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風の冷たさを感じるものの、ロバート・ブラウニング「春の朝」を思い出すような今まさに[時は春]である。田んぼでは、ヒバリの声が、ずいぶん賑やかに聞こえるようになってきた。明日は、4月。新年度を迎え明日から社会人としてスタートを切る人も多いことだろう。[すべて世はこともなし]平穏で満ち足りた世界が続くことを願わずには、いられない。
時は春、
日は朝(あした)、
朝は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀(あげひばり)なのりいで、
蝸牛(かたつむり)枝に這(は)ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。
(上田 敏 訳)
今日も花冷え。とは言え、日中は、気温も上がり、春の日差しに誘われて公園に向かった。公園に到着したのは、11時を回っていたので、朝の冷え冷えとした空気とは違っている。桜も、この柔らかな日差しに、ほんの少し花を開き始めたようだ。
桜の花は、まだ、少ないけれど、公園は、お花見の人でいっぱい。あちこちでお弁当を広げて歓談している。小鳥たちも、お花見に集まってこないかなと思いつつ、公園内を散策する。カワラヒワの声は、先程から聞こえているのだが、どこにいるのか姿が見えない。
小さな声がして、小鳥が飛んで来た。逆光で真っ黒。よく見るとメジロだった。全部で10羽ほどの群れである。ほんの少し開きかけた桜の花の蜜を吸って、また、一斉に飛んでいく。
カエデの新芽のところにシジュウカラが2羽、飛んで来た。結構、動きが活発で、こちらの思うような位置には、とまってくれない。それでも何枚かシャッターを切った。
コゲラも桜の木を高く高く上って行き、こんもりした木立の中では、ウグイスが見え隠れしていた。弥生の月も残り僅か、風光る4月が、目の前にある。
今日も空気がひんやりして、風が冷たい。もうすぐ4月を迎えようとしているのに、厚手のコートを羽織って千葉県知事の選挙会場に向かった。途中、桜の木のところでシジュウカラの元気な声が聞こえた。会場の近くの林では、ジョウビタキの声がしている。
選挙を済ませてから、昨日、撮り損ねたヒバリの写真を撮るために田んぼに向かった。田んぼでは、ヒバリの声は、聞こえてくるものの、なかなか姿が見えない。昨日、かなり遠くのヒバリを撮影したが、どうも納得がいかない。
ヒバリを探して田んぼを回っていると、突然、目の前に猛禽らしい鳥の姿が現れた。一瞬、田んぼに降りて、またすぐに飛び上がり、少し離れた畦に下りた。一瞬の出来事で、唖然としていると、畦に降りたチョウゲンボウが、食事の体勢になった。どうもネズミを捕食したようだ。食事をしている間に、少し接近してカメラを向けた。ファインダーを覗くと、あまりにチョウゲンボウが大きく見えたので心臓がドッキンとなった。近くには、ツクシが生えて春を告げているようだった。
今日も、まだ風が冷たい。寒の戻りとか、桜の花も咲きかけて戸惑っているように見える。シギ・チのシーズンには、まだ少し早いが、今日は、ずっと気になっていた浮島に向かうことにした。
まず、例年、ツルシギが見られるハス田付近を中心に回ってみた。鳥の動く気配に、一瞬、緊張してじっと見つめると、それは大抵ハクセキレイかツグミである。少し範囲を広げて回ってみると「ジェッ」という声と共に、飛び立つタシギに出会った。最初、目の前で飛び立ったタシギに驚き「前方不注意」と自分自身に語りかけたが、その後、タシギには、いたるところで出会った。今日、わずか3時間ほどの間に一体何羽のタシギに出会ったことだろう。
