2021/5/1 コアオアシシギ Marsh Sandpiper
田んぼで見られる春の渡りのシギたち。今季は、どのような出会いがあるだろうか。毎年、田んぼに水が入り始める頃、ちらほら春の渡りのたよりを聞くようになる。
久しぶりに蓮田地帯を訪ねてみると、2羽のシギの姿が見えた。最初は、遠くにいてよく分からなかったが、再度、その場所に戻ってみると2羽のコアオアシシギの姿がハッキリ見えた。換羽中で、秋の渡りのとき出会うコアオアシシギとは、印象が異なり、すぐには、コアオアシシギとは思えなかった。しばらく滞在してくれるだろうか。長い旅の疲れをゆっくり癒やして欲しいものである。
2021/5/2 散歩道
歩行練習を兼ねて、出来るだけ散歩に出掛けるようにしている。野の花や、小鳥のさえずりに癒やされながら、ゆっくりゆっくり歩く。一番多く聞こえて来るのは、ウグイスの声。続いてシジュウカラとホオジロだろうか。いつものコースを歩いていると、目の前に姿を見せたのがイタチである。こちらを見つめ、振り返りながら急ぎ足で姿が消えた。
菜の花畑を過ぎた頃、キジの姿に気がついて、レンズを向けたが、間に合わず飛ばれてしまった。何とかレンズを向けたところ、飛んでいる姿が写っていた。木々の緑が日に日に色濃くなっているのを眺めながら歩いているとカタツムリにも出会った。散歩道は、実にのどかである。
2021/5/3 エナガ Long-tailed Tit
いつものように新緑を楽しみながら、ゆっくりゆっくり林の中を歩く。相変わらずウグイスの声が響き渡っている。シジュウカラの囀りも賑やかである。木漏れ日が降り注ぐ、林の中を歩いていると小さな小さな声が聞こえてくる。♬ジュリジュリジュリ♬ジュリジュリジュリかなり距離があるようだったが、どんどん近づいて来るのが分かった。
ジッと待っていると小さな鳥が飛んできた。紛れもないエナガである。大好きなエナガ。急いでレンズを向ける。動きが速くて、思うようにいかないが、とにかくシャッターを切る。かなり高いところだが、2羽、姿が見えた。どうやら親子らしい。嬉しくて夢中になってシャッターを切った。
2021/5/4 コブハクチョウ Mute Swan
私の鳥見の原点は、手賀沼のコブハクチョウとの出会いである。2003年の5月手賀沼遊歩道を歩いていると前方に大きな白い鳥が見えて来た。ずいぶん大きなアヒルがいるなあと思って驚いていると、すぐ近くに居た男性が、「これは、アヒルではなくて、コブハクチョウと言うんだよ。」と親切に教えてくださった。当時、私は、カラスとスズメくらいしか鳥を知らなかった。このとき出会ったのが、9羽のコブハクチョウであった。コブハクチョウが、可愛い雛を背中に乗せる姿を見て、ますますコブハクチョウへの感心が高まり、手賀沼通いをしたのだった。
コブハクチョウより、田んぼに飛来するシギチへの思いが高まり、久しく手賀沼のコブハクチョウを訪ねる機会がなかったが、雛の誕生を教えてくださる方があり、久しぶりに出掛けてみた。母鳥と7羽の雛。何とも心和む光景である。父鳥は、すぐ近くで温かい視線で見守っている。家族の絆を感じるひとこま、ひとこまを見ることが出来て満ち足りた気分に浸ることが出来たのである。外来種とひと言で片付けられてしまうのは、何とも悲しいことである。
2021/5/5 タカブシギ Wood Sandpiper
春の渡りのシギチに会いたくて、蓮田地帯を訪ねてみたが、何とも寂しい状況であった。いつも回っている蓮田地帯を一通り見て回り、最後の蓮田地帯にさしかかかった時、1羽のシギの姿が見えた。蓮田ばかりを見て回っていたが、田植えが済んで間もない田んぼにタカブシギの姿を見つけたのだった。タカブシギは、絶滅危惧種に指定されるほど、数が減少しているという。幸いなことに、私が足を運ぶ田園地帯、主に蓮田地帯では、多いときには、30羽ほどの群れを見ることもある。
この日の出会いは、とても少なかったので、この1羽のタカブシギの姿が、眩しく輝いて見えたのである。嬉しい嬉しい出会いであった。
2021/5/6 ウズラシギ Sharp-tailed Sandpiper
田んぼに飛来するシギチに関心を持つようになって10数年。初期の頃は、休耕田探しから始まって、渡りの時期を迎えるとソワソワと胸が弾んだものであった。1枚の田んぼに、多種類のシギチを見たのは、もうずいぶん前のことになるのだろうか。ここ数年、あまりにも寂しい状況で、春の渡りでツルシギを見る機会もほとんどなくなってしまった。
