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5月27〜28日までと29〜30日まで2か所の高原に行く機会に恵まれた。1か所は、標高およそ1200m。もう1か所は、標高1600mくらいのところである。両者とも、それぞれに鳥との出会い、人との出会いに心癒され、学ぶことの多かった高原の旅であった。
白樺林の美しい高原では、ジュウイチ、カッコウ、ツツドリ、ホトトギスの声が響き渡り、清々しい気分を味わうことが出来た。しかし姿を確認するのは、なかなか困難である。美しい山並みと新緑、トウゴクミツバツツジの優しい色合いを味わいながら、鳥たちのさえずりに耳を傾けるとき、心満ち足り、至福のひと時を過ごすことが出来た。
♪キョキョキョというホトトギスの声は、何度となく耳にしているが、今まで、姿をはっきり確認する機会には、恵まれなかった。昨日、今回の旅の最後に、思いがけず、ホトトギスの姿を見ることが出来た。今にも雨が落ちてきそうな暗い空模様であったが、心は、晴れ晴れとして嬉しかった。
何度も触れるが、私は、田んぼめぐりが好きである。早苗の揺れる初夏の田んぼ。ツバメが飛び交い、ヒバリが、鳴きながら舞いあがる。渡り途中に立ち寄ったムナグロ、チュウシャクシギ、キョウジョシギ、キアシシギの姿が見える。セッカの声も聞こえてくる。あまり変わり映えのしない田んぼが何故好きなのか。ほとんど鳥見の人に出会わない静けさが、私には、あっているような気がする。
その田んぼで、何といっても出会いの機会の多いのが、キジである。雄のキジには、華やかさがあるが、雌のキジの優しい表情には、心惹かれるものがあり、よくレンズを向ける。キジとの出会いも、田んぼめぐりの楽しみの一つなのかもしれない。
田んぼで、良く見かけるチョウゲンボウ。特に、冬枯れの田んぼで出会うことが多い。大抵、電柱にとまっていることが多く、写真を撮るには、ちょっと寂しい思いがする。田んぼの畦で見かけることもあるが、その機会は、非常に少なく、田んぼの場合には、杭にとまっている姿を見ることになる。
そのチョウゲンボウが、緑の美しい木にとまっているのを見たのが、2年前。田んぼのチョウゲンボウしか知らない私には、鮮烈な心に残る思い出となった。あのとき、チョウゲンボウは、バッタのようなものを捕らえて、器用に足でつかみ、美味しそうに食べていた。緑滴る季節を迎え、またそのような出会いが巡ってくることを願っている。
「アカツクシガモ」会いたいと願いながら、なかなかチャンスに恵まれなかった。それが、籠脱けであれ、一度は会ってみたい。その思いが通じたのが、昨年のちょうど今頃。田んぼの畦にちょこんと座って、のんびりムードの一羽のアカツクシガモ。青々とした田んぼを背景に、なかなか綺麗だった。
かつて、谷津干潟にアカツクシガモとか、大久保農耕地にアカツクシガモとかの情報を耳にしながら、機会を逸していた私にとって、身近な田んぼでの嬉しい出会いであった。
かっこう かっこう かっこう かっこう
どこかで よんでる
夏を呼ぶ 森の声 さわやかに 谷の声
ほら ほら ほら ほら
ひびくよ ひびくよ
(作詞 大浦正美 ドイツ民謡)
子供のころ、よく歌った♪かっこう♪の歌。鳥に関心を持つようになり、カッコウの写真を撮りたいと思うようになった。秋の渡りのころ、近くの公園でツツドリには、よく出会う。しかし、秋の渡りのときには、鳴いてくれないので、杜鵑類に疎い私には、識別が定かではない。最近、続けてカッコウに出会う機会があった。♪カッコウ♪カッコウと良く鳴いてくれたので、これは間違いない。
