馴染みのフィールドに久しぶりに姿を見せたコミミズク。大人気の鳥で、あっという間に噂が広がり、ポイント近くには、車の列が出来た。最初に姿を見かけた時は、ほとんど誰もおらず、目の前の杭にとまったコミミズクにこちらが仰天してしまった。まん丸で金色の瞳が、こちらをじっと見つめている。その姿は、あまりにも鮮烈でしっかりと目の奥に焼き付いて決して忘れることはない。
野鳥に関心を持ったきっかけは、手賀沼のほとりで出会った9羽のコブハクチョウでした。2003年5月3日のことです。スタートは、コブハクチョウでしたが、やがてジョ ウビタキやベニマシコなどにも関心を持つようになり、深みにはまっていったわけです。折角なので、その年に出会った印象深い鳥をモチーフにカレンダーを作ろうと思 い立ち、2004年から手作りカレンダーを作り始めました。稚拙なものですが、真心こめて作りました。今年も作成いたしましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。 今回で17回目となります。なお2年前に体調を崩し、遠征等は全く出来なくなりましたので、当年だけでなく過去の画像も含めての作成となっております。
雪が残る高原で、嬉しい出会いが待っていた。真っ赤なベレー帽が良く似合う可愛い鳥。その名は、ベニヒワ。この鳥に初めて出会ったのは、時折、吹雪いて前方が見えなくなるほどの豪雪地帯であった。その後、北海道のツアーに参加した折と離島での出会いだけである。
唐松の林には、松ぼっくりがたくさんあって、その実を啄みに来ているらしい。赤いベレー帽が見え隠れするが、なかなか撮影するまでに至らない。悪戦苦闘して、何とか数枚、ベニヒワらしい姿を捉えることが出来た。空は、青く澄み渡り、時折、頬をなでる風が心地良い。高原にも春の足音が近づいている頃の出会いである。
高原には、まだわずかに雪が残っていた。早春の風が吹き、枯れたハギの実が音もなく揺れる。ハギの実のところに姿を見せたのは、オオマシコ。どうやら雌のようである。雄のオオマシコは、鮮やかな赤色で印象が強いが、シックな色合いの雌も愛らしくて、私は好きである。
小さなハギの実を一心に啄み、時折、体勢を変え、また一心に啄む。なかなか良い位置に姿を見せてくれないのだが、何とかハギの実を啄む姿を見ることが出来て大満足。今度、オオマシコに会えるのは、いつのことだろう。
田んぼに飛来するシギチに関心があり、春の渡り、秋の渡りの時期には、足繁く田園地帯、特に蓮田地帯に足を運んで来た。その中で、とびきり思い出が多いのは、ツルシギである。例年、春の彼岸の頃に飛来し、ゴールデンウィーク開けの頃、真っ黒な夏羽になるまで滞在してくれた。換羽の状況が刻々と変わり、その変貌ぶりに目を見張ったものであった。
真っ黒な夏羽を見たのは、数えるほどしかない。その中で、一番、心の奥深くまで入り込んで忘れられないのがこの一枚である。このようなツルシギを見る機会がほとんどなくなってしまい誠に残念であるが、いつかまた出会いが叶う日が来ることを心から願っている。
田園地帯で春の渡りの頃に見られるシギチの中で、ツルシギと並んで関心があるのがエリマキシギである。特にエリマキシギ雄の夏羽に会いたいというのが強い願望である。日本では、完全な夏羽を見ることは難しいが、稀に換羽中の個体に出会えることもあるので、大いに期待したいところである。
その稀な出会い、換羽中の雄のエリマキシギに会えたことがあった。襟元の黒いふさふさが、何ともお洒落な感じがして、もう少し滞在して欲しかったが、この日を最後に旅立ってしまった。心に深く残る思い出である。
シギチの姿を求めて蓮田地帯を時折、訪ねることがある。それは、春の渡り、秋の渡りに関係なくもしかしてという淡い思いがあるからである。この日も、時季外れであるが、何か出会いはないものかと出掛けてみたが、世の中、それほど甘いものではなく、シギチの姿の片鱗もなかった。
