タイトル:九羽の白鳥 とりどり日記

2023/2/1 オナガガモ

風の強い日だった。冬の青空が広がりコートの襟を立てて車を降りた。前方に広がる沼の湖面には、びっしりと埋め尽くすほどのカモの群れが見える。オナガガモの群れである。これほど密集したカモの群れを間近に見たことがなかったので、驚き興奮気味に湖面を見つめた。おそらく風で吹き寄せられるような形で集まったのではないだろうか。

観察している間に二度ほど、一斉に飛び立ったことがあった。私の視界には入らなかったが、おそらく猛禽が出たのではないかと思う。冬の沼の景色は、何とも言えない郷愁のようなものがあって心落ち着くところである。

2023/2/2 ヒドリガモ

時折、出掛ける静かな公園。散歩の人の姿を見かけることもほとんどない。その公園には、程良い大きさの池があって、冬になるとカモたちが姿を見せてくれるのが楽しみである。久しぶりに池を覗いて見るとヒドリガモの姿が目に入った。そのヒドリガモの中にどうやらアメリカヒドリではないかと思えるカモの姿が目に入った。ヒドリガモの群れは、皆仲良く、お散歩でもするような雰囲気でその池を泳いでいた。何とも心和む光景に嬉しくなって、また近いうちに足を運んで見たいと思いながら公園を後にした。

2023/2/3 タゲリ

今季、冬の貴婦人と言われるタゲリに何度か出会ってはいるのだが、なかなか近くでの出会いの機会は少なく、ほとんど遠くにタゲリの群れを見るばかりであった。しかし、やっと念願が叶ってすぐ目の前というくらいの距離で出会うことが出来た。車からの観察であったので、少々角度が難しく似たようなカットばかりであるが、それでも近くで出会えたことに感謝である。

タゲリの羽は、いわゆる構造色で太陽光があたると美しく輝く。緑色に紫がかった色合いが何とも言えず美しい。水の入った田んぼでの出会いであったので、ことさら美しく見えた。今度は、いつ会えるだろうか。出会いが楽しみである。

2023/2/4 ハシビロガモ

時折、訪ねる蓮田地帯。鳥たちとの出会いは少ないのだが、それでも何か出会いはないかと足を運んで見る。この日、収穫の済んだ蓮田で、待っていてくれたのは、ハシビロガモであった。数羽のハシビロガモが、ゆったり泳いだり羽繕いをしたり、のどかな光景を見せてくれた。

中でも、ハシビロガモの羽繕いは、愉快である。足をあげて、頭カキカキのポーズは、思わず吹き出したくなる光景であった。ハシビロガモに限らず、カモたちは、かなり体が柔らかいようである。このような蓮田のひとこまも、たまには良いのかもしれない。

2023/2/5 タカブシギ

時折足を向ける蓮田地帯。大抵待っていてくれるのは、タカブシギである。この日も、一羽のタカブシギが愛想良く出迎えてくれた。車からの観察なので、鳥たちに負担をかけることは少ないと思うが、それでも短時間で切り上げるようにしている。

タカブシギの羽模様は、ちょうど刺し子のようで、大好きである。シックなこの装いと優しそうな顔立ちに心惹かれている。今度もまた出会えるであろうか。近々、また、蓮田地帯を訪ねてみたいものである。

2023/2/6 散歩道

ゆっくり歩く散歩道。風もなく穏やかな日にゆっくりゆっくり歩いてみた。石蕗明かりと言われるほど黄色が鮮やかで綺麗なツワブキの花も流石に、真冬の寒さを越えて様変わりしていた。白いボンボンがいくつも集まっているように見えた。沈丁花がまだまだ固い蕾であったが、春を待ちわびているようで何とも嬉しかった。すぐ近くでは、スイセンが白くて可愛い花をつけている。

梅林に行ってみると、白梅が、ほぼ三分咲きと言った感じで、咲いていて、嬉しかった。これくらいの時期が、一番美しいように思う。空を仰げば、白い雲がぽっかり。冬の青空は、実に気持ちが良い。

2023/2/7 公園のひとこま

久しぶりの公園で出会ったのは、エナガである。あの♬ジュリジュリジュリ♬の声が聞えて来たときは、胸が弾んだ。はじめのうちは、カエデの木の上の方を飛び回り、見上げる形でどうにもならなかったが、あっという間に、手の届くようなところに降りて来てフレンドリーに飛び回る。しかし、相手は、野鳥である。すぐ目の前に姿を見せても、あっという間に次のステージへと移動している。その動作の何とすばしこいことだろう。目の回るような忙しい動きに翻弄されながら、何とか数枚、シャッターを押すことが出来た。またの出会いを楽しみにしている。

