は離すこと!!!決して季語の説明をしないようにお気をつけてくださいませね。
今日一日は眼帯を付けて移動します。よろしくお願いします。挙げ句は添削して特選句です。️追記添削した句は歳時記にも掲載されるような【鳥渡る】の例句です‼この句は、ずっと残して置いてくださいませね。よろしくお願いします。
[ 窓の向かふただ青々と天高し ]
[大森理恵先生の御選評]
京都は連休3日共、快晴の良いお天気です。この作品は前回のレッスンの一句です。
誰にもわかる写生句ですね。但し、作者はお外じゃなくてお家の窓の中から『窓の向かふ』として空を見上げています。此処がミソ。️中七の『ただ青々と』が清々しいですね。このような日々が続くとテンションUPですが、直ぐに冬がそこ迄、やって来てるのでしょうね。(ちなみに紅葉は冬の季語になります。)
上のような秋の『時候』の季語は【天高し】【秋高し】【空高し】と言います。あと【爽やか】【さやけし】【爽涼】【さやか】【爽気】【秋澄む】【秋気】➡【冷ややか】【身に沁む】【秋寒】【そぞろ寒】【やや寒】【うそ寒】【肌寒】【朝寒】【夜寒】【冷まじ】➡️と変化してゆき➡️【はつ冬】になります。
あっという間の歳月!今日の【天高し】を大切に貴重な一日としましよぅ‼️『言葉は平明に想いは深く』の一句ですね。
[ 遠き日の想ひ出在りし鰯雲 ]
[大森理恵先生の御選評]
今夜は月の中でも最後のお月さまの『十三夜』=『後の月』です。京都は少し曇っていますので綺麗に見えないかもしれませんが、関東は晴れていますから、きっと綺麗な『名残りの月』が見えることでしょう!!!
さて挙げ句なのですが原句の『想ひ出描く』は説明になります。説明=足し算です。なので『想ひ出描く』➡『想ひで在りし』とシンプルに添削しました。俳句は決して説明してはなりません。引き算の文藝ですから。(先程、チラッと榮太郎、洋ちゃんの話しているポストを見たのですが彼等たちも、その、足し算とか引き算で論争しておりました。)此処が理解出来れば一番良いのですがこれは年数を重ねるうちに、身についてゆきます。
体験してゆくことにより【俳句は引き算の文藝】という事が理解できます。『遠き日の想ひ出在りし鰯雲』だと秀逸作品になりますね。️(まだ、眼帯しておりますので誤字脱字失礼致します。)
[ 新涼の月照らしたる『ひとりの灯 ]
[大森理恵先生の御選評]
昨日は『十三夜』(後の月)関東は綺麗に見えていたのですね?こちらは曇っておりましたので、見えませんでした。
【ひとりの灯】は読売新聞社後援にて第一回一行詩大賞受賞の句集です。(2007年発刊)審査員は堤清二さん加藤郁也さん福島泰樹さんでした。この句集は出版社から出てなくて角川春樹さんのポケットマネーで五万冊!出版して頂きました。完売したので再販なしです。一時はamazonで 15,900円+送料で販売されていて驚きました。(転売ヤーさんの仕業と思いますが)
此処では季語が二つ重なっております。『新涼』と『月』けれど、この場合は新涼が月にかかりますので季重なりでも構いません。
自分の句集ですから選評も、とても恥ずかしいのですが・・・。【十三夜】と【ひとりの灯】の組み合わせは、大変良いので特選句にいただきます。
榮子さん 素敵な御写真と挨拶句をありがとうございました.
[ カーテンの裾ゆらゆらと夜食かな ]
[大森理恵先生の御選評]
今回の原句は作者なら1秒で作れる簡単な作句です。が、そろそろ【季語を飛ばす】という段階に入っても良いのではと、思いました。
原句は、何処にでもあるような作品ですので個性がありません。季語は、その為に沢山あります。特に作者はいつも『秋のこゑ』という季語を使われますので今回は時間の経過を飛ばして『夜食』と言う秋の典型的な季語を、使いました。これで時間の立体感や幅の広い作品となります。こうした使い方を【季語を飛ばす】と言います。
冒険されて下さい。同じパターンばかりでは学んでいても面白くないですし、日本が古くから世界に誇る短詩系の【季語】はその為に大昔から先人の方々がご苦労の末にお作りになられた情緒のある語彙です。今回は、かなり飛ばした季語を使いましたが、【夜食】により静寂した深い秋の夜長に食べる、画像のおにぎり🍙の味も、ひとしお、美味しいことでしょう!!!
