春には、頼りなげな早苗が揺れ、やがてぐんぐん伸びた稲の緑が辺り一面を覆い尽くし、緑の絨毯を敷き詰めたようになる。そして、じりじりと照りつける真夏の日差しのもとで、黄金色の稲穂が輝く。田んぼの光景は、いつ見ても輝いていて心癒やされるものがある。
収穫の済んだ田んぼの光景は、寂しくもあるが、その風情に心惹かれるものがあり、晩秋から、初冬にかけて私は、しばしば田んぼに足を運ぶ。冬枯れという言葉が、ふさわしいのだろうか、その田んぼで、セッカに出会った。小さな鳥だし、少々距離もあったので、気がつくのが遅かったが、何とも嬉しい出会いであった。
繁殖期には、賑やかな声で、田んぼを飛び回るセッカだが、初冬の田んぼでは、実に静かである。