冬の間、水のなかった牛舎前にも水が入っていたが、到着時、鳥の気配は、全くなかった。あちこちハス田を回り戻ってみるとタシギが、ここにもたくさんいる。シギは何かいないかなと思って良く見ると、エリマキシギの姿が見えた、逆光で見えにくかったが、一生懸命、羽繕いしている。久しぶりの出会いで嬉しい。思わずカメラを向けた。
窓越しに見る日差しは、柔らかいが、一歩外に出ると、ひんやりとした春風が頬を撫でる。所用を済ませてから、かなりゆっくり自宅を出た。最寄の駅前から、ずっと続く桜並木は、ほんの少し花を開き始め、道行く人を楽しませてくれる日も近づいているようだ。
今日は、少し里山を歩いてみよう。川沿いの木々の芽ぶきも楽しみだ。川に沿って歩くと小鳥の飛ぶ姿が見える。最初の出会いは、ジョウビタキ。すぐに飛んで姿が見えなくなってしまった。次の出会いは、カシラダカ。久しぶりの出会いだ。ホオジロも飛んで来た。アオジは、ずいぶんたくさん姿を見かけたが、結構忙しく動きまわり、草や木の陰に隠れてしまって、なかなか撮影のチャンスがなかった。
対岸の木にスズメが3羽とまって、何やら会話を楽しんでいるように見えた。芽吹きの綺麗な木に飛んできてとまったのはシメ。近くには、ジョウビタキが、姿を現した。
しばらく歩くと、シジュウカラの声が聞こえてきた。シジュウカラに交じって聞こえてきたのは、アトリの小さな声。嬉しいことにピンクの桃の花のところにとまってくれた。別れの日も近いことだろう。
里山の春は、静かでゆっくりと時間が流れていく。
今日は、青空が広がり、どこに行こうか迷った末、結局、近くの公園に向かうことになった。公園には、たくさんの桜の木があって、2分咲きの木もあれば、3分咲きもあり、まだ蕾の固い木もあって、しばし桜の観察に時間を費やし青空のもとで楽しんだ。
コブシの花のところに、ヒヨドリが3羽飛んできて、コブシの花を美味しそうに啄ばんでいく。ちょっと時期が遅いのが残念だが、青空に真っ白なコブシの花は、清々しく気持ちが良い。
かなり羽の痛んだメジロ2羽にも出会った。シジュウカラは、あちこちで賑やかに歌声を披露している。コゲラも高い木の上で、忙しそうに動き回っている。植え込みの中で動くウグイスも一瞬、見かけた。
エナガは、カエデの木のところで、ジュリジュリと鳴き、動き回っていた。アオジ、ビンズイ、シロハラ、アトリ、ルリビタキにも出会った。公園では、まだ冬鳥が日陰でひっそり動いている。
雨が降り出す前に、近くの公園に出かけてみることにした。今日も、昨日と同じように冷え冷えとする一日だった。桜の花の咲く頃に一時的に戻ってくる寒さを花冷えというそうだが、公園のソメイヨシノは、まだ蕾が固く、昨日、今日の寒さで、蕾を一層固くしているかのようにも見えた。
先日見られたオオジュリンは、姿を見せず、公園の小さな池には、いつも必ず見られるカルガモの姿さえない。見られるのは、草むらのところで採餌している5羽のムクドリの姿のみ。
公園を一回りして帰ろうとしたとき、芝生の上にツグミの姿が見えた。すぐ近くには、枝垂桜がある。枝垂桜にとまってくれたらなあと思いながら前進すると、ツグミは、芝生の上から飛んで、嬉しいことに、枝垂桜にとまってくれた。これで青空だったらなあと欲張りなことを考えたが、それは叶わぬ願いであった。
久しぶりに田んぼに向かった。今日は、昨日までの暖かさは、どこへ行ったのかしらと思うほどの寒さである。春から冬に逆戻りしたような寒さに戸惑い、コートの襟を立ててみたが、それでも寒い。リュックからマフラーを出してくるりと首に巻いた。
君がため 春の野にいでて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ
古今和歌集の光孝天皇の歌が、ふと思い出された。いつの間にか田んぼは、緑で覆われ、冬から春へと確実に衣替えしている。ヒバリのさえずりも、ずいぶん賑やかだ。