★今は難しいかも、しれませんが俳句と言うのは人生と同じ‼ 何よりも【艱難辛苦】を乗り越えた時に見えてくる、トンネルの中から見える、その先の光が見えます。【俳句】=【人生の生き方】です。
[ 神留守や車の音の近づきぬ ]
[ 露草の露ほろほろと腰痛む ]
[大森理恵先生の御選評]
今回の作品は【自己投影】に添削させて頂きました。原句の下五の『涙かな』では季語の【露草】とあまりにも付きすぎで哀しみの説明句になります。なので、此処は良い中七の『ほろほろと』ですので作者の一番、弱点でもあり辛くもある持病の激痛でもある『腰痛む』に添削させて頂きました。
【自己投影】というのは自分の事を述べる事を言います。(私も身体の痛みに加えて、どうしようも出来ない辛い心の痛みが10年前から酷く強くあります。たった一人の親子なのに…会う事も話す事もできません)それを俳句にすること…なのですがこれが、なかなか自分でも納得できる作品が作れません。私特有の感性句のひらめきの作品が湧いて来ないので、その事が六歳からの俳人として、文学者としてとても辛い日々です。が、これも【生き方】=【人生】と俯瞰的に自分を見るように日々努力しています。少し難しいかもしれませんが、私も頑張りますのでゆるゆると焦らず学んでいきましようね。
前回、今回のレッスンでは少し、難しい事を指導させて頂き、作者を困らせたのではないかと、かなり落ち込んで反省しております。(が112回という個人レッスンでは普通、月1の句会では10句ですから一年で12回。なので普通の方々の10年間程に値いしますので、焦ってしまいました。申し訳ございませんでした。)
上五〜中七の措辞が良いので、添削しての特選句に頂きます。︎身体の痛み、骨折の痛みは自分にしか、わからない辛いモノです。私も朝から背中の骨折の痛みで立てません。どうか、ご自愛下さいませね。
[ 桐一葉ゆらゆらゆらと虚空かな ]
[大森理恵先生の御選評]
この句の中七から下五までの措辞はリズムと着地の『虚空かな』が非常に優れている。が肝心の季語のコスモス=虚空というイメージではない。
私の【ひとりの灯】の句集の中に【コスモスのひしめきあつてゐる孤独】の一句がある。コスモスは群れて咲いているので決して孤高の花ではない。なので『虚空』という強い虚しさを出す言葉を使うならば、やはり『桐一葉』という品格のある孤高な季語が良い!!!
この作品は季語を添削しての特選句である。︎季語はともかくも中七〜下五にかけての措辞は完璧である。
[ 一村の絵葉書届く素秋かな ]
[大森理恵先生の御選評]
田中一村は奄美大島に生涯を了えた日本のゴーギャンと言われた著名な画家。独特の繊細且つ大胆なタッチで植物や動物を描かれる日本には珍しい独特の画家!!!