がっかりしてたどり着いた蓮田で待っていてくれたのが、このアオサギである。その姿は、まさにモデルのようで、ちょうど良い位置に現れ抜き足、差し足、忍び足というポーズをとってくれたのである。このアオサギには、感謝、感謝の日であった。
現在では体力もなくなって、田園地帯のシギチを観察するだけになってしまったが、以前は、干潟や浜辺のシギチにも関心があり、時折出掛けることがあった。この日は、夏羽のレンカクを見た後、浜辺に車を走らせていた。今では、信じられないほどの行動力である。
浜辺で待っていてくれたのは、オオソリハシシギとオバシギであった。田んぼで出会うことは稀であるので、波打ち際を急ぎ足で歩くシギの姿が、ことさら印象深く思われた。そして一瞬立ち止まり、このような姿勢をとってくれたのだった。遠い日の懐かしい思い出である。
青葉若葉の頃に飛来し、小中学校の夏休みが始まる頃に雛が姿を見せるアオバズク。今年もその雛の姿を見たくて、早朝、何度か青葉の森に足を運んだ。この森では、雛が巣立ちした後、わずか1~2日で姿が見られなくなってしまう。それ故、タイミングを逃さないようにと気をもみながら、その日を待った。
今年は、天候不順も影響したのだろうか。早朝、洞から姿を見せ、すぐにまた洞に戻ってしまうといことを数日繰り返し、例年よりかなり遅れて巣立ちした。情報を頂いて現場に出向いてみるとカメラマンらしき人の姿は、ごくわずか。アオバズクもどこにいるのか皆目、見当がつかない。ご親切な方に教えて頂いて何とか居場所を確認出来た次第である。
今年は、カケスの当たり年ということを耳にしたが、私は、なかなか出会いの機会がない。数年前、馴染みの公園近くで1羽のカケスに出会った。カケスは、とても警戒心が強く、人の気配を感じるとすぐに飛び去ってしまう。ところがこのカケスは、悠然としていて動じる気配もない。
そのような訳で、青空を背景にちょっとポーズをとったようなカケスを撮影することが出来たのだった。いたずらっ子のような目が何とも愛らしく、ブルーの羽が美しいカケス。また是非、ゆっくり会いたいものである。
秋の深まりを感じさせる季節を迎えると、コハクチョウやオオハクチョウ、マガンやヒシクイなどの飛来のニュースが気になって来る。その年によって飛来の状況は、様々だが、身近な場所で出会えると嬉しさが増す。
マガンが見られると情報を頂き、早速現地に出掛けてみた。湖面には、オナガガモの姿が数多く見られ、次いでマガモの数が際立っていた。少し目を転じると、ゆったりと羽を休めているマガンの姿がある。青い湖面にゆったりと浮かぶマガン。この地で見られるのは、40数年ぶりという。嬉しく心に残る出会いであった。
暑さを感じる季節には、コジュリンやセッカの声で賑わった草原。秋の深まりと共に、緑色だった草地が、褐色に変わっていく。その色合いは、淡いベージュ色で、目に心に優しくホッとして、いつまでも眺めていたくなる。
草地が褐色に覆われる頃、姿を見せるのが、猛禽類である。チュウヒやハイイロチュウヒ、時には、コミミズクの姿を見かけることもある。チュウヒやハイイロチュウヒは、飛んでいる姿を見る機会は、比較的多いが、地上に降りている姿を見る機会は案外少ない。この日、枯れ草のわずかな隙間からちらっと姿が見えたのが、ハイイロチュウヒであった。ちょっと異国の雰囲気が漂う凜々しい姿であった。
寒い季節を迎えると出会いを楽しみにしているのが、海鳥である。我が家からは、少し遠いので、しばしば足を運ぶ訳にはいかない。時期を見計らって、空振りがないよう願いながら現地に赴く。ビロードキンクロやウミアイサとの出会いも楽しみであるが、一番の楽しみは、何と言ってもウミスズメである。
岸壁の近くで可愛い声を聞くことがある。♬チッチッ♬チッチッその声を聞くと近くにウミスズメがいることに気がつき、姿を見せるのをじっと待つ。ぷっかり浮かび上がって来たウミスズメの姿を見た時の喜びは、何と表現したら良いのだろうか。この日の湖面は、素敵なキャンバスに思えた。