畦道のところで小鳥が飛んだ。明らかにスズメではない。もしかしてという淡い期待。ファインダーを覗いて見る。予想的中。ホオアカだった。
畦道の奥の方で動いているのは、キジの雌のようだ。草に隠れてなかなか姿が見えない。しばらくして、ようやく姿が見えてきた、キジが2羽、仲良く採餌していたのだ。春の田園風景には、新しい息吹きが満ち満ちている。
「思い出の鳥たち」に昨春、与那国島で出会ったオオチドリを追加しました。「思い出の鳥たち」では、今まで出会った鳥たちの中から、特に印象に残っている鳥の姿を、出会ったときの思い出を交えながらご紹介していきたいと思います。
牧歌的な雰囲気の与那国島は、石垣島から124Kmのところに位置し、台湾までの距離は、111Kmだそうです。すっきり晴れ渡った日には、与那国島から台湾が見えるそうで、まさに国境の島ということになるのでしょう。4月の初旬でしたが、汗ばむほどの陽気で紺碧の海を見ながら、オオチドリとの初めての出会いを楽しみました。
昨日、谷津干潟でアメリカコガモが起きるのを待っている間、淡水池を見つめていると、ツバメが盛んに飛び交っていた。水面すれすれに飛んで、また、空高く飛びあがる。ああ、もうツバメの季節になったのだとしみじみ思った。
5日前に近くの公園を訪れたとき、ヤナギの木の上空を飛ぶツバメを一瞬見たけれど、あまりに速かったのと、ほんの一瞬だったので、実感が湧かなかった。
昨日は、1時間ほどの待ち時間を退屈させないように、何度も何度も飛び交ってくれたが、シャッターは押したものの、結局、1枚もツバメとわかるような画像は撮れなかった。
ツバメという言葉から、私が連想するのは、「風薫る」とか「緑のそよ風」とか「風光る」と言った風に関連する言葉である。それは、ツバメの俊敏な行動からイメージするのかもしれない。
今日の画像は、2008/8/16 撮影です。
ずっと気になっていた谷津干潟。午後から久しぶりに出かけることにした。一番気になっているのは、アメリカコガモ。以前、福島潟でスコープを通して見たことはあるのだが、見たという実感が湧かない場所にいたので、未見の鳥に等しい。
淡水池のところで、休憩中のアメリカコガモの一部が遠くに見えた。特徴のある白い縦の線は、はっきり見えるのだが、全体が見えない。1時間くらい待ってようやく動き出したが、すぐに遠くに行ってしまった。
センターに行き、ズグロカモメの消息を尋ねると、「3羽いますよ。でも今、どこにいるかわかりません。」とのこと。ガラス越しにハマシギの群れが飛ぶのが見えた。ほどなく着地。スコープを見せていただくとハマシギとダイゼンが熱心に採餌している。
また明日、出直すことにしよう。そう思って干潟沿いに南船橋駅の方角に向かって歩き始めた。双眼鏡を干潟の方角に向けている方がいたので、私もカメラを向けてみた。嬉しいことに、それはズグロカモメだった。成鳥夏羽2羽、幼羽が1羽である。嬉しさに夢中になって写真を撮っていると、「ズグロカモメの右の方にアメリカコガモもいますよ。」と声をかけてくださった方があった。
ズグロカモメに夢中になって、アメリカコガモの存在に、私は全く気がついていなかった。ズグロカモメとアメリカコガモと交互に撮影し始めたが、2羽が接近した瞬間があった。ズグロカモメとアメリカコガモのツーショット。嬉しい出会いに感激しているうちに、いつの間にか陽が傾きかけていた。
今日は、久々に都心に向かい懐かしい方々とお会いする機会があった。久しく足が遠のいていた会であったが、ワークショップに参加し、充実した時間を過ごすことが出来た。
私は、かつて英語圏の遊び歌を通して子供たちと触れ合う機会があった。子供たちは、それらの歌を歌い、遊んだりすることによって、その場面にあった言葉のやりとりを体験することが出来た。それは、ゆったりとした時間が流れていくような感覚であったと思っている。
