タイトル:九羽の白鳥 とりどり日記

2023/12/1 ツツドリ

久しぶりに訪れた公園。いつもながらひっそりと静まりかえっている。ベンチに腰をおろすと、ヒラヒラとシジミチョウが飛ぶのが見えた。しばらくするとキタテハらしい個体も飛んでいる。ノシメトンボらしい姿もちらほら。季節を間違えたのかと錯覚する。

公園内の枯れ草の生えているところに何かが飛んで来て一瞬、飛び降り、すぐにまた飛び去った。ヒヨドリではないしキジバトでもない。あれは、一体何ものだったのだろう?

その正体が数分後に判明した。松林に向かって歩き出すと、鳥が飛んで少し先にとまった。何と11月も末というのに、ツツドリである。あまり警戒心もなく、良いモデルになってくれた。ささやかな出会いであるが、嬉しく思い出に残るものとなった。

2023/12/2 オオバン

久しぶりに訪れた沼のほとり。手摺りにもたれて湖面をゆっくりじっくり観察する。遠くに鴨の群れが見えるがどうやらカルガモの群れのようである。

すぐ目の前の水路に目を転じるとオオバンに姿が見えた。最初、1羽であったが、数羽になって何やら楽しそうである。ほんのひととき、オオバンとの出会いに心和むことであった。

2023/12/3 コガモ

時折、訪れる静かな公園。かなりの広さがあるのだが、散歩の人をほとんど見かけることがない。たまに人を見かけることがあってもせいぜい二人か三人というところである。

池の方には、水鳥の気配がないので、少し離れた水路を覗いてみるとコガモが数羽いる。珍しい鳥ではないが、今季、初めての出会いである。早速、レンズを向けてみる。ほどなく数羽のコガモは、水路の奥の方に姿を消してしまった。

2023/12/4 タカブシギ

ずっと気になりながら少し遠いので、なかなか出掛けることが出来なかった蓮田地帯。やっと願いが叶い、蓮田地帯をひとまわりすることが出来た。歩くことが困難なため、車からの探鳥のみである。

流石に秋の渡りのシーズンを過ぎてしまったので、ひっそりとして鳥影がない。やっと見つけたのが、タカブシギ3羽とクサシギ2羽である。タカブシギとクサシギのみの出会いであったが、これはこれで嬉しい出会いであった。

2023/12/5 冬の蝶

久しぶりに訪れた公園の片隅で出会ったのは、蝶。冬の蝶である。「冬の蝶」は、俳句の季語にもなっているが、今の時期にこれほど蝶が舞っている光景を見るのは、初めてである。

一番多かったには、キタキチョウ。2カ所ともキタキチョウがたくさん舞っていてビックリである。続いて多いのがシジミチョウ。ヤマトシジミがほとんである。セセリチョウも数頭見かけた。キタテハやヒメアカタテハも舞っていた。

これから蝶は、越冬に入るのだろう。今度出会えるのは、春先になるのだろうか。

2023/12/6 散歩道のひとこま

日に日に寒さを増し、木々の紅葉・黄葉が気になる季節を迎えた。一番気になっていたのは、銀杏の黄葉。心当たりのところに出向いてみると、程良い具合に銀杏が色づいて、実に美しい。銀杏の落葉も何とも情緒があって嬉しくなってくる。銀杏(ぎんなん)は、ほとんど落ちてしまっているが、ほんの少しだけ残っていてくれた。

別のところでは、ツタの紅葉が美しく、しばし心和み、楽しむことができた。

2023/12/7 沼のほとり

静かな静かな沼のほとり。ちらほらとカメラを持った人の姿が見えるが、実に静かな沼のほとりである。遠くには、鴨の群れ。カンムリカイツブリが数羽、カルガモ、オナガガモ、ヨシガモも数羽。

すぐ近くの水路には、バン、オオバン、カイツブリなどが時折、顔を見せてくれる。沼の近くを少し歩いてみるとツタの紅葉が美しい。ススキは、光を浴びて輝いて見える。静かな静かな沼のほとり。また、訪ねてみたいと思う。

2023/12/8 散歩道

自宅近くの散歩道。時折、ゆっくりゆっくり歩いてみる。初冬の日差しの中で、赤やピンク、紫などの彩りに出会えると嬉しくなってくる。赤は、ニシキギ。紫は、コムラサキ。ピンクは、サザンカである。

