タイトル:九羽の白鳥 とりどり日記

2020/12/1 ミヤマガラスとコクマルガラス

ミヤマガラスとコクマルガラスの画像

晩秋の色濃い田んぼの光景が見たくて時折、田んぼに足を運ぶ。つい先日まで二番穂の緑がところどころに彩りを添えていた田んぼも、今は淡いベージュ色の世界が広がっている。以前は、スズメやカワラヒワが、わっと飛び立つ姿を見ることが出来たのだが、年々そのような出会いは減って、何とも寂しい限りである。

刈田が広がるところにカラスの群れがいた。一見、ミヤマガラスの集団と思ったが、鳴き声は、明らかにコクマルガラスである。良く良く見ないとコクマルガラスは、見落としてしまう。前方から車が来て、その群れは、飛び去ってしまった。辺りの田んぼを回って、戻ってみると先程のミヤマガラスの集団が戻っている。少々距離があったが、じっくり観察。1羽の淡色型のコクマルガラスの姿を見ることが出来た。

さらに近くの電線にとまっているミヤマガラスを見ていると1羽の淡色型のコクマルガラスが飛んで来て、それを追いかけるように暗色型のコクマルガラス1羽が飛んで来た。ミヤマガラスとコクマルガラスが並ぶと大きさが良く分かり、何とも嬉しい鳥見となったのである。

2020/12/2 ハシブトガラスとヒヨドリ

ハシブトガラスの画像

ゆっくりゆっくり歩く散歩道。以前から気になっていた路上に落ちているギンナン。そのギンナンを拾っておられる方を見かけたこともあったのだが、一体、どこに銀杏の木があるのだろうか。色づいた銀杏の木を数本見かけるのだが、どう見てもギンナンは、実っていないようだ。

いつもと違う方角から歩いて見たところ、高い高いところにギンナンの実っている木を見つけることが出来た。その木を見上げているとハシブトガラスが飛んで来た。入れ替わり立ち替わり何羽も飛んでくる。流石にギンナンは、食べないようだが、この木がお気に入りのようである。さらにヒヨドリも飛んで来た。ハシブトガラスとヒヨドリ。あまり好まれない鳥かもしれないが、銀杏の木にとまったハシブトガラスもヒヨドリもなかなか良いモデルであった。

2020/12/3 シジュウカラ Japanese Tit

シジュウカラの画像

秋も深まり、木々の紅葉や黄葉もピークを過ぎてハラハラと葉を落としている姿を見かけるようになった。散歩道のモミジバフウの色づきは美しくそこにメジロやシジュウカラが混群で飛んで来て、忙しく動き回り、やがて飛び去って行く。あまりのせわしさに振り回され、とうとう1枚もシャッターを押すことが出来なかった。

道路を挟んで、反対側にある背の高い木、残念ながら名前が分からない。この背の高い木に、以前、マヒワやアトリが飛んで来てゆっくりしていったことがあった。もう何も来ないのかな?と懐かしい思い出に浸っていると何やら鳥の動く気配。シジュウカラであった。2羽のシジュウカラが、見え隠れして何とかモデルになってくれた。もうすぐこの葉も散っていくことだろう。

2020/12/4 タシギ Common Snipe

タシギの画像

秋の渡りの頃には、数カ所で何度も見かけていたタシギ。ある日を境にぷっつり姿が見られなくなってしまった。一体、どこに隠れているのだろうか。いくつかの蓮田を回ってもなかなか出会いがなかった。ずっと気になっていたが、たくさんのタシギを見たと言う話を聞いた。それも私が、何度も何度も足を運んでいる蓮田である。

鳥との出会いは、タイミングと常々思っているが、その蓮田に到着して驚いた。タシギの山が出来ている。こんな光景は、今まで見たことがない。蓮田一面にたくさんのタシギの姿があり、さらに小高くなったところにタシギが群れている。久しぶりに見るタシギは、何故かとても新鮮に見えた。嬉しい出会いであった。

2020/12/5 チョウゲンボウ Common Kestrel

チョウゲンボウの画像

出来れば、シギチに会いたいと願いながら、時折、田んぼに足を運ぶ。二番穂が目につくが、田んぼによってまちまちで早くも冬枯れの印象が濃い田んぼもある。どの田んぼも水がなくカラカラなので、シギチとの出会いは、難しい。時折、ヒバリが飛び立つのを見かけるだけである。