出会いが少ないとは言いながら、やはりいつの間にか蓮田地帯に足を運んでいる。この日、嬉しいことに2羽のウズラシギの姿を見ることが出来た。最初は、あまりに遠くにいて、ベテランの方に誘導して頂かなければ、居場所が分からなかった。しかし、少し待つと事態が好転し、ぐんぐん近づいてくれて、私の小さなカメラでも何とか撮れたのである。嬉しく胸弾む出会いに感謝である。
2021/5/7 カイツブリ Little Grebe
少々早起きして、近くの公園に出掛けてみた。目的は、朝の散歩である。だんだん歩くことが大変になり、痛みもあって、出掛けるのが億劫になって来ている。朝の爽やかな空気を吸って、少し元気になればと出掛けた次第である。
朝早いので、草木にも朝露が光り、何とも清々しい。木々の緑も爽やかである。少し歩いて水辺にたどり着くとオオバンの姿が目に入った。ゆったりと羽繕いをしている。すぐ近くにカイツブリも姿を見せてくれた。ブルブルと体を揺すらせた姿が何とも愛らしい。こんな光景を見ていると痛みも忘れてしまう。これからも早朝散歩を楽しみたいと思っている。
2021/5/8 アオスジアゲハ
春の渡りのシギチを求めて出掛けた蓮田地帯。あまりにも寂しい状況で、途方に暮れるほどであった。車をとめて小休止。ふと、すぐそばの草むらを見るとチョウが飛んでいる。アオスジアゲハである。今季、初めての出会いで嬉しくなり、レンズを向けてみた。
ハルジオンにとまって吸蜜しているようだ。黒いアゲハの類は、なかなかとまらず、撮影する機会が少ないが、アオスジアゲハは、ゆったりとしている。シギチとの出会いが少なくてガッカリしているのを哀れんでくれたのだろうか。ひととき、この出会いを楽しみ、元気になれたのだった。
2021/5/9 エナガ Long-tailed Tit
久しぶりに訪れた近くの公園。ずいぶん足が遠のいていたが、手入れの行き届いた公園には、ネモフィラ、ヤグルマギク、オルレアなどが咲き誇り、清々しい風が吹き抜けて行く。散歩の人もまばらで、安心して辺りの光景をゆったりと眺めることが出来る。
そよ風が吹いて、小さな声が聞こえて来た。♬ジュリジュリジュリ♬エナガの声である。桜の木の中から聞こえて来るようだ。新緑が辺りを覆っていて、なかなか姿が確認出来ない。風が吹いて葉がめくれあがり、わずかにエナガの姿が見えた。エナガの雛は、全部で何羽いるのだろう?親鳥が、餌を運んで来た。何とか3羽の雛の姿が見えた。嬉しい朝の散歩道の出来事である。
2021/5/10 ムナグロ Pacific Golden Plover
春の渡りのシギチを求めて田園地帯に足を運んでいる。体調が今ひとつなので、以前のように足繁く通うわけには行かないが、それでも今季、数回、足を運ぶことが出来て幸せである。春の渡りで定番のムナグロ、チュウシャクシギ、キョウジョシギ、キアシシギ。せめてこの4種には、会いたいと思っている。
その思いが通じたのだろうか。田植えの済んだ田んぼにムナグロの群れを見ることが出来た。最初、田んぼの奥の方と遠くの畦で休息しているムナグロの姿を見るばかりであったが、徐々に近づいて来てくれた。少々距離はあったが、1羽が水浴びを始めたので、レンズを向けてみた。長旅の疲れが、これでとれただろうか。ゆっくり羽を休めて欲しいものである。
2021/5/11 バン Common Moorhen
相変わらず春の渡りのシギチとの出会いを求めて田園地帯へ足を運んでいる。春の渡りの代表選手とも言えるムナグロ、チュウシャクシギ、キョウジョシギ、キアシシギには、一通り会えたのだが、真っ赤な夏羽のオグロシギなどに会えたらと夢見て足を運んでいる。
鳥との出会いは、偶然であることが多いので、その折々の出会いを大切にしたいと常々思っている。この日、久しぶりにバンに出会った。若緑の芽が見える蓮田での出会いである。今の時期のバンは、とても美しい。夏羽の鮮やかな色合いを存分に楽しむことが出来たのだった。
2021/5/12 チュウシャクシギ Whimbrel
田園地帯では、春の渡りに時にしか見られないのが、チュウシャクシギ。セブンホィッスルという独特の鳴き方で、きっちり7音で鳴く。遠くにいてもその存在を知ることが出来るので何とも有り難い。今回も鳴き声を聞き、田植えが済んで間もない田んぼの畦にいるチュウシャクシギを見ることが出来たのだった。
