田んぼの思い出は、数々ある。そのひとつが、コミミズクとの出会いである。かつて、馴染みの田んぼでは、寒さに向かって、小鳥の姿が、たくさん見られた。スズメは、もちろんオオジュリン、カシラダカ、ホオジロ、ホオアカ、時には、コホウアカを見たこともあった。刈田には、たくさんの落ち穂があったし、枯れ草で、小鳥たちが隠れるような場所も、あちこちにあった。
田んぼが大好きな私は、寒い時期も良く田んぼに足を運んだ。その日、前方の畦に見慣れない鳥の姿を見つけ、一瞬、ドキッとなった。どう見てもコミミズクである。その時まで、この田んぼにコミミズクがいることを知らなかった私は、大いに驚いた。あの日のコミミズクの鋭い眼光が、目に焼き付いている。初冬の田んぼの思い出である。