そこに姿を見せたのがチョウゲンボウであった。ふわりと飛んできて刈田に舞い降りた。逆光気味なので、順光側に移動しようと車を動かした途端、飛ばれてしまった。距離は遠くなったが、背面が見え、嬉しい出会いとなった。これから寒さに向かってチョウゲンボウとの出会いの機会が増すだろうか。楽しみである。

2020/12/6 ツクシガモ Common Shelduck

ツクシガモの画像

11月の初めに、いつもシギチの観察に訪れる蓮田地帯にツクシガモが飛来したとのニュースが入った。ツクシガモは、以前、渡良瀬や銚子、馴染みの蓮田地帯でも出会っているが、出来れば久しぶりに出会ってみたい。その思いが通じたようである。

ご親切にポイントを教えてくださる方があり出掛けてみた。蓮田を見ながら歩き始めると2羽の白っぽい鳥が飛んで行くのが見える。逆光で良く見えなかったが、もしかしたらツクシガモかもしれない。でも他のシギたちのことも気になり、別の蓮田を目指す。その蓮田には、タゲリの姿はあったが、他には見当たらない。いくつかの蓮田を見て回り、昨年の秋、ウズラシギなどを見たところに差し掛かると何と前方からツクシガモが飛んで来て降りたった。

非常に警戒心が強いと聞いているので、枯れた蓮の間からそっとそっと観察した。距離はあったが、何とか2羽のツクシガモの姿を見ることが出来て大満足の一日であった。

2020/12/7 タカブシギ Wood Sandpiper

タカブシギの画像

秋の渡りで賑わった蓮田もひっそりしてしまい、あちこち蓮田を回ってみても、なかなかシギチとの出会いは難しい。そのような折に、必ずと言っていいほど姿を見せてくれるのが、タカブシギである。タカブシギは、かなり警戒心が強く、こちらの気配を察してすぐに飛び去ってしまう。ところが不思議なことに、この日の出会いは、こちらの姿が見えているはずなのに飛ばれなかった。ちょうど死角になっていたのだろうか。

その中の1羽が水浴びを披露してくれた。鳥たちにとって水浴びは、大切な行事である。懸命に丁寧に水浴びする姿は、見ていて気持ちが良い。個体数が激減しているというタカブシギを何度も見ることが出来て何とも有難いことである。

2020/12/8 タヒバリ Buff-bellied Pipit

タヒバリの画像

稲穂が揺れる頃は、黄金色に輝いていた稲田も、今は、すっかり冬枯れの田んぼになり、褐色の世界が広々とどこまでも続いている。その田んぼで、出会いの機会が多くなっているのがタヒバリである。結構、警戒心が強いので、車で近づいても飛ばれてしまうことがある。

この日の出会いのタヒバリは、実に大らかであった。車から、かなり近い距離であったが、ゆったりしていて、角度を色々変えて歩き回っていた。奥の方にも数羽のタヒバリの姿が見えたので、群れでこの田んぼに降りたのであろう。胸の斑も背中の模様もシックで美しい。ゆっくり観察出来たことに大いに感謝している次第である。

2020/12/9 カルガモ Eastern Spot-billed Duck

カルガモの画像

鳥見を始めた頃は、足繁く通った沼のほとり。コブハクチョウやオオバン、カルガモ、カイツブリなど、ごくごく身近な鳥にレンズを向けることが多かった。野鳥の世界にどっぷり浸かり、北の大地、南の島へと足を伸ばすようになって、沼のほとりがいつしか遠い存在になってしまった。

体が思うように動かなくなって、身近な鳥に目を向けることが多くなった今、沼のほとりは、貴重な撮影ポイントになっている。久しぶりに見るカルガモの水浴び。カルガモの生き生きとした表情が何とも嬉しい。身近な鳥のさり気ない動き、表情を捉えることが出来たらと願っている。

2020/12/10 タゲリ Northern Lapwing

タゲリの画像

久しぶりに出かけた田園地帯で、出会いの多かったのがタゲリである。いつもは、タ カブシギとの出会いが一番多いのだが、この日は、あちこちでタゲリが姿を見せてくれた。水がいっぱい入っている蓮田には、数羽のタゲリがいて、とても居心地が良さそうに見えた。