陽当たりの良いところでは、まだヒラヒラと舞うチョウの姿が見られる。それは、ヤマトシジミであった。のんびりゆっくり散歩出来る幸せ。また、折をみてゆっくり歩いてみたいと思っている。

2023/12/9 オオバン

時折、足を運ぶ公園の池には、オオバンがたくさんいる。決して珍しい鳥ではないので、ほとんどの方から見向きもされない存在である。数羽で泳いでいる姿を見かけることが多いのだが、この日は、珍しく陸上で、ゆったりとお散歩モードであった。これと言った被写体もなかったので、そのオオバンにレンズを向けてみた次第である。

撮った写真を改めて見てみると、何ともほのぼのとした雰囲気で、まさにオオバンのお散歩というタイトルがぴったりかと思われた。心和むひとこまであった。

2023/12/10 初冬の風景

時折、足を運ぶ公園。程よい大きさの池があり、ハシビロガモやコガモ、ホシハジロなどが観察できる。気になっていたのは、公園の周囲で皇帝ダリアが見られていた記憶があり、今年も見られるかもしれないとの思いで足を運んでみた。

予想通り、青空に皇帝ダリアが微笑んで出迎えてくれた。周囲には、ハナミズキも赤い実をつけていたし、紅葉も真っ赤な葉をつけて初冬の美しい自然を楽しむことが出来た。銀杏落葉を踏む足音も、何とも嬉しいものであった。

2023/12/11 水辺公園

自宅の近くにある小さな公園。気になっていたのは、木瓜の花。ピンクも白色も赤色も確かあったと記憶している。少々記憶があいまいであったが、出向いてみるとピンクと白色、そして赤色の木瓜の花が咲いていた。

近くでは、ビワの花も咲いていてひととき、心和むことであった。やはり散歩は、楽しい。また、足を運んでみたいものである。

2023/12/12 ウラギンシジミ

紅葉が美しいことで知られている近くのお寺に行ってみることにした。時期を逸してしまい、紅葉/黄葉には、少々遅いのを承知で訪ねてみた。

紅葉の上に黄色い葉っぱの銀杏がのっかり、さらにその上に蝶がとまっているのを見つけたときは、嬉しかった。蝶は、ウラギンシジミの雌であった。時折、翅を広げて見せるが、なかなか思うような構図には至らず,残念である。

2023/12/13 メジロ

ずっと気になっていた紅葉のスポット。久しぶりに出掛けてみると、やはり時期を過ぎているようで、人の姿もなく実に静かであった。山茶花の咲いているところに回ってみると小さな声がしてメジロが飛んで来た。次に次にメジロが飛んで来るのだが、葉や花の裏側に入ってしまうので、撮影は苦戦を強いられた。それでもめげずに何とか数枚、メジロの姿を撮影することが出来た。いつも自宅で声ばかり聞いてなかなか撮影出来なかったので、この出会いは、心に残るものとなった。

2023/12/14 紅葉

紅葉が気になりながら、なかなか出掛けることが出来なかったが、やっと近くの紅葉が見られるスポットを訪ねてみることにした。

現地に着いてみると、やはり紅葉は、時期を過ぎていて、真っ赤な紅葉の葉が、あちこちに落ちている。赤い葉の先端もかなり傷んでいるのだが、それはそれで風情があった。ほんのひととき、紅葉を愛でて現地を後にした。来季は、もう少し早く訪ねてみたいと思う。

2023/12/15 コガモとマガモ

馴染みの公園には、程良い大きさの池がある。以前は、良く一回りしていたが、歩くのが困難になり、ほんの一部を歩くくらいである。

冬になると出会いを楽しみにしいるのが、カモ類。この日は、倒木のところにコガモとマガモがとまって休憩中であった。少し離れたところでは、カワウが日光浴。何とものどかで心休まる風景であった。

