タイトル:九羽の白鳥 とりどり日記

2025/9/1 アオサギ

蓮田地帯に秋の渡りのシギたちが集まり始めたようである。風の便りをもとに蓮田地帯に出かけてみた。年々、鳥たちとの出会いの機会が少なくなり、寂しい限りである。

広々とした蓮田で出迎えてくれたのは、アオサギであった。端正な顔立ち、佇まい。アオサギは、とても良いモデルになってくれた。良く見れば、すぐ近くにタカブシギの姿。これほど大きさが違うことに驚きである。これから秋にかけてシギたちとの出会いの機会が増すことであろう。

2025/9/2 コサギとチュウサギ

連日の暑さもほんの少しだけ空気が変わり暑さの中にも秋の気配を感じるようになってきた。少し前の出会いになるが、稲田の中にサギの群れが入っているのが見えた。小さな群れであったが、コサギとチュウサギのようである。

少し近づいてみると確かにチュウサギとコサギである。車中からの観察であるが、緑を背景に真っ白なサギの姿は、なかなか美しい。爽やかな光景に心和むひとときであった。

2025/9/3 散歩道

ずっと暑い日が続いていたが、天気予報どおり午後から雲行きがあやしくなってきた。数日前、青空が広がるなか、近隣をほんの少し歩いたことがあった。

最初に目に留まったのは、青空に映えるノウゼンカズラ。オレンジ色の花が青空に向かって誇らしげに咲いている。近くの桜の木では、アブラゼミが夏の名残を惜しむかのように元気いっぱい鳴いている。エゴノキの実は、びっしりと重たいほどに実をつけている。

身近なところに色々な出会いがあって、なんとも心和むことであった。

2025/9/4 湖畔のひとこま

霞ケ浦の湖岸に添って車を走らせたときのこと、チュウサギの飛翔を見る機会があった。その光景は、田園地帯で見るチュウサギとまた違った印象で、殊の外美しく感じられた。飛翔から着地までの流れが何とも美しい。それは、霞ケ浦の雄大な風景を背景にしてチュウサギが、立派に主役を演じきった瞬間でもあった。

2025/9/5 タカブシギ

ずっと気になっていた蓮田地帯のシギたち。どんなささやかな出会いであっても行ってみたい。その思いがようやく叶った日。蓮田地帯で出会ったのは、タカブシギであった。

一番出会いを期待していたシギであったので、その姿を認めた時は、どきどきした。タカブシギの動きは、活発で蓮田の中を実に良く動き回る。枯れた蓮の茎の所に止まったいた蜻蛉と思わずツーショット。秋の気配を感じるひとこまとなった。

2025/9/6 コチドリ

蓮田地帯のシギチの動向がずっと気になっていた。車からの観察のみであるが、何とか出かけてみたいとの思いが実現し、9月に入ってから探索に出かけることになった。

限られた条件での観察であるので、シギとの出会いは、なかなか難しく、ずいぶん探し回って、やっと出会えたのがコチドリであった。そのコチドリが目の前で水浴びを始めた。ドキドキしながらその様子を観察し、レンズを向けた。蓮田地帯でのひとこまである。

2025/9/7 コサギ

蓮田地帯での出会いの中で特に印象的だったのが、コサギの姿である。青々した蓮の葉を背景に純白のコサギの姿は何とも美しい。それがチュウサギであっても美しいのだが、コサギの方が、絵になるような気がしている。

蓮の葉が、程よい具合に背景になってくれ、一羽のコサギがひっそりとたたずむ。日本画を見るようなひとときを過ごすことが出来たことに感謝である。

2025/9/9 ミズスマシ

自宅からそう遠くないところに緑豊かな公園がある。湧き水もあり、10年ほど前までは、小鳥もたくさん見ることが出来た。今は、鳥の姿を見かけることは少なくなったが、昆虫は、たくさんいるらしい。夏休みの間は、捕虫網を持った少年の姿をよく見かけることがあった。

その公園の湧き水のところを見ているとミズスマシがたくさん泳いでいる。幾何学模様のようで、その動きは、なんとも楽しい。童心にかえって、しばらくじっとその動きを眺めていたのである。

2025/9/10 ツユクサ

九月に入ってからも暑さは、衰えることを知らず、まだまだ汗をぬぐいながらの日送りである。自宅近くの小さな公園をのぞいてみると隅の方にツユクサがひっそりと花をつけていた。

この涼やかな色合いが大好きで田んぼのあぜ道で、ツユクサを見つけると嬉しくなる。良く見るとツユクサの傍らに小さな虫の姿。これは、蜘蛛であろうか。自然と向き合い、ひととき暑さを忘れることが出来たのだった。

2025/9/15 百日紅

ずっと気になっていた百日紅のある公園。なかなか行く機会がなくて、今日、やっと行くことが出来た。ここには、紅白の百日紅があり、小さな公園であるが、とても心落ち着く場所である。ずいぶん時間が経ってしまったので、もう花の時期は、終わっていると思っていたのに、まだ美しさを十分に保っていた。