水田の中には、10数羽のチュウシャクシギの群れを見ることも出来た。到着して間もないのだろうか。急ぎ足で、水田の中を歩き、餌取している様子であった。もうしばらく滞在してくれることであろう。ゆっくり羽を休めて欲しいものである。
2021/5/13 キジ Common Pheasant
相変わらず、春の渡りのシギチを求めて田園地帯へ足を運んでいる。大きな出会いはなくとも田風を全身に浴びるだけで、元気になれる気がする。この日の出会いは、とても少なかった。そんなとき、救世主のように姿を見せるのが、キジである。
いつもは、車からの観察であるが、このとき、歩いていたので、こちらの姿が良く見えるはずであった。それにも関わらず、案外、近くで撮影出来たのである。流石に急ぎ足で、その場を離れていく様子を見ていると桃太郎のお供をしたキジの姿が目の前に浮かんで来るようで何とも楽しい気分に浸れたのである。
2021/5/14 ヒバリシギ Long-toed Stint
田植えの準備が始まる頃、田園地帯には、春の渡りのシギチが姿を見せるようになり、シギチに関心のある私は、大いに胸を弾ませるのである。ところが今季、寂しい状況で、なかなか思うような出会いに恵まれなかった。今月の初め、知人からヒバリシギを確認したとの大変貴重で嬉しいニュースを教えて頂いたが、翌日、付近を探すも見当たらず諦めていた。
更に数日経過し、別の場所でヒバリシギが見られるとの情報をいただき、出掛けてみるとトウネンの群れと一緒に夏羽のヒバリシギの姿を確認出来たのだった。久しぶりに見るヒバリシギの姿は、まぶしくさえ見えた。嬉しい嬉しい出会いであった。知人に感謝、出会いに感謝である。
2021/5/15 キアシシギ Grey-tailed Tattler
春の渡りで見られる代表選手とも言える4種。チュウシャクシギ、キアシシギ、キョウジョシギ、ムナグロ。この4種を見ないと、どうにも落ち着かない。そう思っていた矢先、広い広い田んぼに1羽のシギの姿を発見。キアシシギであった。広い田んぼに1羽のシギの姿は、少々寂しくもあり、胸にジーンと来るものがあった。
雨が降り出す前の少々暗い日であったので、辺りの雰囲気、色合いも違って見えたのかもしれないが、いつも見るキアシシギより、遙かに白っぽく見えた。撮った写真を見ると、見た目の印象と違って、白っぽさは、余り感じられず、あの時、何故、あんなに白さを感じたのだろうと不思議な感覚に襲われる。まだもう少し春の渡りを楽しめるだろうか。また、田んぼに足を運んでみたいと思う。
2021/5/16 キョウジョシギ Ruddy Turnstone
春の渡りのシギチに会いたくて、田園地帯に何度か足を運んでみた。今季は、低調で出会いは、少ないものの、一通りの出会いは、実現した。その中のひとつが、キョウジョシギである。いつものたんぼ道を走っていると、あぜ道に鳥影。20羽弱のキョウジョシギの群れであった。
到着して間もない様子で、畦の泥のかたまりを一生懸命転がすように格闘している。泥のかたまりの下にいる虫を探しているのだろうか。その様子が、あまりに真剣で、今まで何度も見て来たキョウジョシギの印象とは、異なって見えた。まさに英名の Ruddy Turnstone を彷彿とさせるシーンを見ることが出来たのである。
2021/5/17 トウネン Red-necked Stint
春の渡りのシギチを求めて、数回、足を運んだ。出会いを楽しみにしているのが、トウネン。今の時期は、綺麗な夏羽が見られるので、是非、会いたいと願っている。ヒバリシギに出会った蓮田には、20羽ほどのトウネンがいたが、別の蓮田で、さらに多くのトウネンを見ることが出来た。その数、50羽ほどであったろうか。
広い蓮田に点在するように小さなトウネンの姿がある。ただ眺めるだけであれば、美しく心和む光景なのだが、撮影となると、どのように切り取れば良いのか大いに悩ましいことである。撮影枚数は、半端ない数であったが、いざ、写真を選ぶとなると手元に残るのは、あまりに少ない。次回の教訓にしたいと思う。
2021/5/18 ハマシギ Dunlin
春の渡りは、ほぼ終わりのようであるが、今季出会った中から、まだ整理が出来ていないものを順次、とりどり日記にまとめておきたいと思う。そのひとつがハマシギ。漢字で書くと浜鷸。浜辺で見られることが多い。しかし、少数ながら、春の渡りの群れの中に姿を見かけることがある。
