[ オナガの雛 ]
- あ~あ 落っこっちゃた
- お家はどこかな
- ここから登ろう
- 高いなぁ まだまだあるなぁ
- よいしょ
- よいしょ
- やれやれ 一休み・・・と
- やっと着いたよ
うっとうしい空模様をはね飛ばすような賑やかな声が、林の中に響き渡っている。♪ギュィー♪ギュィー♪ギュィー♪林の中では、オナガが、ヒラヒラと優雅に舞っているのだが、その声は、姿には、似つかわしくない耳障りな声である。
幼稚園児らしい女の子と母親が、立ち止まり、道路の片隅をじっと見つめている。近づいてみると、何とオナガの雛が、巣から落ちてしまったようだ。しばらく様子を見ていると急にぴょんぴょんと跳びはねて、親鳥たちがいる木の側まで、何とかたどり着いた。その後が、何とも凄い!必死に木肌をよじ登って行く。ガンバレ!ガンバレ!ガンバレ!ただただ見守るだけであったが、その姿には、胸に迫るものがあった。