一面に枯れ草ばかりであった岸辺に柔らかな緑の草が目に付くようになった。川の流れに沿ってゆっくりゆっくり歩みを進める。♫フィッフィホ♫フィッフィホ♫思いがけない声が聞こえて来る。空耳だろうか。一瞬、いぶかしく思ったが、立ち止まって辺りの様子をうかがう。すでに旅立ったと思っていたベニマシコが、まだ滞在していたようである。
しばらく待つと、赤味の強いベニマシコとうっすらとした色合いのベニマシコが姿を見せてくれた。なかなかすっきりしたところには、姿を見せてくれないが、思いがけない出会いに胸が弾む。旅立ちの日も近いことであろう。嬉しい出会いであった。