2023/12/16 木の実

野鳥に関心を持って20年。体力的にも行動がなかなか大変になり近隣の植物にも目を向けるようになって撮影の機会が増えた。

この日、木の実をたくさん見る機会に恵まれた。ひとつは、柿の実。もうひとつは、ナンテンの赤い実。背の高い木には、カリンの実。トウネズミモチの実も綺麗である。

初めて見たのは、ツルウメモドキ。びっしりと赤い実がついていた。珍しいのは、ケンポナシ。こちらを見るのも初めてである。

2023/12/17 カシラダカ

久しぶりに訪れた公園。広い公園だが、ほとんど人に会うことがない。高い木々の間を抜けるように飛んで止まって鳥。それは、カシラダカだった。ずいぶん久しぶりの出会いである。嬉しくなってレンズを向けたが、すぐに飛び去ってしまった。

次に出会ったのは、ツグミ。ごちゃごちゃしたところだが、何とか一枚撮影させてもらった。すぐ近くで、ジョウビタキにも出会った。今季、何度か出会いの機会のあったジョウビタキだが、どうも満足にとれない。でも出会いに感謝である。

2023/12/18 ツグミ

今季、なかなか出会いの機会に恵まれなかったツグミにやっと会えた。枯れた芝生の上をおっとりと歩く姿は、紛れもないツグミである。飛来当初は、木にとまって、地上に降りてくることは少ないのだが、このツグミは、地上で餌取をしていたらしい。

これから春先まで、ゆっくり日本の冬を満喫することであろう。

2023/12/19 イスカ

ドイツトウヒの大きな木に姿を見せてくれたのは、真っ赤な体のイスカであった。なかなか写真を撮る位置に姿を見せてくれなかったが、何とかファインダーに入れシャッターを押すことが出来た時は、嬉しさがこみ上げて来た。

イスカとの出会いは、鳥見を初めてまだ日が浅い頃、裏磐梯でかなりの数の群れを見たことがあった。今年は、イスカの当たり年とのことで、各地でかなりの数のイスカが見られているようである。

2023/12/20 ヒレンジャク

ヒレンジャクとの思い出は数々あるが、とりわけ忘れられないのは、ホザキヤドリギの黄色い実を啄むヒレンジャクの群れに出会ったことである。ホザキヤドリギの黄色い実が見えるところから♪チリチリチリ♪とか細い声が聞こえてきたときは、胸が高鳴った。あの日のあの瞬間の感動は、今も色褪せることがない。大切な思い出のひとこまである。

2023/12/21 コゲラ

♬コンコンコンコン♬ 大工のキツツキさんと呼ばれるコゲラは、近隣の公園などで見かけることが多いが、動きが速く、クルクルクルクルと回りながら、あっという間に姿が見えなくなってしまう。写真を撮るには、背景を考えるのはもちろんだが、なかなか思うようにはならない。

桜を見に出掛けた公園の片隅で、思いがけない出会いが待っていてくれた。桜を背景に美しい春紅葉があり、何とそこにコゲラが姿を見せてくれたのだった。背景に恵まれたこの出会いは、深く心に残るものとなったのである。

2023/12/22 シマアジ

春の渡りの頃、時折、入って来る嬉しいニュース。近くの川にシマアジが姿を見せているという。数年前にもその川で、シマアジを撮影したことがあったことを思い出しながら現地に向かったのだった。嬉しいことにシマアジの雄と雌が見られているらしい。気もそぞろで待つことしばし。シマアジの雄と雌の飛翔シーンを撮影することが出来たのだった。この写真は、第一回ジャパンバードフェスティバルの「全日本鳥フォトコンテスト」で入賞。嬉しく心に残る思い出である。

2023/12/23 ツルシギ

田園地帯に春の渡り、秋の渡りで飛来するシギたち。その姿にすっかり魅了され、鳥見にはまってしまったのだが、とりわけ春の渡りで飛来するツルシギには、関心があった。早いときは、春の彼岸の頃、飛来し、5月の連休明けまで滞在する。飛来当時、白っぽい姿であったツルシギが5月に帰る頃には、真っ黒になる。その姿を撮りたくて何度も何度も蓮田地帯に足を運んだものであった。今では、懐かしい思い出である。

2023/12/24 アオゲラ

私の住む県内では、見られないと言われているアオゲラ。そのアオゲラを見たくて、何度か足を運んだ都内の公園。友人、知人に大変お世話になって、何とかその出会いを果たすことが出来たのだった。「ピョー ピョー ピョー ピョー」この声が聞えてくると胸が高鳴り、緊張する。ちょうど良い角度に姿を見せてくれることは、稀であるので、この出会いも運のうちなのであろう。嬉しく心に残る出会いのひとつである。