田植えが済んで間もない田んぼで、見通しが良かったので、ムナグロ、キョウジョシギ、トウネン、ウズラシギと一緒にいる3羽のハマシギの姿を見ることが出来た。圧倒的にムナグロが多かったのだが全部で70羽ほどの群れであった。冬は、ハマシギが群れで蓮田に越冬することがあるのだが、春の渡りで見られるのは、ごくごく少数である。夏羽は、お腹が真っ黒で、それが何とも微笑ましくて大好きである。今季も出会えたことに感謝である。
2021/5/19 フクロウ Ural Owl
大きな樹木が辺りを覆うように茂り、辺りは、シーンと静まりかえっている。その大きな樹木の一角にフクロウが姿を見せるという。教えて頂いて訪ねてみた。日差しを遮るほど、辺りは、木々がうっそうとしている。自力では、到底探すことは出来ないが、教えて頂いて、フクロウの位置が分かり、レンズを向けてみた。
フクロウの大きな瞳が印象的である。久しぶりに見るフクロウは、何とも神々しくて眩しくさえ見えたのであった。
2021/5/20 フクロウ Ural Owl
新緑の季節を迎えるとフクロウの巣立ちが気になって来る。フクロウは、案外、身近なところにいて、探す力があれば、出会いは、ずいぶん多くなるような気がする。今回、教えて頂いて訪ねた青葉の森。現地に到着すると知人の姿が見えたので様子を教えて頂いた。「前夜一羽が巣立ち、鳴きながら、つい先程、茂みに中に入って行きましたよ。」とのこと。何ともタイミングが悪くガッカリ。諦めきれず、翌朝も出掛けてみた。
親フクロウは、葉かぶり枝かぶりながら、何とか位置がわかったが、巣立ち雛の姿がどうにも分からない。ご親切な地元の方のご好意で、何とか撮れたのがこの写真である。ご好意に感謝、出会いに感謝である。
2021/5/21 ウズラシギ Sharp-tailed Sandpiper
今季、不思議なことにウズラシギとは、良く出会った。田んぼ通いも以前ほど多くないのに、4回も出会いの機会に恵まれた。最初は、2羽のウズラシギを見て、かなり気分が高揚したが、二回目、三回目となると気持ちに余裕が出来て、ゆっくりと出会いを楽しむことが出来たのである。
一番印象的だったのは、地元の田んぼで、ムナグロを観察していると、奥の田んぼから突然、こちらに向かって飛んで来たシギがいた。それが、このウズラシギである。ゆったりと採餌する姿が、何とも微笑ましくて、嬉しい出会いとなったのである。
2021/5/22 コチドリ Little Ringed Plover
以前に比べれば、田んぼ回りの回数は、かなり減ってはいるが、それでも週に1~2回は、出掛けることが出来るので、何とも有り難いことである。家族の協力なくして、私の鳥見は、成り立たないのだから、感謝あるのみである。
出会いの少ない日であったが、最後に回った田んぼで、コチドリ2羽に出会った。最初、2羽は、離れた位置に居て、お互い、様子を伺っている雰囲気であった。その2羽が、お互い意思が通じ合ったようで、徐々に接近し始めた。どうやら交尾のようである。私は、今まで、この光景を一度も見たことがなかったので、何とも神聖な儀式に立ち会えて感動してしまった。田んぼでは、いろいろな出会いが待っている。
2021/5/23 キョウジョシギ Ruddy Turnstone
海辺では、良く見かけるキョウジョシギ。春の渡りのときは、田んぼでも群れで見かけることがある。田んぼの畦で、泥のかたまりを一心に崩して、ご馳走探しをしている姿は、微笑ましくて、心から声援を送りたくなるが、農家の方にとっては、迷惑なことなのかもしれない。
この日出会ったキョウジョシギは、田植えが済んで間もない田んぼにいた。田んぼの中を歩く姿は、何とも微笑ましい。早苗を踏まないでね!と心の中で語りかけたが、その願いが通じたのか、ずいぶん上手に歩いているように見えた。今度会えるのは、1年後だろうか。
2021/5/24 ダイサギ Great Egret
少々暗い空模様の日であったが、田んぼを回ってみた。出会いの少ない昨今であるので、カラスであれセキレイであれ、レンズを向けようと思っていた。その思いが通じたのだろうか。婚姻色のダイサギが目の前に現れた。羽も何とも美しい。すぐ近くには、野の花もあって私の好きな光景である。
田んぼの水も程良い感じで、ダイサギの歩く姿が清々しく迷わずレンズを向けたのである。