2023/2/8 公園のひとこま

冬になると出会いを楽しみにしている鳥のひとつがアカハラである。ここ数年、冬になると訪れる公園で今年は、なかなかアカハラの姿を見かける機会がなかった。ジョウビタキやアオジなどの姿を見かけることはあっても何故かアカハラに会えない。

しかし、待てば海路の日和あり。やっとアカハラに出会った。枝かぶりで撮影は、困難を極めたが、アカハラに出会えた嬉しさで、枝かぶりも何のそのであった。今度は、もっとゆっくり姿を見せて欲しいものである。

2023/2/9 散歩道のひとこま

自宅近くをゆっくり歩くのは、心落ち着き思いがけない出会いもあって、なかなか楽しいものである。流石に今の時期は、冬枯れで寂しい木々が多いが、時に赤い実を見つけると心が弾んで来る。センリョウの赤い実が、わずかに残っているのには驚いた。マンリョウは、何故か後まで残るが、センリョウは、鳥に食べられてしまうらしい。

青空を仰ぐと早春の風がゆっくり頬を撫でて過ぎ去って行った。

2023/2/10 散歩道のひとこま

湖畔沿いにゆっくり歩いてみた。小さな鳥が時折飛び立つが、すぐに枯れた葦原の中に潜り込み、その鳥が何であるか正体が分からない。しばらくするとやっと姿を見せてくれた鳥がいた。何と久しぶりの出会いのホオジロであった。何とも愛らしい顔立ちでその出会いに胸が弾んだ。

しばらくすると、前方に小鳥の群れ。スズメとちょっと違うと思ったが、それは、カワラヒワであった。群れの撮影は、何とも難しい。串刺し状態のカワラヒワにレンズを向けてなんとか撮れた写真がこれである。

2023/2/11 沼のほとり

ずっと気になっていたヨシガモ。沼のほとりに立つと数組のヨシガモの姿が見えるが、何分にも距離がある。私のカメラで撮るには、少々厳しいが、少しでも近づいてくれるのを待ってレンズを向けてみた。ディスプレイのような仕草をする雄の姿が見えるのだが、タイミングが合わず、その瞬間がなかなか撮影出来ない。でも出会えただけでも良しとしなけばと自分を慰めて沼の畔を後にした。ヨシガモが渡去する前にもう一度行ってみたいものである。

2023/2/12 アオジ

冬になると出会いを楽しみにしている鳥のひとつにアオジがいる。以前は、冬になれば当たり前のように姿を見せてくれたアオジだが、ここ数年、出会いの機会が激減している。今季も、出会いがないまま、終わりかな?と半ば諦めていたが、ひょっこりアオジが姿を見せてくれた。

ジョウビタキに出会い、その動きに翻弄されているとき、ひょいとすぐ目の前の枯れ枝に姿を見せてくれたのがアオジである。あまりの近さに戸惑ったが、何とか撮影出来て感慨深いものがあった。出会いに感謝である。

2023/2/13 ミコアイサ

ゆっくり歩く散歩道。この日は、気になっていた公園の池を目指して出掛けた。会いたかったのは、ミコアイサの雄。パンダガモと俗称で呼ばれることがあるように白と黒のコントラストがハッキリした鴨である。

歩くのが少々大変な私には、なかなかきついコースであったが、池の畔を歩くのは、何とも楽しかった。結局、雌のミコアイサには、会えたものの、目指すミコアイサの雄には、とうとう出会いが叶わなかった。また、渡去する前に是非、行ってみたいと思っている。

2023/2/14 メジロ

ゆっくり歩く散歩道。ずっと気になっていた河津桜の開花。ここ数日、暖かい日が続き、お花がほころび始めたようである。まだ、ほんの少しだけであったが、それでも嬉しくてカメラを向けていると可愛い声が聞こえてきた。メジロである。2羽で姿を見せてくれた。

河津桜の小枝が多くて、撮影は、なかなか難しかったが、何とか数枚撮れていてやれやれである。もう少しお花が開いたらまた、メジロの写真を撮りに出かけてみようと思う。ゆっくり歩く散歩道。河津桜の咲く頃が一番、心が華やぐ。