2023/12/25 レンカク

初めてレンカクに会ったのは、蓮田地帯に姿を見せてくれたレンカクを遠くに見たのが初めてで距離があり、不慣れな私には、撮影は、なかなか困難であった。そのレンカクが、比較的近距離で見られると言う。半信半疑で現地に着いてみると、すでにカメラをセットしたベテランらしい方々がズラリ。恐る恐る隅の方に並ばせて頂いて撮影したのが、このレンカクである。その後も数回、レンカクとの出会いはあったが、この写真が一番のお気に入りである。

2023/12/26 アオバズク

青葉の茂る頃飛来し、小中学校の夏休みになる頃、雛が洞から顔を出すアオバズク。毎年、アオバズクの雛を見るのが楽しみであった。思い出多い洞であったが、何があったのだろうか。ここ2年ほど姿を見せなくなってしまったアオバズク。

この写真のアオバズクを見たのが、最後になってしまった。思い出多い洞にアオバズクが姿を見せてくれることはないのだろうか。大きな瞳で不思議そうに下界の人たちを眺めていた可愛いアオバズクの雛。是非、また会いたいものである。

2023/12/27 ハイイロチュウヒ

シギチに関心を持ち蓮田地帯を訪ねることが多かったが、すぐ近くに干拓地があり、コミミズクや猛禽などが見られることがあるので、その干拓地に時折、足を運ぶことがあった。

ある日、車を停めた場所の草陰に何やら鳥の姿が見えた。何とハイイロチュウヒである。体が固まってしまうほど緊張したが、震える手でなんとかシャッターを切ったのが、この写真である。これが最初で最後のハイイロチュウヒが地上に降りているシーンの撮影であった。

2023/12/28 フクロウ

ほとんどの方が好きと答える鳥のナンバーワンが、おそらくフクロウではないだろうか。五月の連休の頃、可愛い真っ白な雛が見られるが、成鳥を見る機会は、案外少ない。

この写真は、知人の案内でなんとか撮影できたフクロウである。哲学者のような風貌が、たまらなく魅力的で、心惹かれるシーンである。すぐ近くに一瞬、モズが姿を見せ、慌てて逃げ去ったのが忘れられない。

2023/12/29 オオワシ

オオワシに初めて出会ったのは、厳冬の北海道であった。流氷船に乗る予定で出掛けた北の大地であったが、あいにくの気象条件で、流氷船が出ず、船着き場付近でたくさんのオオワシとの出会いが叶ったのだった。

ゆったりと木に止まっているオオワシを比較的近くで観察することが出来、胸がいっぱいになった日のことが、懐かしく思い出される。北の大地は大好きで、夢がいっぱい広がっていく。

2023/12/30 キレンジャク

冬の北海道には、数回訪れたことがあるが、とりわけ印象深いのが、この写真の出会いである。10数羽のキレンジャクがナナカマドの赤い実を目がけて飛んで来て赤い実を啄み、飛び去り、また戻って来る。ちょうど雪が降り出し、雪が舞う中、キレンジャクが懸命に採餌しているシーンは、目に焼き付いて離れない。

2023/12/31 2024年のカレンダー

今年も残すところ後わずかとなり、この1年を振り返ってみますと色々なことが思い出されます。五年前の秋に体調を崩しましてから今までのような鳥見をすることが難しくなり、近隣の散歩などを含め自然との出会いを大切に過ごして参りました。家族を始め、支えてくださった皆様に心から感謝致しております。

鳥たちとの出会いの機会は少なくなりましたが、身近な植物や自然に目を注ぐようになり、心の持ちようも変わって参りました。昨年の8月から俳句を学び始め、より一層、自然との関わりを大切にしたいと思うようになりました。このHPを訪問してくださる皆様のお力に支えられ、今年も「九羽の白鳥」の更新を何とか続けることが出来ましたこと心より感謝致しております。来る年もどうぞよろしくお願いいたします。

追記 俳句につきましては、とりどり日記とは別に、俳句のコーナーを設けております。お時間のございますとき、ご覧頂ければ幸いです。