九羽の白鳥 > とりどり日記(2010年5月) > 2010/5/26
田んぼめぐりは、私の最も心落ち着く場である。春の渡り。その時期になるのを待っていたかのように、春、まだ浅いころから、熱心に田んぼめぐりをするのが常であった。しかし今シーズンは、どうにも力が入らない。自分の体力不足もさることながら、田んぼでのシギ・チの出会いの何と寂しかったことだろう。
そのような状況の中で心に残る思い出のひとこまがある。例年、越冬シギが観察されている蓮田で夏羽になった2羽のオオハシシギと1羽のエリマキシギに出会った。あれは、こどもの日、5月5日のことである。蓮田の水面がピーンと張りつめ、波一つ立たず、シルクの布でも敷き詰めたようで、美しさと優しさがあった。
ハスの芽がわずかに見えるところに、2羽のオオハシシギと1羽のエリマキシギ。しばしシャッターを押すのを忘れるほど、感激して見入っていた。この蓮田で、これほど美しい光景を見たことは、今まで一度もなかった。懐かしく嬉しい思い出のひとこまである。