2023/2/15 オオハシシギ

寒い朝だった。久しぶりに蓮田地帯を回ってみると、たくさんのシギが集まっている蓮田があった。オオハシシギである。一月ほど前に訪れた時、オオハシシギ多数とハマシギの大きな群れを見たことがあったが、あれ以来、シギの姿を見ることがなかったので、この日の出会いは、ことのほか嬉しかった。

寒い朝だったので、蓮田の一部が凍っているようであった。シャーベット状になった蓮田で10数羽のオオハシシギが熱心に採餌している。シギ好きの人間には、この光景はたまらない。いつまでも去りがたい想いであったが、お邪魔をしないように短時間で切り上げて帰路についたのだった。

2023/2/16 ミコアイサ

よく出掛ける公園に程良い大きさの池がある。ここには、毎冬、ミコアイサが姿を見せてくれる。今シーズンも何回か足を運んでいるのだが、なかなか雄のミコアイサに出会う機会が巡ってこない。この日も、雌のミコアイサを3羽ほど見かけただけで帰ろうとしたとき、真っ白な鳥の姿が目に飛びこんで来た。ミコアイサの雄である。

かなり距離があったが、じっくり様子を見ながら待っていると少しずつ近づいて来てくれた。初めは、1羽で泳いでいたが、2羽になったり3羽になったりで見ていて楽しむことが出来た。雌も近くに姿を見せてくれて大満足の鳥見となった。

2023/2/17 ヤマガラ

久しぶりに出掛けた公園で車を降りた途端、聞えて来たのは、懐かしいヤマガラの声である。♬ニーニーニー甘えた声で盛んに鳴いている。声のする方角に行ってみるが姿が見えない。そう言えば、あれほど賑やかに鳴いていたのに、私が声のする方角に近づくと声がぱったり止んでしまった。こちらの気配を察して、どこかに移動したのだろうか。

なかば諦めて、遠くの小枝でメジロが飛び交うのを眺めていると何とヤマガラが姿を見せてくれた。最初は、かなり高いところで枝かぶりばかり、とても撮影出来る状態ではなかったが、しばらくすると何とか証拠写真が撮れる状態になった。ヤマガラは、愛らしくて大好きな野鳥である。

2023/2/18 ミコアイサ

今季、なかなか出会いの機会のなかったミコアイサ雄だが、一度に6羽も姿を確認出来た日があった。最初、見た時は、ミコアイサ雄の姿は1羽であった。それが、2羽になり3羽になり4羽になっていつの間にか6羽になっていた。5羽までは、写真に収めることが出来たのだが、後の1羽は、少し離れた場所にいて撮影にはいたらず残念であった。

面白かったのは、1羽の雌の周りを5羽の雄が取り囲むようにしているシーンである。このような光景は、ヨシガモでは、見たことがあったが、ミコアイサでは、今まで見たことがなかったように思う。果たして恋の行方は、どうなったのだろうか。

2023/2/19 アカハラ

時折、訪れる静かな公園。この公園では、ほとんど人に出会うことがない。稀に出会うことがあっても、静かな方ばかりなので、ゆっくり散策を楽しむことが出来る。この公園で、私は、ここ数年、アカハラを何度も見て来た。ところが、今年は、何度か足を運んでみたものの、なかなか姿を見せてくれなかった。

やっとアカハラに出会えたのは、今月半ばのことである。何といきなり2羽のアカハラが登場しバトルを始めたのだった。しかし木陰の暗いところなので、私のカメラでは、ブレブレばかり。何とか数枚残せただけであった。それでもいきなり2羽のアカハラに出会えて大満足の一日となったのである。

2023/2/20 ジョウビタキ

ときどき訪れる静かな公園。ウグイスの地鳴きだけが聞えてくる。ゆっくりゆっくり辺りを回ってみるとジョウビタキ雄の姿が目に入った。光線の加減を考えて移動するとジョウビタキも場所を変えてしまって、なかなか思うような位置には、とまってくれない。それでも辛抱強く待つと何とか撮れる位置にとまってくれた。

どうも落ち着いて同じところにとまっているのが好きではないらしい。あちこち飛び回って何とも手のかかるモデルさんであった。早春の公園でのひとこまである。

2023/2/21 コガモ

ミコアイサに会いたくて出掛けた公園で出会ったのは、コガモである。コガモは雄も雌もずいぶんたくさんいるようであった。コガモの翼鏡は、緑色に光沢があり、とても美しい。少し羽を広げたとき、その緑色の翼鏡が見えて嬉しかった。目的のミコアイサの雄は、とうとう姿を見せてくれなかったが、コガモと出会えたことでここが和んだ。コガモは、春の半ば過ぎまで滞在するので、また、是非、会いたいものである。

