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「初夏の信州」。その言葉には、優しさと郷愁に似た淡い懐かしさが含まれ、長い間その地を訪れることへの憧れとなっていた。一人で出かける勇気も体力もなくなった昨今、このたび、某旅行社のツァーを利用して「初夏の信州」へ一泊二日の旅に出た。それは、2010年5月27日〜28日のことである。
初日は、上野駅を9:26発の長野新幹線「あさま」に乗り、長野駅着11:05。長野駅からは、バスを利用して目的地の標高1200mの高原に向かった。今年は、平地でも寒い春を過ごし、初夏の訪れが遅かった。長野駅に到着して、その空気の冷たさに1枚ジャケットを羽織り、高原に到着したときには、さらに1枚羽織るほどであった。例年よりほぼ2週間遅れという気象条件のため、高原では、ちょうど水芭蕉が見頃であるという。その水芭蕉の群落こそ、私が長い間、夢見てきた光景である。
駐車場でバスを降り、歩き始めると、すぐにカメラマンの姿が目に入った。そこには、オオアカゲラが営巣し、巣立ちも今日、明日という状況であった。白く皮の向けた樹木の小さな穴から、オオアカゲラの雛と思しき姿が見え、時折、親鳥が餌を運んでくる。オオアカゲラの子育て風景をしばらく観察した後、歩き始めるとコサメビタキが2羽、近くの木から木へと飛んでいるのが見えた。ニュウナイスズメも鳴いている。さらに進むとミソサザイが、あまりにも間近に姿を現した。そしてあたりの苔を一心に集め始めた。巣作りの準備である。キビタキも間近で見ることが出来た。新緑の中で見るキビタキは、一段と美しい。
木道をしばらく進むと水芭蕉の群落が目に入ってきた。まさにちょうど見ごろ。長い間、夢見てきた光景が、そこにあった。リュウキンカ、カタクリ、スミレなども美しい。この日、サンショウクイ♂♀の求愛行動やキバシリの親子の姿も見ることが出来た。クロツグミは、声のみ。いつの日にか、新緑の中のクロツグミを撮影したいものである。