今日は、自分が子供の立場になった気持ちで参加したが、言語のリズムやイントネーションを体得することは、鳥のさえずりに耳を傾け、この歌声は、アオジとか、あの歌声は、ノジコとか聞き分けるときの感覚と何か共通点があるような気がしてきた。今まで考えてみたこともなかったが、帰路の車中で、そんなことを考えていた。
昨日、桜の花芽のところにとまったモズ。モズは、鳴き真似上手だ。モズは、いろいろな鳥の声をどのように身につけていくのだろうか。
公園の午後は、静かだった。ベンチに座って花を愛でる人。大きな犬と一緒に元気にお散歩する人。大寒桜の前で記念撮影する人。ベビーカーを押しながら、ゆっくりゆっくり歩く人。人の姿は、あちこちで見かけたけれど、とても静かな公園の光景だ。そう言えば、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を口笛で練習している人がいたけれど、それは不思議と公園の雰囲気にマッチしていた。
公園には、また、色とりどりの花が咲いていた。淡紅色のオオカンザクラ、濃い紅色のカンヒザクラ、黄色い花がいっぱいのサンシュユ、真っ白なハナミズキ、真っ赤なボケの花、黄金色のレンギョウ、雪が降ったかのようなユキヤナギ、紅色のツバキ。公園には春を感じさせてくれるものが、いっぱいだ。
賑やかなヒヨドリの声につられて、オオカンザクラの前に立ち止まり、私はカメラを向けた。暖かさを通り越し、汗ばむほどの公園の午後だった。
今日は、午前中、お墓参り。菩提寺の大きな山門をくぐると残り少ない紅梅、白梅が出迎えてくれた。亡き義母が、大好きだった梅の花。梅はすいすい13年と言っていた義母の姿が懐かしい。
午後は、近くの公園に、ほんのひととき足を向けた。桜には、まだ早いためか、公園は、ひっそりしている。枯れた葦のところから、新芽の出始めた木に飛んだ鳥は、オオジュリン。「チィチュッチュ」と小さな声がしていたのは、どうやらオオジュリンのようだ。
しばらく様子を見ていると、3羽のオオジュリンが、水辺の葦から葦へと移動し、パキッ、パキッと音立てて採餌している。しかし、葦の中で、なかなか姿が見えない。かなり慎重に近づいても、ぱっと飛び立って遠くの葦原に姿を隠してしまう。
水辺には、バンが姿を現した。バンにカメラを向けている間に、いつの間にかオオジュリンが、また近くの葦でパキッパキッと音立てている。移動の日も近いようだ。
安定したお天気が続いている。天気予報によれば、今日は、ずいぶん暖かな日になりそうとのこと。寒い頃は、出かける気分になれなかった海辺に、また出かけてみることにした。
先日、ウミスズメが見られたところで、もしかしてまた会えるかもしれないと淡い期待を持ってしばらく待ってみたが、ウミネコとイソヒヨドリ、ハクセキレイが見えるのみ。
今度は、先日、クロガモが見られたところに移動する。早速、クロガモの群れが、目に入った。先日は、雄2羽だったが、今日は、雌1羽を囲むように雄5羽の姿が見える。昨秋11月の北海道で見た、1羽の雌のクロガモを、12羽の雄が取り囲むようにしていた姿が、懐かしい。あのときの、あの哀愁を帯びたクロガモの声が、今も耳元に残っている。
近くには、夏羽と冬羽のカンムリカイツブリ、スズガモの姿が見えた。今日は、風が強くて、立っていると体が飛ばされそう。あっさり諦めて、次の目的地の蓮田に向かった。
今日も、柔らかな光が降り注ぎ、穏やかな一日だった。今日は、春を探しに田んぼと林を回ってみた。田んぼに到着するとヒバリの声が聞こえてくる。早速、春をみっけ!と思ったが、それは、新芽の出始めた木にとまっているモズの声だった。モズは、物真似上手と聞いていたけれど、ヒバリのさえずりにそっくりで戸惑うほどであった。
田んぼでの、もう一つの出会いは、頭の白いスズメとの再会だ。他のスズメは、群れで行動しているのに、この頭の白いスズメは、1羽で行動している。