来年も訪ねることが出来るだろうか。心静かに紅白の百日紅を観賞することが出来たことに感謝である。

2025/9/16 水辺公園

今年の夏は、あまりの暑さに戸惑うことばかりであったが、9月を半ばを迎えてもなお、暑さが遠のくことがなく半ば諦めの境地である。

せめて少しでも涼しさを感じる風景をと思い、近くの水辺公園を訪ねてみた。どのような構図にすれば、涼しさを届けられるだろうか。立ち位置を少しずつ変えながら撮影してみた。水のある風景は、涼しさと共に心落ち着くものであった。

2025/9/17 田園風景

田んぼの風景が気になり、久しぶりに出かけてみた。淡い期待をしていたのは、ノビタキとの出会い。7割ほど収穫の済んだ広い広い田んぼを車で一回り。まだ収穫の済んでいない田んぼもあるので、農家の方のお邪魔にならないよう前後左右、確認しながらのひとまわりである。

角を曲がってすぐにセッカが2羽飛んできた。こちらの気配に気が付いてすぐに飛び去る。しばらく走ると蜻蛉がとまっている。何とも秋を感じる風景で嬉しくなる。これから秋色が濃くなっていくことだろう。

2025/9/19 キンシバイ

久しぶりに訪れた公園で出迎えてくれたのは、鮮やかな黄色の花だった。2年前にこの公園を訪れたときに初めて見た花である。あのとき検索してキンシバイという名前の植物であることを知った。実になると真っ黒になる。その姿が面白くて、今回もレンズを向けてみた。

9月というのに、まだ真夏の暑さを感じる公園でのひとこまである。

2025/9/20 田園風景

9月も半ばを過ぎたが、まだまだ暑さは、遠のくことがない。と思っていたところ、昨日は、ずいぶん涼しさを感じる一日であった。少し前に近くの田んぼを回ったとき、久しぶりにスズメの群れに出会った。車に乗っていたのだが、警戒されてしまい、その群れは、ワァーと飛び立って半ば壊れかけているビニールハウスの上に移動した。草が覆いかぶさるようであったが、その隙間からスズメの姿が見えた。わずかな出会いであったが、なんとも胸弾むものであった。スズメとの出会いも昨今では、貴重である。

近くの田んぼでは、稲穂がずっしりと重く垂れさがり、まさに「実るほど頭が下がる稲穂かな」の情景であった。秋は、静かに深まっていく。

2025/9/21 蓮田のひとこま

今年の夏の暑さは格別で、9月に入っても所によっては、40℃に近い記録を残しているらしい。9月20日が彼岸の入りで、流石にあの汗が噴き出すような暑さは、遠のいたようである。

暑いさなかに出かけた蓮田地帯で出会ったのは、タカブシギとコチドリ。タカブシギは、数羽いたのだが、蓮の葉が視界をさえぎり、3羽ほどしか観察することが出来なかった。コチドリは、2羽だったが、なかなか良い条件での撮影は、叶わなかった。それでも大好きなシギチに出会えたことで、元気になれたことに感謝である。

2025/9/22 蓮田のひとこま

数年前まで9月になると蓮田地帯に足繁く通っていた。8月の末頃から気にかけて蓮田地帯、田園地帯を回っていたのは、秋の渡りで姿を見せるシギたちとの出会いを楽しみにしていたからである。

しかし、歩くことが不自由になり、シギチの観察が難しくなってしまった。家人の運転する車の中から、蓮田を見下ろす。限られた環境だけの鳥見であるが、それでも今の私には、十分嬉しい。この日、出会ったのは、セグロセキレイとチュウサギであった。

2025/9/24 ナミアゲハ

お彼岸のお中日を過ぎ、空気が秋らしさを増してきたようだ。ぽっかり浮かぶ雲もあの暑さの中で見上げたときの雲とは、雰囲気が違う。昨年の夏以来、訪れることのなかった公園へ、久しぶりに足を運んでみた。ずいぶん印象が変わってしまって何とも寂しい気持ちになってくる。それでもオナガ、カワセミ、シジュウカラの声を聞くことが出来た。姿を認めるまでには至らなかったが、声だけでも十分である。

少しだけ歩いてみるとアゲハの飛んでいる姿が目に入った。春から夏にかけ、そして今、秋を迎えようとしているが、チョウとの出会いが、ほとんどなかっただけに、このアゲハとの出会いは、鮮烈で心和ませてくれた。ほんの少しの散歩。これからも続けられたらと願っている。

2025/9/27 公園のひとこま

ずっと気になりながら、なかなか訪れることの出来なかった公園を訪ねたのは、秋の気配を感じ始めたばかりのことであった。歩くことがなかなか困難で、ついつい出かけることをためらってしまう。それでも外の空気を胸いっぱいに吸ってみたいと気持ちは、胸の中にうずまいている。

柳の木の揺れる先に何やら置物のように並んでいる物体。じっと見つめる先にいるのは、複数の亀のようである。まるで彫刻のように微動だにせず、池の中央に並んでいる。家にいては、見ることの出来ない世界に触れて胸躍ったひとこまである。

2025/9/29 彼岸花とナミアゲハ

ずっと気になっていた彼岸花。あまり好きな花ではないが、道端で度々見かけ、一度写真に撮ってみたいと思っていた。お彼岸も過ぎたので、そろそろ人の出入りも少なくなってきた頃ではないかと思い、お寺に足を運んでみた。ちょうど良い時期に訪れたようで、真っ赤な彼岸花にナミアゲハが2頭飛んで来た。チョウとの出会いの少ない中、とても嬉しい出会いであった。