田んぼめぐりは、私の最も心落ち着く場である。春の渡り。その時期になるのを待っていたかのように、春、まだ浅いころから、熱心に田んぼめぐりをするのが常であった。しかし今シーズンは、どうにも力が入らない。自分の体力不足もさることながら、田んぼでのシギ・チの出会いの何と寂しかったことだろう。
そのような状況の中で心に残る思い出のひとこまがある。例年、越冬シギが観察されている蓮田で夏羽になった2羽のオオハシシギと1羽のエリマキシギに出会った。あれは、こどもの日、5月5日のことである。蓮田の水面がピーンと張りつめ、波一つ立たず、シルクの布でも敷き詰めたようで、美しさと優しさがあった。
ハスの芽がわずかに見えるところに、2羽のオオハシシギと1羽のエリマキシギ。しばしシャッターを押すのを忘れるほど、感激して見入っていた。この蓮田で、これほど美しい光景を見たことは、今まで一度もなかった。懐かしく嬉しい思い出のひとこまである。
古代ギリシアでは、アテネ女神の守護鳥として学問や芸術の象徴とされていたというフクロウ。しかし古代エジプトや古代ローマでは、不吉、不幸、不気味な鳥とされていたという。
フクロウが幸福をもたらす鳥か、あるいはそうでないか。諸説あるようだが、現代の日本では、知恵や学問の鳥、あるいは幸福の鳥として、かなり人気のある鳥である。
ちょうど2年前、誰もいない林の中で出会ったフクロウ。うっそうとした林の中で、ひとりでいるのが、ちょっと怖かった。でも、フクロウが目の前に現れたときの嬉しさは、今でも忘れることはない。しかし、都市開発が進み、その林は、すっかり跡形もなく消え去った。あのフクロウは、今頃どうしているだろう?
♪ヒッヒッヒッ♪チャッチャッチャッチャッ葦原から聞こえてくるのは、セッカの声。夏の到来を感じさせる♪ギョギョシ♪ギョギョシのオオヨシキリの声と同様、セッカの声も季節を感じさせてくれる。
セッカは、麦畑で、良く見かけるが、なかなかとまってくれない。緑色の麦が、やがて色づき麦秋を迎えるころ、セッカの声は、一層賑やかになってくる。
これからの季節、セッカとの出会いが楽しみである。
葦原から聞こえてくる♪ギョギョシ♪ギョギョシの声。このオオヨシキリの声を聞くと夏の到来を実感する。
昨日出かけた葦原では、あちらからもこちらからも♪ギョギョシ♪ギョギョシの声が絶えることなく響き渡り、さながら葦原の歌唱コンクールのようだった。これから暑さに向かって、このオオヨシキリの声が葦原を賑わすことであろう。
初夏を感じさせる日差しが続き、吹く風が心地よい。久しぶりに葦原に足を向け、夏の気配を楽しんできた。道ばたには、アカツメクサやハルジオンがびっしり咲き、初夏の風に揺れている。
葦原の中にある1本の木から♪ホーホケキョ ケキョ ケキョとウグイスの声が聞こえてくる。♪カッコー ♪カッコー ♪カッコーと鳴きながらカッコーがすぐ近くを飛んでいく。林の方角からは、♪キョッ キョ キョ キョ キョとホトトギスの声が聞こえてくる。
葦原から聞こえてくるのは、♪ギョギョシ ♪ギョギョシのオオヨシキリの声。しみじみ夏を実感する。今度は、♪チリチリチリ チュチュチュと聞き慣れない声。ファインダーをのぞいてみる。コヨシキリだ!嬉しい嬉しい出会いだった。。
今日は、ずいぶん暑い一日だった。昨日、一昨日と雨模様の日が続いたので、今日の日差しの何と眩しかったことだろう。いつの間にか、木々の緑が色濃くなり、その葉陰でスズメが休んでいたりする姿を見かけると、何となく心が安まりほっとする。
この春は、ずいぶん寒い日が続いたので、田植えが例年より遅かったようである。先日、久しぶりに田んぼを回ってみると、早苗が、まだ余り伸びていないところが多かった。