近くの菜の花畑は、ちょうど見頃。菜の花に春の光があたって、美しい。一人でゆっくり眺めていたが、いつの間にか、2人、3人と集まり始めた。これは、引き上げ時と林に回ってみることにした。
林では、冬の名残を惜しむシロハラ。営巣の準備らしい2羽のエナガ。高い高い松の木の上で、飛び交っているマヒワ。そして、発声練習中のウグイスの「ケキョ」という声。林にも春の光が降り注いでいた。
優しい風と柔らかな光。昨日の雨と風の寒々しいお天気とは違って、今日は、朝から心地よい。少し遅め目のスタートだったが、近くの公園に出かけることにした。
芽吹き始めた木々が、あちこちで目に付き、春を身近に感じさせてくれる。オオイヌノフグリの青い小さな花が、春の歌を歌っているようだ。小鳥の声に立ち止まってみると、シジュウカラ、メジロ、アトリの姿が見える。さっと飛んで来たのは、ルリビタキの若だ。羽をしきりに広げて、まるで日光浴でも楽しんでいるように見える。
ハナモモのところに飛んで来たのは、ジョウビタキ。冬の間、何故か撮影の機会が少なかったのに、今頃になってゆっくりポーズをとってくれるとは。別れの日も近いのだろうか。
優しい風と柔らかな光。小鳥たちは、公園の春を満喫しているようだ。
3月12日〜13日にかけて諏訪湖・蓼科高原方面に出かける機会があった。諏訪湖も蓼科高原も今まで訪れる機会がなく、今回、思い切って出かけることにした。
諏訪湖は、私のイメージとは、ずいぶんかけ離れ、すでに冬鳥たちは渡って、わずかにカワアイサの姿が見られるくらいであった。もっと小さなひっそりした湖の方が、私の性分には合っているようだ。
その日の宿は、蓼科高原のペンションであった。到着早々、出迎えてくれたのは、餌台に集まるウソたちの姿であった。夕暮れ迫る林に飛んでいくキレンジャク3羽、雪解けのせせらぎに現れて高らかに囀るミソサザイも観察。
翌朝、うっすらと明るくなり始めた頃から、ベランダに出ると小鳥たちの声が、林の中から聞こえてくる。それは、イカル、シメ、ヤマガラ、ヒガラ、コガラ、シジュウカラ、ウソ、エナガ、カワラヒワなどの声だ。大きなドラミングも聞こえてきた。しばらくするとアオゲラが2羽現れ、高い木の上で、向かい合って採餌しているように見えた。木に巻かれた牛脂のところには、アカゲラが何度も現れた。
一番可愛らしかったのは、小枝に巻かれた牛脂のところに何度も姿を見せてくれたエナガである。蓼科のペンションを出た後、岡谷市の塩嶺御野立公園を訪れ、日本野鳥の会諏訪支部長の林氏のお話を伺う機会に恵まれた。俳句の季語にもなっているという「小鳥バス」にまつわるお話。傷病鳥として10年前に保護し、自然にかえしたオオワシ「グル」にまつわるお話。そして、展示室のパネルを見ながらエナガの巣についてもお話を伺うことが出来た。
エナガの巣を見る機会は、今まで何度かあったが、その巣材については、深く考えることもなかった。カラスによって壊されてしまったというエナガの巣を丁寧に分析され展示してあるパネルを見て、精密に作られたエナガの巣に驚き、エナガの勤勉ぶりを垣間見た思いがした。
実に1501枚もの鳥の羽が使われていたという。一番多かったのが、ツグミで911枚。他には、ドバト、キジバト、オナガ、カケス、シジュウカラ、カラス、コルリ、フクロウ、カルガモ、ヤマドリ、セグロセキレイ、種不明のものも数枚。ビニール製品、獣毛、樹皮なども使われている。外周は、ウメノキゴケ、コケ、クモの卵のう、ビニールなどで覆われている。精密に作られたこの巣を約1週間で作成するという。あの小さな体のエナガが、2羽で力を寄せ合い、心を込めて作った巣。そしてこのパネルを2週間ほどで完成されたという林氏の熱意にもさらに心動かされた。
今回、鳥の写真を撮る機会には、恵まれなかったが、貴重なお話を伺う機会をいただいたことに感謝したい。