原句は【一村の絵葉書届く夜食かな】でしたが…原句では季語が生きていないので少し難しい【素秋】を使いました。【素秋】とは何もない真っ白な秋!日本のゴーギャンと言われた田中一村の絵を一層、映えるのには此処では【素秋】を使い、上五〜中七のバランスを【明】対【暗】にしました。
私の句集の中にも【素秋】があります。【すれ違う男のコロン素秋かな】この素秋は、決して説明句にしてはなりません。一句の中で陰と陽のバランスをとって五・七・五しかない十七文字の中に宇宙を作るのが俳句です。
上記のことは、かなり高度な教えですから何年もかけて、ゆるゆると、お勉強しましよう!千葉に『田中一村展』が来たのですね。羨ましい限りです。奄美大島で生涯を了えた孤高の藝術家の作品の数々を見てみたい限りです。
全ての事柄を俳句にするのは、とても良い事です。句材を、あちこちから拾って来られる作者の勉学の意欲には感心致します。添削しての特選句です。
[ 朝寒し煮物支度の厨かな ]
[大森理恵先生の御選評]
いよいよ、京都も晩秋になり長袖のカーディガンを羽織っております。
この季語【秋寒し】は色々な言い方がありますが、どれも少しずつニュアンスが違います。覚えてくださらなくても良いので下に書き出しますので、心の隅っこに残して置いておいてくださいませね。
【秋寒し】 【冷や冷や】 【身に入む】 【そぞろ寒】 【やや寒】 【うそ寒】 【うすら寒】 【肌寒】 【朝寒】 【夜寒】
以上なのですが今回の原句は【そぞろ寒】を使われました。この季語でも悪くはないのですが、やはり中七から下五が『煮物支度の厨かな』ですから朝のお味噌汁や煮物などを作る厨にスポットをあてて【朝寒し】と添削させて頂きました。此処は、あまり変わりませんので臨機応変に使いこなしてくださいませね。
原句の【そぞろ寒】でもとても良いと存じます。が、煮物=朝寒、夜寒と言うイメージにより【朝寒し煮物支度の厨かな】としました。これを【朝寒や】と切れ字にしますと【朝寒や煮物支度の厨なり】になりますが、やはり下五に切れ字の 【かな】が入ると落ち着きが良いので、そのまんまで頂きます。情景の見える風情のある特選句ですね。
画像がマンションや最近の一戸建ての住宅では、やはり、情緒が出て来ないですね。わざわざ、日本の古民家の画像にされたのも素敵です。
[ 友よりの分厚き封書小鳥来る ]
[大森理恵先生の御選評]
原句の『秋気満つ』はBOXの中での季語です。例えば、部屋、エレベーター、会議場、公園、劇場とかで使います。
上五から中七の措辞、『友よりの分厚き封書』はとても大切な宝物。こう言った場合には【二句一章】を使って、季語を飛ばすか、それとも【一句一章】を使って、『友よりの分厚き封書秋惜しむ』または『友よりの分厚き封書冬隣り』とします。私が【小鳥来る】と添削しましたのは作者が大好きな、鳥さんを、どうしても、一句の中に入れたかったからです。なので万が一、その封書が悲しいモノであれば【友よりの分厚き封書鳥渡る】でも良いのです。
先ずは季語の核心をしっかり掴んで、季語を覚えることから俳句は始まります。それには沢山の先人さんの名句を学ぶこと。歳時記は特に【現代俳句角川春樹編】はそのために沢山の例句を並べております。
始めの一年に比べれば、随分、色々とお勉強が増えてまいりましたが、学習とは学ぶうちに、どんどんと、深く面白くなります。向寒の折、お身体も大変ですね。お互いに、ゆるゆると焦らず頑張りましようね。添削しての特選句です。
[ 新米のふくふくふくと佇ちにけり ]
[大森理恵先生の御選評]
先週、先々週と作者には特訓をさせて頂きました。
俳句では、最も難しい【二句一章】と【一句一章】の違いです。まだ二年目の作者には、到底、難関であったと存じます。けれと私も作者のレベルUPの為に心を鬼にして踏ん張りました!!!とても苦しんでおられるご様子がレッスン中にもわかりました。指導者はそこを踏ん張って、作者の良い部分を引き出さないと特上の指導者とは言えません。私も辛い二週間でした。が、その甲斐あって昨日のレッスンでは大特選が生まれました。その他も殆どが特選句という好成績。️非常に嬉しかったです。
皆さまも乞うご期待されてくださいませね。上の句は前回の平凡な一句!下五の『歌の満つ』を上五〜中七の具象に沿って『佇ちにけり』と素直な一句に添削しました。️やはり考え過ぎたりコネクリ廻すと俳句はダメになります。その事を泣きそうになられる作者を目の前にして特訓した甲斐があった昨夜のレッスンでした。中でも大特選の一句は歳時記の*のつくようなとても素晴らしい作品です。
[ 刀鍛冶焼き入れの色秋深む ]
[大森理恵先生の御選評]
これです‼️この句です‼️私が二週間、厳しく指導したあとで作者が作句してこられた作品は!!!IQの高い作者でしかこういう風な作品は出来ません。これも難しい感覚句です。
刀鍛冶の、名職人さんが何度も何度も、焼き入れを繰り返し、そのたびに色を見て、直感と体験で仕上げる日本の古来の名品の伝統の【刀】これを句材にされて俳句にされたのには驚きました‼️特に素晴らしいのは季語の【秋深む】です。これが、夏でも、冬でも春でもダメなのです!
