思い出の鳥たち

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[八千穂高原]

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日本一と謳われる白樺林は、北八ヶ岳の東麓に植生している。標高1600m。白樺林に代表される八千穂高原は、赤紫色のトウゴクミツバツツジがちょうど見頃で美しく目に優しかった。朝露に濡れたコメツガも美しく、遠くにとまったオオルリ、キセキレイも見事に調和して大自然の美しさを堪能することが出来た。

この高原を訪れるのは、二度目であり、前回も泊ったことのある山荘では、コガラ、ヤマガラ、イカル、アカゲラ、ウソなどを見ることが出来た。私がウソを初めて見たのは、この山荘の庭であり、アカゲラを初めて撮影したのも、この場所である。まだカメラの使い方もあやふやな時期であり、忙しく木を上っていくアカゲラを何とか撮影出来たときの嬉しさは、今でも色あせることがない。この高原を初めて訪れた日、遠い遠いオオルリをファインダーに入れていただきシャッターを押したあの日の感激も今なお鮮やかな色彩で心に焼き付いている。

この思い出多い高原で、今回忘れ難い出会いが二つあった。ひとつは、ホトトギスであり、もうひとつはマミジロである。ツツドリ、カッコウ、ホトトギス、ジュウイチ。これらの杜鵑類の声は、初夏の高原では、良く耳にするが、姿を見つけることは、なかなか困難である。特にホトトギスやジュウイチは、難関であろう。今回の旅の最後にホトトギスの姿が視界に入ったとき、体中に熱いものが走っていくのを感じた。

マミジロには、格別の思い入れがあった。流れに沿って歩き始めたとき、笹の葉の奥に見え隠れしたマミジロの眉斑が視界に入った瞬間の、あの歓喜に似た旋律をどのような言葉で表現すれば良いのだろう。この二つの大きな出会いは、今回、高原の旅をご一緒させていただいた皆様のお蔭であると心から感謝している。

渓流で出会ったカワガラスの幼鳥。いたずらっ子のような顔立ちのカケス。元気いっぱいにさえずるミソサザイ。高原で出会った鳥たちは、心を癒し、新たな活力を与えてくれた。いつの日にか、またこの高原をゆっくり訪れてみたいと願っている。

九羽の白鳥