先日、訪れた海辺で、たくさんのカワウが並んでいる光景に出会った。近くには、たくさんのカモメがいたのだが、カモメに関しては、全く何もわからず、識別力のない私には、歯が立たないものと最初から諦め、もっぱらカワウの観察をしていた。カモメファンの方が、このようなことを知ったら、どれほど嘆くことだろう。でも、いつの日にか、カモメを、しっかり観察したいと願っている。
ところで、このとき、2羽のカワウが、何やら儀式めいたことをしていた。向き合い、嘴をあわせ、体を低くし、次には嘴を天に向けて高らかに何やら誓いの言葉でも語っているような仕草。これを数回繰り返していた。これがディスプレイなのだろう。
普段、見向きもしないカワウであるが、カモメの識別力がないという情けない事情から、思いがけなくカワウのディスプレイを見ることが出来た。海辺にも確実に春が来ている。
今シーズンは、アトリやシメ、イカルなど群れで観察する機会に恵まれた。鳥見を始めたころ、図鑑で見て、早く会ってみたいと思った鳥のひとつが、アトリであった。鳥に関心を持って初めての冬、近くの自然公園で、ハンノキにとまった綺麗な鳥が目に入った。それがアトリであった。
その後、なかなかアトリに出会う機会に恵まれず、遥かかなたを飛ぶアトリの群れを見る機会はあったのだが、今シーズン、近くの公園で、ずいぶん楽しませてもらった。そしてハナモモの季節に、また姿を見せてくれた。
アトリは、「集鳥(あつとり)」、つまり群れをなして移動することから、この名があるという。移動の時期も目前に迫っているようだ。楽しい出会い、嬉しい出会いに感謝し、また会える日を心から願っている。
昨日、訪れた海辺で出会ったのは、すっかり夏の衣装に衣替えしたカンムリカイツブリだ。冬の間、手賀沼周辺でもよく見かけるカンムリカイツブリだが、遠くにいても結構大きいのですぐわかる。白っぽい鳥が浮かんでいるときは、大抵間違いなくカンムリカイツブリだ。
その印象が強いので、昨日の出会いは、鮮烈だった。つい2〜3日前に、冬羽のカンムリカイツブリを見たばかりだったから、その変身ぶりに驚いた。冷たい潮風を避けて車の中にいたので、思いがけずかなり近くで観察することが出来た。
珍しい鳥ではないけれど、夏の装いのカンムリカイツブリとの出会いは、嬉しかった。
朝のうちは、雨が降ったり止んだり、はっきりしないお天気だった。久しく海辺に出かけていなかったので、小雨降る中を思い切って海辺に向かった。
どんよりと雲が厚く、久しぶりの海辺に立つと、潮風が予想以上に冷たい。最初に目に入ったのは、夏羽のカンムリカイツブリ。何だか荒武者といった風情だ。続いてスズガモの群れ。夏羽と冬羽のハジロカイツブリの姿も見えた。
今日、一番の出会いは、ウミスズメ。私にとって初めての出会いである。慌ててカメラを向けたので、写真は、ブレブレばかりであった。遠のいていくウミスズメを目で追っていると、地元の方が、声をかけてくださった。「今のは、スズメだよ。寒い頃には、番でいたけれど、今は、もういないよ。カモメが食べられないような小さな魚の群れを追いかけて岸辺近くに来るんだよ。」さらに言葉を続けて「昔は、カモメは寒い頃と決まっていたが、今では夏でもいるんだ。カツオドリなんかも、たくさん見られたんだけれどね。」残念そうな寂しそうな表情を見せて、その方は立ち去った。
海辺には、いつの間にか春の暖かい日差しが降り注いでいた。
久しぶりに里山を歩いた。低い雲に覆われ、日差しもなく、暗い一日だったが、ごくごく身近な鳥たちとの出会いが、心和ませてくれる。
やはり一番出会いの多かったのが、ヒヨドリ。どこに出かけてもヒヨドリの声は、元気一杯だ。今日のヒヨドリは、残り少ない花を惜しんで静かに佇んでいる俳人を連想する姿だった。エナガの声も聞こえたのだが、込み入った木々の中で姿を見ることは出来なかった。遠くの木に1羽ポツンと、とまっていたのは、シメ。今シーズン群れで出会うことが多かったが、1羽だけのシメの姿は、ちょっと寂しい。ツグミも遠くの木に静かにとまっていた。