この作品は作者の代表句となることでしょう。歳時記の例句の中に、あっても、私なら遜色なく一番に採ります。ともかく、難しい作品ですが、素晴らしいです。二週間、頭を悩ませてレッスンした甲斐がありました。このような作品はもう、二度と出て来ないかも、しれません。凛とした品格と切れの良さと、何より季語の抜群に効いた最高傑作です。️難しいので、理解しがたいかもしれませんが措辞+季語とのmatchingが最高。初見で見た時に涙が出るほど、嬉しくなりました。
★但し、この句を理解される選者は日本には、なかなかおられないかもしれません★古くて新しく斬新な特選句です。
[ 草の向かふ鴫のひとこゑ哀しけり ]
[大森理恵先生の御選評]
品格のある素敵な作者らしい一句。原句では作者も仰ってるとおりに『寂寥感』が出てまいりません。なので下五を『哀しけり』と哀愁の哀を、使って添削させて頂きました。にしても、ストーリーのある素晴らしい一句です。
ここ最近、作者は特訓のおかげでめきめきと力をつけて来られました。中七に季語を持ってくるのは十年経ってからしか無理なのに、いとも簡単に『鴫のひとこえ』と言い切っておられます。それと上五の『草の向かう』で映像の復元も抜群に効いています。下五は添削しましたが文句なしの寂寥感に溢れる秋の暮れの特選句です。
[ 柳散る夕べの明かり集まりぬ ]
[大森理恵先生の御選評]
原句の『柳散る夕べの明かり』まではパーフェクト。然し、ラスト下五の『ゆらゆらと』では当たり前なので『集まりぬ』と添削した。
最近、作者は俳句の骨法をしっかりと身につけられて作風がプロのようになって来られた。何よりも俳句が好きなのがわかる一句である。『柳散る夕べ』の写生が抜群に良く見られている。原句でも悪くはないが少し、ゆらゆらと動くので、しっかりと『集まりぬ』と纏めてみた。
今季の秋は【竜田姫】の作品と言い先日の【刀鍛冶】と言い、格調の高い、作者らしいスペシャルな二句が出た。あの二句は十年に一度、出るか出ないかである。実に真摯に俳句と対峙されている‼️作者の態度にはいつも頭が下がる。この句も下五の添削はしたがやはり実に写生の優れた特選句である。
[ 衆院選広き刈田に陽が沈む ]
[大森理恵先生の御選評]
このような俳句を【時事俳句】と言います。先日の句会の特選句です。
少し難しいのが作者がメタファー(暗喩)を使ってられるところです。ご本人は、俳句の暗喩も直喩も、まだご存知ないとは思いますが・・・【暗喩】と【直喩】はプロの俳人でも難しいと言われています。理解出来る指導者も殆ど存在しません。
此処では晩秋の季語の【刈田】を使っておられます。刈田とは全ての収獲が終わり、何も残ってない田畑を言います。此処で作者は所謂、【刈田】=誰もこの人と言った選ぶ人のない【衆院選】が言いたいのでしょう!!!此処までの使い方を暗喩(アンユ)メタファーと言います。★直接、述べないで間接的に物事を言うことです★
この季語の【刈田】が実に素晴らしく良く効いています。然も下五が【陽が沈む】️なので暗くなると言う意味。やはり、特訓した甲斐があり作者は、凄く難しいメタファーを使い一句を成し遂げられました。今後の日本の政界を憂いた作品では特上の特選句ですね。
[ 神留守やペリカンゆらゆら平泳ぎ ]
[大森理恵先生の御選評]
もう、既に今日は10月31日!出雲大社に集まられた八百万の神さま方が各地にお帰りなられる頃です。
さて挙げ句の季語は【神の留守】ペリカンさん達は【神の留守】の間に平泳ぎしながらゆらゆらと、お水遊びをしている様子が何とも微笑ましい光景ですね。原句の【の】の切れの助詞では弱いので切れ字の【や】を使って、思い切りよく添削しました。
【神の留守】がとても良く効いた、ゆったりとした平和な光景がお見事に表現されていますね。下五の【平泳ぎ】が実にお見事に楽しそうにペリカンさん達が泳いでると言う微笑ましい情景です。切れ字を入れて添削致しましたが特選句に頂きます。