風の強い日だった。冬の青空が広がりコートの襟を立てて車を降りた。前方に広がる沼の湖面には、びっしりと埋め尽くすほどのカモの群れが見える。オナガガモの群れである。これほど密集したカモの群れを間近に見たことがなかったので、驚き興奮気味に湖面を見つめた。おそらく風で吹き寄せられるような形で集まったのではないだろうか。
観察している間に二度ほど、一斉に飛び立ったことがあった。私の視界には入らなかったが、おそらく猛禽が出たのではないかと思う。冬の沼の景色は、何とも言えない郷愁のようなものがあって心落ち着くところである。