ヒメオドリコソウの紫色とスイセンの黄色が、日差しのない暗さを忘れさせ、春の訪れを実感させてくれる。ほんのひとときだったけれど、里山の春を楽しみ、心和む一日だった。
鳥撮りを始めた頃、最初に使っていたのは、NikonD100で、レンズは、VR付き70-200mmであった。手賀沼のコブハクチョウの撮影が主であったので、これで十分だった。
途中からCanon に変わり今もCanonを使っている。カメラは、EOS50D。レンズは、400mm F5.6を主に使っているのだが、先日、北海道に出かけた折、400mmではなく100-400mmのズームが手元にあったらと思う場面にずいぶん遭遇した。
以前は、100-400mm F4.5-5.6 ISを使っていたのだが、久しぶりに、このズームを使ってみると、ずっしりと重い。体力が落ちたためと思われるが、これでは、機材に振り回され、翌日はダウンということになりかねない。今回、新たに300mm f/4 IS を求め、使ってみた。
実は、その他に、400mm F4 DO IS も勧められて購入したのだが、どうも自分の撮影スタイルには、合っていないようだ。結局、防湿庫に眠っている。
今回、300mm f/4 IS のレンズで、オジロビタキを手持ち撮影してみた。ISなしの400mm F5.6とは、また別の世界が広がりそうだ。
暖かかったり寒かったり戸惑いながら、弥生を迎えてもう1週間が過ぎようとしている。所用が重なって、なかなか鳥見の時間をとることが出来なかったが、今日の日差しに誘われて、午後からほんのひととき、田んぼを回ってみた。
何枚かの田んぼは、いつの間にか、冬枯れ色から若草色に変わり、ヒバリのさえずりも聞こえてくる。犬を連れて散歩をする人、川沿いに釣り糸を垂れる人、農作業をする人。田んぼにも、春を感じさせるリズムがある。
ワァーと飛んで、また、戻ってくる群れは、スズメとカワラヒワ。何度も何度も繰り返す。畦道で見かけたのは、3羽のホオジロ。ハクセキレイ、タヒバリ、ツグミの姿も見かけた。枯れた草に飛んで来たのは、オオジュリン。白っぽい固体もいるが、もうずいぶん黒くなっている固体も見える。旅立ちの日も近づいているようだ。
田んぼには、春を告げる息吹きがある。
昨日のお天気とは、打って変わり氷雨降る寒い一日となった。昨日のあの暖かい日差しから、この寒さ。温度変化に戸惑っている。
先日、雨から霙になりそして雪になった日。すぐにまた雨になってしまったが、久しぶりの雪で心が弾んだ。期待もせずにぶらりと出かけたのだが、思いがけないところでタシギに出会った。あまりにも唐突に目の前に現れたタシギ。あの秋を感じさせる日以来の出会いであった。
いつもすぐに飛ばれてしまい遠くのタシギの姿しか見ることが出来なかった。しかし、この日、あまりにも近すぎて撮影するのに苦労したくらいだ。鳥たちとの出会いの瞬間、いつも新たな発見があり喜びがある。
今日は、啓蟄。二十四節気のひとつで「冬ごもりしていた虫が外に出るころ」という。日差しも、すっかり春めいて暖かく、虫だけでなく鳥たちの動きも活発になって、まさに鳥見日和。しかし、今日は、所用で撮影は、お休み。外出先で見かけたのは、菜の花にとまったヒヨドリ。見事に咲いた菜の花にとまったヒヨドリは、なかなかお洒落で素敵な絵になっていた。カメラを持参していなかったのが、とても残念である。
数日前、青空の日に出会ったのは、イカル。「キーコキー キキココキー」聞き覚えのある声がして、イカルが数羽飛んで来た。イカルに初めて出会ったのは、御岳の大きな大きなケヤキの木だった。初めての出会いは、格別嬉しいもの。そして懐かしい出会いも、また、心弾むものである。