その田んぼで、数羽のチュウシャクシギに出会えたのは嬉しかった。春の渡りも、そろそろ終盤戦。田んぼが、また寂しくなる。
今日も雨模様の一日。窓から見えるエゴノキの新緑が、日毎に濃さを増している。わずかに咲き始めた白い花が、雨に濡れている。
昨日、久しぶりに回った田んぼ。いつの間にかシロツメクサが一面に咲いてお花畑になっている。レンゲ畑の思い出は、たくさんあるけれど、シロツメクサが、これほどたくさん一面に咲いている畑は、見たことがない。この真っ白なお花畑に何か鳥が飛んで来てくれないかしら?淡い期待で、シロツメクサのお花畑をゆっくりゆっくり進む。すると、嬉しいことに雌のキジが飛んで来た。しかし、お花の中にもぐってしまって姿が見えない。
クローバーとも言われるシロツメクサ。その昔、オランダ船の荷物(ガラス製品)のパッキング用に使われたことから、「つめくさ(詰め草)」の名がついたという。四つ葉のクローバー探しをしたのも遠い日の思い出。そんなことを考えていると雄のキジの姿が見えた。ケンケーン。お花畑は、ひととき夢を見させてくれた。
早苗が揺れる田んぼ。忙しい日が続き、なかなか足を向けられなかった田んぼ。今朝、久しぶりに田んぼに向かった。シギ・チの渡りの最盛期に出かけられなかったことが悔やまれる。
広い田んぼを一回り。サギやヒバリ、ムクドリなどでさえ、姿が見えない。それは、強風のためなのか、それとも時期的なものだろうか。一度回ったところを、もう一度回ってみる。やっと1羽のキョウジョシギに出会った。畦の上を、元気にずんずん歩いてくる。広い田んぼにたった1羽。仲間とはぐれてしまったのだろうか。ぐんぐんぐんぐん近づいてくる。その速度の速いこと!速いこと!やっとファインダーに入れられた。
緑の風が、心地よい。でも、日差しは、もう夏。道端には、可愛いピンクの花をつけたカラスノエンドウがびっしり。土手から見下ろす草原では、オオヨシキリが、元気いっぱい声を張り上げて鳴いている。それは、まさに夏の到来を告げる声だ。キジの雄と雌が、ケケーンケケーンと鳴きながら飛んでいる。
今日の空は、わずかに雲があるものの、気持ち良く晴れ渡っている。その青空を、巣材をくわえたトビが飛んでいく。アオサギも飛んだ。ウグイスの鳴き声も聞こえる。カワラヒワも飛んで、高い木の上にとまった。
♪カッコー♪カッコー♪カッコー大空に響き渡るようにカッコーの鳴き声が聞こえてくる。どこかにとまってくれないかな?その思いが通じたのだろうか。新緑のまばゆい高い木の上にカッコウがとまってくれた。でも、風があって、あちら向きばかり。何とか撮れた写真が1枚。でも、嬉しく心に残る1枚となった。
五月晴れ。今日のお天気は、まさに、その言葉がぴったり。太陽が、まばゆい光を放ち、木々の緑に、赤、白、黄、紫、ピンクなど色とりどりの草花に降り注ぐ。今の時期、ほんのひととき、ご近所コースを散歩しただけでも、季節の花を楽しめる。それは、赤や濃いピンクのツツジだったり、紫色の鉄線だったり、優しいピンクのナデシコだったり、白や紫のイチハツだったりする。白い小さな花をびっしりつけたコデマリも良く見かける。小さな公園の藤棚には、紫と白とピンクの藤の花が、見事に咲き、その花房が風に揺れている。
先日、緑の森で出会ったのは、フクロウ。5月は、巣立ちの時期。親フクロウは、遠くから、じっと我が子を見守っている。フクロウを見ていると、親の愛が、ひしひしと感じられ、胸に熱いものがこみ上げてくる。