早いときには、10月末ごろに姿を見せるタゲリ。今季は、11月に入って何回か見かけている。しかし距離があったり、逆光だったり、なかなか良い条件というわけにはいかない。この日は、嬉しいことに程よい光線でゆったりとしたタゲリの姿を見ることが出来て大満足であった。

2020/12/11 セイタカシギ Black-winged Stilt

セイタカシギの画像

越冬するシギチとの出会いを求めて、久しぶりに蓮田地帯に足を運んでみた。以前は、シギチの越冬組の姿が良く見られた蓮田の一角は、様子が変わってしまって、水気がなくカラカラに乾いているので、シギたちの姿を望むべくもない。いくつかの蓮田を見て回ったが、今の時期は、やはり出会いは少ないようである。

いつもは鳥影のない蓮田に差し掛かると、珍しくシギの姿が見える。嬉しいことにセイタカシギである。水をいっぱいたたえた蓮田なので、あの長い脚が全部見えないのが残念であるが、赤くてほっそりした美しい脚が見え、赤い目もきらりと輝き、何とも嬉しい出会いであった。

2020/12/12 オカヨシガモ Gadwall

オカヨシガモの画像

大好きなシギチに会いたくて、何度も何度も足を運んできた蓮田地帯だが、越冬しているシギチとの出会いも少ないので、少々足が遠のいている。時には、鳥見がしたいとの思いで出かけるのが近くの沼のほとりである。

湖畔に沿って少し歩くと、すぐにオカヨシガモの姿が見えてきた。2羽で寄り添うように仲良く泳いでいる。レンズを向けるとあっという間に遠ざかってしまった。しばらく行くと今度は、カンムリカイツブリに出会った。これから寒さに向かって、数を増してくることだろう。ヒドリガモが集まっている場所もあって、何とものどかで嬉しい沼のほとりの光景であった。

2020/12/13 スズメ Eurasian Tree Sparrow

スズメの画像

風もなく初冬の日差しが心地よく降り注ぐ師走の朝。湖畔に沿ってゆっくり歩く。遠くにカモの群れが見えるが、あまりに遠くてレンズを向ける気にもなれない。湖畔に沿った枯れ草が揺れたように思った。少々距離があるので、双眼鏡で見てみるとスズメの群れである。ちょっと遠いがレンズを向けてみよう。

スズメは、警戒心が強いので、人の気配を察すると遠くに移動してしまう。悟られないように何とか撮影。さらに少し歩くとホオジロの姿を発見。あまりすっきりしない背景だが、撮影出来たことに感謝。小休止と思って立ち止まったところには、イタチがひよっこり姿を見せてくれた。

2020/12/14 モズ・ジョウビタキ

モズの画像

穏やかな初冬の日差しに誘われて、久しぶりに湖畔に沿って車を走らせる。寒さに向かってカモたちの姿も多くなっていることだろう。そんな思いで出掛けたのだが、オオバン、カイツブリの姿を見かけるだけで、なかなかカモたちの姿が見えて来ない。

湖畔に沿った葦原に、何か小鳥でもいないかと思って耳を澄まし、目を凝らすが、それもまた、なかなかである。やっと小鳥の動く気配があって前方を見るとどうやらモズのようである。頭をカキカキのポーズもしてくれて、楽しませてくれた。さらに少し進むと今度は、ジョウビタキが登場。ジョウビタキの雄に会うのは、今季初めてなので嬉しさが増す。湖畔には、柔らかな日差しが降り注いでいる。

2020/12/15 ハシビロガモ Northern Shoveler

ハシビロガモの画像

越冬しているシギチに会いたくて、蓮田地帯に足を運んでみた。最初のポイントでは、カモたちがたくさん姿を見せてくれて、のどかで和やかな光景を楽しませてもらった。蓮田に、こんなにたくさんのカモたちが集まっているのを見たのは、初めてである。

蓮田にいたのは、コガモとハシビロガモであった。コガモは、水がたっぷり入った蓮田を悠々と気持ち良さそうに泳ぎ、余程気持ちが良かったのか、眠ったりもしている。ハシビロガモは、蓮田の畦のところに数羽が並び、水を飲んだり、羽繕いをしたり、眠ったり、それぞれが思い思いに行動していて何とも心安まる光景であった。