2021/5/25 タカブシギ Wood Sandpiper
小雨の降る日であった。農作業の人の姿もなくて、田んぼは、実に静かであった。いつものようにゆっくり田んぼを回っていると、数羽のシギらしい姿が見えた。そっと近づいたつもりであったが、飛ばれてしまった。どうやらタカブシギらしい。少し時間をおいて、また、その場所に戻ってみると、いた!やはりタカブシギであった。
大好きなタカブシギに会えて、胸が弾む。タカブシギの羽は、ちょうど刺し子の模様のようで大好きである。その端正な姿にうっとり!嬉しい出会いであった。
2021/5/26 チョウゲンボウ Common Kestrel
爽やかな風が気持ちの良い季節。野の草も色とりどりで、目に優しい。空を見上げると悠々と、時には颯爽と飛んでいる鳥がいる。チョウゲンボウである。冬の田んぼで何度か出会っているが、悠々と飛んでいるシーンを見るのは、久しぶりである。
なかなか思うような角度で撮影出来ないが、広げた羽が優しく美しく見えた。すぐ近くの草むらには、キジの姿。風が優しく頬をなで、時がゆっくりと過ぎて行く。
2021/5/27 キアシシギ Grey-tailed Tattler
春の渡りの最終ランナーと言われるキアシシギ。田んぼで数回見かけているが、まとまった数での出会いが少なかった。この日の出会いは、野の草があぜ道を彩る場所に、数羽のキアシシギが羽を休めているシーンである。いつかこんなシーンを撮影したいと願っていたひとこま。最初、一羽のキアシシギが野の花に近づいて行ったが、徐々に数羽が群れて羽を休めている。距離はあったが、ゆっくりその光景を楽しむことが出来たのだった。
野の草と共に、旅立ち前にゆっくりと羽を休めていたのだろうか。嬉しく心に残るシーンであった。
2021/5/28 フクロウ Ural Owl
木々の緑が、日に日に色濃くなり、あっという間に風景が変わっていく。早春の芽吹きを愛おしく思っていたのは、つい先日だったように思うが、緑の色もだんだん濃くなって見通しが悪く鳥たちの姿を探すのは、何とも難しい。
そのような中で、嬉しいことにフクロウに出会った。高い高い杉の木の横に伸びた枝先にとまっている。こちらの姿におそらく気がついているのだろうが、実に堂々としている。不思議な出会い、嬉しい出会いにただただ感謝である。
2021/5/29 ムナグロ Pacific Golden Plover
春の渡りで出会いを楽しみにしているシギチのひとつが、ムナグロである。ムナグロは、群れで行動することがほとんであるので、見つけやすいようではあるが、草地のようなところに入っていると見つけにくく見落とすこともしばしばである。
田植えが済んで間もない田んぼでの出会いは、一番分かり易くゆっくり探鳥出来るので有り難い。この日の出会いは、羽繕いをするムナグロをゆっくりじっくり観察することが出来たのだった。今頃、どこを飛んでいるのだろうか。無事の旅路を祈っている。
2021/5/30 キョウジョシギ Ruddy Turnstone
秋の渡りは、主に蓮田地帯の探鳥となるが、春の渡りは、ほとんど田植え間もない水田のようである。シギチに関心を持ち始めた頃、春の渡りの時期を迎えると休耕田探しに走り回ったが、今は、休耕田は、皆無に等しい。蓮田は、水深がありすぎて、シギたちの餌取には、不向きなようである。そのような訳で、水田を主に回っているのだが、以前のような出会いは少ない。
シギチには、不向きと思っていた蓮田で、キョウジョシギとトウネンに出会った。その蓮田で、キョウジョシギが、水浴びを始めたのだ。なるほど程良い水が入っていれば、大事な水浴びをすることが出来るのだから、渡り途中のシギたちにとっては、大切な場所であったのだ。今更ながら、観察場所を考え直さなければと思った次第であった。
2021/5/31 タカブシギ Wood Sandpiper
地味で目立たないシギであるが、大好きなシギがいる。タカブシギである。刺し子のような羽模様がシックで、とても心惹かれる。昨今は、絶滅危惧種に指定され、ほとんど見られなくなってしまった地域もあるように聞く。幸いなことに、私が足を運ぶ田園地帯では、秋の渡りの時など、30羽ほどの群れを見ることもある。
そのタカブシギに小雨の降る日に出会った。静かにひっそりと佇んでいる姿が何とも美しい。嬉しい出会いであった。