2023/2/22 シジュウカラ・コゲラ

久しぶりの公園で出会ったのは、シジュウカラであった。以前は、自宅のベランダからシジュウカラの観察をするのは、容易であったが、ここしばらくシジュウカラの声を聞くこともなく、寂しい思いをしていた。

公園では、シジュウカラが数羽、姿を見せてくれ、その動きに翻弄されながら、シジュウカラとの出会いを楽しんだのである。そのとき、コゲラも鳴きながら登場し、一層、忙しい思いをしながら、シジュウカラとコゲラの撮影を楽しんだのだった。

2023/2/23 シロハラ

アカハラに出会った公園を再び訪ねてみると前回、二羽でバトルを繰り広げた付近を訪ねてみたが、全く鳥の気配がしない。アカハラをもっと丁寧に撮っておけば良かったかなと後悔に似た思いがこみ上げて来たとき、アカハラとちょっと違う声が聞えて来た。

枯れ草の影にすぐに姿を消してしまったが、あの声は、もしかしてシロハラ?そう思って辺りを探し始めると、目の前の湿地に飛んで来た鳥がいる。シロハラだった。今季初めての出会いで嬉しくなり夢中でシャッターを押した。少し冷静になり、光線を考えてそっとそっと移動し、何とか写真に収めることが出来たのだった。

2023/2/24 カシラダカ・タヒバリ

アカハラに出会った公園でカシラダカにも出会った。前回、訪れたときカシラダカの群れを見たのだが、距離がありすぎ枝かぶりで写真は、断念せざるを得なかった。今回も10数羽のカシラダカの群れを見たのだが、結構、警戒心が強くすぐに飛ばれてしまう。結局、最後に残った1羽を撮影出来ただけであった。

少し離れたところには、タヒバリもいて、程良い距離でモデル役を務めてくれた。静かで居心地の良い公園。また、ゆっくり訪ねてみたいものである。

2023/2/25 アカハラ

今季、なかなか出会いの機会がなかったアカハラだが、一度会えると二度、三度。と言うわけで案外、近くで観察出来たのである。シロハラは、異常なほど警戒心が強かったが、このアカハラは、ゆったりしていて程良い位置でモデルになってくれたのだった。枯葉をガサゴソ掘り起こして餌取する様は、見ていて何とも心和むものである。

この公園では、ツグミを何個体も見ることが出来た。今季、ツグミの飛来が遅かっただけに嬉しい出会いとなった。

2023/2/26 コチドリ

♬春は名のみの風の寒さや♬と歌に歌われているように春まだ浅い頃は、風の冷たさを感じ、時には、寒の戻りもあって大いに戸惑うところである。馴染みの蓮田地帯を回ってみると、うっすらと氷が張っている日もあって、時に驚く。

そのような日、コチドリがスケートを楽しんでいるかのような光景を見せてくれたことがある。1羽のコチドリだけであったが、楽しそうな姿が今でも目に焼き付いて離れない。身近な鳥との出会いをこれからも大切にしていきたいものである。

2023/2/27 タカブシギとタシギ

二月は、時にかなり寒い日があって蓮田地帯を回ると、一部結氷しているところもある。そのような日、鳥たちはどうしているのだろうか。そんな思いで蓮田地帯を回っているときタカブシギとタシギを見かけたことがある。タカブシギは、まるでフィギュアスケートでも始めるかのようなポーズで、一瞬立ち止まり、軽やかなステップで消えて行った。

少し離れた蓮田では、タシギが数羽集まっていて、こちらも楽しそうな表情で凍った蓮田を軽やかに歩いていたのだった。嬉しいことに寒い日でも鳥たちは、実に元気である。

2023/2/28 タヒバリ・ハシビロガモ

寒い朝、蓮田地帯を回った日、浮き草のあるところで、タヒバリに出会った。このような背景で鳥たちを見かける機会は、なかなかないので、記念に数枚シャッターを押したのだった。

さらに蓮田地帯を回ると、ハシビロガモが、目の前に飛んで来た。車からの観察とは言え、目の前に飛んで来たハシビロガモには、かなり驚いた。全部で10羽近い群れだったが、全部を写真に収めることは難しく手前のハシビロガモだけにレンズを向けたのだった。寒い日の蓮田地帯もなかなか楽しいものである。