2020/12/16 クサシギ Green Sandpiper

クサシギの画像

冬枯れの田んぼは、乾いた土塊があちこちに見受けられ、水気がなく、何とも物寂しい感じがする。それでも、ところによっては、今の時期にしては珍しい緑色の草を見かけることもあり嬉しくなってくる。その緑の草を背景に眠っている鳥がいた。もしかしてイソシギかな?と思ったが、羽をよく見るとクサシギのようである。ずっと出会いがなかったので、クサシギとの出会いは、何とも嬉しい。

近くでは、セグロセキレイやツグミの姿も見かけ、カワセミも杭から飛び立った。電柱には、ノスリがとまり、枯れ木にはトビの姿がある。冬枯れの田んぼに、また足を運んでみたいと思う。

2020/12/17 タカブシギ Wood Sandpiper

タカブシギの画像

初冬の日差しが心地良い日。蓮田地帯をゆっくり回ってみた。今の時期、越冬のシギチに会えれば最高だが、日によってタイミングが合わなければ出会いは、実現しない。しかし、毎回、裏切らずに姿を見せてくれるのがタカブシギである。

この日は、水のいっぱい入った蓮田が、青空を映して爽やかなブルーの湖面となり、とても美しかった。その蓮田にタカブシギが2羽、姿を見せてくれゆったりと寛ぐシーンを展開してくれた。背景によって、鳥の印象は、ずいぶん違って来る。この日のタカブシギとの出会いは、嬉しく心に残るものとなった。

2020/12/18 タゲリ Northern Lapwing

タゲリの画像

越冬のシギチを求めて、蓮田地帯を時折訪ねてみる。今季は、あまり多くはないが、日によって何かしら出会いがあり、そこそこ楽しむことが出来る。タカブシギには、毎回出会うが、タゲリとの出会いも多い。ふだん、タゲリをシギチとして考えたことがないが、チドリ目チドリ科なのである。

この日のタゲリは、水浴びを披露してくれた。蓮田の水は、気持ち良かったのだろうか。水しぶきをあげてバシャバシャとする姿は、見ていて気分爽快であった。鳥たちにとって大切な水浴び。羽を綺麗に保ち、寄生虫などを駆除する役目をする。これで、しばらく気分良く過ごせることだろう。

思い出のアルバム作成にあたって

野鳥に関心を持ったきっかけは、手賀沼のほとりで出会った9羽のコブハクチョウでした。2003年5月3日のことです。スタートは、コブハクチョウでしたが、やがてジョウビタキやベニマシコなどにも関心を持つようになり、深みにはまっていったわけです。折角なので、その年に出会った印象深い鳥をモチーフにカレンダーを作ろうと思い立ち、2004年から手作りカレンダーを作り始めました。稚拙なものですが、真心こめて作りました。今年も作成いたしましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。今回で17回目となります。なお2年前に体調を崩し、遠征等は全く出来なくなりましたので、当年だけでなく過去の画像も含めての作成となっております。

2020/12/19 コミミズク Short-eared Owl

コミミズクの画像

馴染みのフィールドに久しぶりに姿を見せたコミミズク。大人気の鳥で、あっという間に噂が広がり、ポイント近くには、車の列が出来た。最初に姿を見かけた時は、ほとんど誰もおらず、目の前の杭にとまったコミミズクにこちらが仰天してしまった。まん丸で金色の瞳が、こちらをじっと見つめている。その姿は、あまりにも鮮烈でしっかりと目の奥に焼き付いて決して忘れることはない。

2020/12/20 ベニヒワ Common Redpoll

ベニヒワの画像

雪が残る高原で、嬉しい出会いが待っていた。真っ赤なベレー帽が良く似合う可愛い鳥。その名は、ベニヒワ。この鳥に初めて出会ったのは、時折、吹雪いて前方が見えなくなるほどの豪雪地帯であった。その後、北海道のツアーに参加した折と離島での出会いだけである。

唐松の林には、松ぼっくりがたくさんあって、その実を啄みに来ているらしい。赤いベレー帽が見え隠れするが、なかなか撮影するまでに至らない。悪戦苦闘して、何とか数枚、ベニヒワらしい姿を捉えることが出来た。空は、青く澄み渡り、時折、頬をなでる風が心地良い。高原にも春の足音が近づいている頃の出会いである。

