海水浴で賑わう夏の海辺は好きになれないが、人気の少なくなった海辺には、心惹かれるものがあり、何度か足を運んできた。後から後から寄せては返す波打ち際に佇んでいると遠くの波打ち際に、ミユビシギが、小走りに動きまわっている姿が見える。
その海辺に、珍しい鳥が姿を見せているという。その鳥の名前は、アラナミキンクロ。そのとき、初めて聞く名前であった。前方を見ると水鳥の姿が見えるが、それが一体何者なのかさえ分からない。1羽ならともかく、数羽泳いでいる中から、初めてのアラナミキンクロを探しだすのは、当時の私には、困難を極めた。距離があると識別は、かなり難しい。近づくのを待つことにした。
しばらく待って近づいて来たのは、何とも不思議な容貌の鳥であった。寒さの中で出 会ったアラナミキンクロ。忘れられない冬の海辺の思い出である。