昨晩降った雪で、ベランダから見下ろすと芝生が白くなっている。ここにツグミでも来てくれないかなあと思ってしばらく眺めていたが、一向にその気配がない。それでは、近くの公園にでも出かけてみよう。そう思ってゆっくり家を出た。
公園の梅林では、紅梅も白梅も時期を過ぎた感があるが、それでもまだまだ楽しめそう。時折、散歩の人が立ち止まり紅梅、白梅を見上げている。しばらくするとメジロが飛んできて美味しそうに蜜を吸っている。ごくごくお決まりの「梅にメジロ」だが、この公園の梅は、苔むして風情がある。ずいぶん長い間、丹精込めて育てられたものであろう。
以前から、何度も来たことのある公園だが、ゆっくり花を楽しみ、公園の落ち着いた雰囲気を慈しむ人たちが訪れるところである。これからも訪れる人たちが、心安らぐ場所であるよう願いながら公園を後にした。
折々に話題にのぼる鳥がいる。2月の半ば頃から、その消息を聞いていたのだが、なかなか出かける機会が巡ってこなかった。もっとも思い切って出かければ、簡単なことなのだが、その思い切りが、最近なかなか出来ない。
今日は、早朝、1箇所目のポイントを観察した後、ムジセッカのポイントに回ってみた。一頃は、カメラマンで賑わったというポイントには、双眼鏡を持ったご夫婦の姿が見えるのみ。実に静かな、どちらかと言えば、寂しい環境である。
到着してすぐに、水路をはさんで、葦原から葦原へ飛んだ鳥が、紛れもないムジセッカだった。カメラは、まだリュックの中。慌ててカメラを取り出し、葦原に隠れた鳥を追ったが、時すでに遅し。午後の方が、観察しやすいと聞いていたのに、よりによって、寒い朝に訪れてしまったことを悔いた。
声も聞くことが出来たし、姿も見えたし、環境もじっくり観察できた。昨春、与那国島で出会っているので、観察出来ただけで良しとしよう。そう自分に言い聞かせて、所用もあり帰路に着いた。
今日の画像は、2008/4/7 与那国島での撮影です。
久しぶりに雲ひとつない青空を仰ぐ。草の芽や木々の芽ぶきが、春の訪れを感じさせてくれる。紅梅も真っ盛り。しかし吹く風の何と冷たいこと。
1年前のちょうど今頃、やはり今日のように良く晴れ渡った日に出かけた松林で、思いがけなくツミに出会ったことがある。あの日は、「キィーキッキッキッキッキッ」という聞き覚えのある声を聞き、高い松の木にいるツミを見ることが出来た。
そして今日、思いがけなく、またツミに会うことが出来た。今日は、その声もなく静かにサクラの木にとまっていた。
桜の花の咲く頃に飛来するというツミ。鳥の名前も知らなかったあの頃。初めて出会ったあの夏の日が懐かしい。
早いもので、今日は、もう三月。三月の声を聞くと、桃の節句、菜の花、さえずり、風光る、水ぬるむなど、春をイメージする言葉が、次々と浮かんでくる。三月は、弥生と言われるが、別名、花見月、夢見月とも言われるという。二月から三月に変わっただけで、ずいぶん楽しいふんわりしたイメージを膨らませることが出来るのは、嬉しいことだ。
午後から、ふと思いついて近くの公園に向かった。公園の隣にある梅林は、びっしりと花が咲き、甘い香りが漂ってくる。到着すると同時に、ヒューィと公園の方角から飛んで来たのは、モズだ。慌ててカメラをリュックから取り出す。「飛ばないでね。」そう念じながら。
梅林には、メジロの姿も10羽ほど見えた。チーチーと小さな声で鳴きながら、花から花へと身軽に移動し、蜜を吸っている。さほど広くない梅林をメジロの群れが、行ったり来たり。
家を出るときは、ほんの少し、薄日が差していたのに、だんだん雲が厚くなってきた。雨が降り出す前に引き上げよう。公園を一周して、急ぎ足で帰路についた。
◇◇ これまでの 『とりどり日記』 ◇◇ | ||||||||||||
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