2020/12/21 オオマシコ Pallas’s Rosefinch

オオマシコの画像

高原には、まだわずかに雪が残っていた。早春の風が吹き、枯れたハギの実が音もなく揺れる。ハギの実のところに姿を見せたのは、オオマシコ。どうやら雌のようである。雄のオオマシコは、鮮やかな赤色で印象が強いが、シックな色合いの雌も愛らしくて、私は好きである。

小さなハギの実を一心に啄み、時折、体勢を変え、また一心に啄む。なかなか良い位置に姿を見せてくれないのだが、何とかハギの実を啄む姿を見ることが出来て大満足。今度、オオマシコに会えるのは、いつのことだろう。

2020/12/22 ツルシギ Spotted Redshank

ツルシギの画像

田んぼに飛来するシギチに関心があり、春の渡り、秋の渡りの時期には、足繁く田園地帯、特に蓮田地帯に足を運んで来た。その中で、とびきり思い出が多いのは、ツルシギである。例年、春の彼岸の頃に飛来し、ゴールデンウィーク開けの頃、真っ黒な夏羽になるまで滞在してくれた。換羽の状況が刻々と変わり、その変貌ぶりに目を見張ったものであった。

真っ黒な夏羽を見たのは、数えるほどしかない。その中で、一番、心の奥深くまで入り込んで忘れられないのがこの一枚である。このようなツルシギを見る機会がほとんどなくなってしまい誠に残念であるが、いつかまた出会いが叶う日が来ることを心から願っている。

2020/12/23 エリマキシギ Ruff

エリマキシギの画像

田園地帯で春の渡りの頃に見られるシギチの中で、ツルシギと並んで関心があるのがエリマキシギである。特にエリマキシギ雄の夏羽に会いたいというのが強い願望である。日本では、完全な夏羽を見ることは難しいが、稀に換羽中の個体に出会えることもあるので、大いに期待したいところである。

その稀な出会い、換羽中の雄のエリマキシギに会えたことがあった。襟元の黒いふさふさが、何ともお洒落な感じがして、もう少し滞在して欲しかったが、この日を最後に旅立ってしまった。心に深く残る思い出である。

2020/12/24 アオサギ Grey Heron

アオサギの画像

シギチの姿を求めて蓮田地帯を時折、訪ねることがある。それは、春の渡り、秋の渡りに関係なくもしかしてという淡い思いがあるからである。この日も、時季外れであるが、何か出会いはないものかと出掛けてみたが、世の中、それほど甘いものではなく、シギチの姿の片鱗もなかった。

がっかりしてたどり着いた蓮田で待っていてくれたのが、このアオサギである。その姿は、まさにモデルのようで、ちょうど良い位置に現れ抜き足、差し足、忍び足というポーズをとってくれたのである。このアオサギには、感謝、感謝の日であった。

2020/12/25 オオソリハシシギとオバシギ

オオソリハシシギとオバシギの画像

現在では体力もなくなって、田園地帯のシギチを観察するだけになってしまったが、以前は、干潟や浜辺のシギチにも関心があり、時折出掛けることがあった。この日は、夏羽のレンカクを見た後、浜辺に車を走らせていた。今では、信じられないほどの行動力である。

浜辺で待っていてくれたのは、オオソリハシシギとオバシギであった。田んぼで出会うことは稀であるので、波打ち際を急ぎ足で歩くシギの姿が、ことさら印象深く思われた。そして一瞬立ち止まり、このような姿勢をとってくれたのだった。遠い日の懐かしい思い出である。

2020/12/26 アオバズク Brown Hawk-Owl

アオバズクの画像

青葉若葉の頃に飛来し、小中学校の夏休みが始まる頃に雛が姿を見せるアオバズク。今年もその雛の姿を見たくて、早朝、何度か青葉の森に足を運んだ。この森では、雛が巣立ちした後、わずか1~2日で姿が見られなくなってしまう。それ故、タイミングを逃さないようにと気をもみながら、その日を待った。

今年は、天候不順も影響したのだろうか。早朝、洞から姿を見せ、すぐにまた洞に戻ってしまうといことを数日繰り返し、例年よりかなり遅れて巣立ちした。情報を頂いて現場に出向いてみるとカメラマンらしき人の姿は、ごくわずか。アオバズクもどこにいるのか皆目、見当がつかない。ご親切な方に教えて頂いて何とか居場所を確認出来た次第である。

2020/12/27 カケス Eurasian Jay

カケスの画像

今年は、カケスの当たり年ということを耳にしたが、私は、なかなか出会いの機会がない。数年前、馴染みの公園近くで1羽のカケスに出会った。カケスは、とても警戒心が強く、人の気配を感じるとすぐに飛び去ってしまう。ところがこのカケスは、悠然としていて動じる気配もない。

そのような訳で、青空を背景にちょっとポーズをとったようなカケスを撮影することが出来たのだった。いたずらっ子のような目が何とも愛らしく、ブルーの羽が美しいカケス。また是非、ゆっくり会いたいものである。

2020/12/28 マガン Greater White-fronted Goose

マガンの画像

秋の深まりを感じさせる季節を迎えると、コハクチョウやオオハクチョウ、マガンやヒシクイなどの飛来のニュースが気になって来る。その年によって飛来の状況は、様々だが、身近な場所で出会えると嬉しさが増す。

マガンが見られると情報を頂き、早速現地に出掛けてみた。湖面には、オナガガモの姿が数多く見られ、次いでマガモの数が際立っていた。少し目を転じると、ゆったりと羽を休めているマガンの姿がある。青い湖面にゆったりと浮かぶマガン。この地で見られるのは、40数年ぶりという。嬉しく心に残る出会いであった。

2020/12/29 ハイイロチュウヒ Hen Harrier

ハイイロチュウヒの画像

暑さを感じる季節には、コジュリンやセッカの声で賑わった草原。秋の深まりと共に、緑色だった草地が、褐色に変わっていく。その色合いは、淡いベージュ色で、目に心に優しくホッとして、いつまでも眺めていたくなる。

草地が褐色に覆われる頃、姿を見せるのが、猛禽類である。チュウヒやハイイロチュウヒ、時には、コミミズクの姿を見かけることもある。チュウヒやハイイロチュウヒは、飛んでいる姿を見る機会は、比較的多いが、地上に降りている姿を見る機会は案外少ない。この日、枯れ草のわずかな隙間からちらっと姿が見えたのが、ハイイロチュウヒであった。ちょっと異国の雰囲気が漂う凜々しい姿であった。

2020/12/30 ウミスズメ Ancient Murrelet

ウミスズメの画像

寒い季節を迎えると出会いを楽しみにしているのが、海鳥である。我が家からは、少し遠いので、しばしば足を運ぶ訳にはいかない。時期を見計らって、空振りがないよう願いながら現地に赴く。ビロードキンクロやウミアイサとの出会いも楽しみであるが、一番の楽しみは、何と言ってもウミスズメである。

岸壁の近くで可愛い声を聞くことがある。♬チッチッ♬チッチッその声を聞くと近くにウミスズメがいることに気がつき、姿を見せるのをじっと待つ。ぷっかり浮かび上がって来たウミスズメの姿を見た時の喜びは、何と表現したら良いのだろうか。この日の湖面は、素敵なキャンバスに思えた。

2020/12/31 2021年のカレンダー

2021年のカレンダー

今年も残すところ後わずかとなり、この1年を振り返ってみますと色々なことが思い出されます。一昨年秋に体調を崩しましてから、今までのような鳥見をすることが難しくなり、家族に支えられながら何とか今年も、鳥見を続けることが出来ました。家族には、心から感謝致しております。

鳥たちとの出会いの中で、特に印象深いのは、田んぼに飛来する春の渡り、秋の渡りのシギチとの出会いでしょうか。今年は、特に秋の渡りのシギチとの出会いが鮮烈な思い出となっております。キリアイ、エリマキシギ、ツルシギ、アカアシシギ、オジロトウネン、ウズラシギ、ヒバリシギ、オグロシギなど多彩な顔ぶれを間近にゆっくり観察することが出来ました。

田んぼで出会うシギたちに支えられ、そしてこのHPを訪問してくださる皆様のお力に支えられ、今年も「九羽の白鳥」の更新を何とか続けることが出来ました。心より感謝致しております。来る年もどうぞよろしくお願いいたします。