春の渡りも、ほぼ一段落。都市公園や東京近郊の公園、屋敷林などに立ち寄り、羽を休め、栄養補給していった鳥たちは、今頃、無事に目的地にたどり着いていることだろう。地球温暖化と言われながら、寒い春を過ごし、鳥たちも戸惑い、渡りの時期も、いつもとは、ずいぶん違っていたような気がする。
各地で巣立ったフクロウも、例年より1週間から10日くらい巣立ちが遅れたように聞いている。フクロウの巣立ち雛は、ふわふわした羽毛が、まるでぬいぐるみのようで、可愛らしく、何度でも会いたくなる鳥のひとつである。
今年も一目会いたいと願いながら、なかなかチャンスに恵まれなかったが、何とか、フクロウの巣立ち雛に会うことが出来た。逆光で撮影しにくかったが、その出会いに心から感謝している。
子供の頃、レンゲ畑で鳴いていたのは、ヒバリだった。菜の花畑で聞いた声も、やはりヒバリ。でも、その鳥の名前を知ったのは、ずいぶん後のことである。鳥に関心のなかったあの頃、その鳴き声が、何であるかも気にも留めなかった。
田んぼめぐりをしていて、一番多く出会う鳥は、多分ヒバリではないだろうか。ヒバリで思い出すのが、上田敏訳の ロバ-ト・ブラウニングの詩、春の朝である。
春の朝 (ロバ-ト・ブラウニング)
時は春、
日は朝、
朝は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、
蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。
里山の鳥と言われるサシバ。里山で出会うと、伊良湖岬や白樺峠などで鷹の渡りのとき、飛んでいる姿を見かけるのとは、また違った印象がある。
先日、里山で草地に舞い降りたサシバの姿を見る機会があった。少し距離があったが、赤紫色のカラスノエンドウが咲いているところで、サシバは、何やら獲物を見つけたようである。羽をバサバサさせて、悪戦苦闘している姿をしばらく観察することが出来た。草に隠れて獲物が何であるか、全く見えないのだが、サシバが、真剣な表情であるということはわかった。
南の島から渡ってきたサシバ。自然豊かな里山が、すっかり気にいっているようである。
思いのほか風が強かったが、久しぶりに馴染みの公園に向かった。公園に向かう途中の道路沿いに矢車草が、風で右に左に揺れている。矢車草を見ると、遠い日の母の姿を思い出す。
ほどなく公園に到着。小学生が、自然観察の学習らしく網を持ったり、小さなスコップを持ったりして、公園内を賑やかに走り回っている。これでは、鳥との出会いを期待するのは無理かもしれない。しかし、カワセミが一瞬姿を見せ、鳴きながら、また遠くへ飛んで行った。モズもひととき姿を見せてくれた。他には、スズメ、ムクドリ、ドバト。
公園の木々の緑は、清々しい。レンズを向ける機会はなかったけれど、久しぶりの公園には、初夏の香りがいっぱいだった。
今日の写真は、2010/5/7撮影
春の渡りの時期にも秋の渡りの時期にも、一番出会う機会の多いムナグロ。しかし、今期は、なかなかムナグロに出会う機会が巡ってこなかった。ムナグロが群れで飛んでいるのは、何度か見かけたし、ムナグロの声も聞いたのだが、近くでしっかり姿を確認するまでには、ずいぶん時間がかかった。ムナグロの群れの中に、時には、珍鳥がまじることもあるので、決してムナグロの観察をおろそかには出来ない。
数日前、かなり近くでゆっくりムナグロを観察することが出来た。今の時期、ムナグロも換羽の状況が、いろいろで、これまた楽しめる。この写真の個体は、ずいぶん可愛らしい印象で、普通、私が抱いているムナグロの印象とは、ずいぶん違うものであった。
例年、春のお彼岸の頃に飛来するツルシギ。今期は、最初2羽のツルシギを確認した。その後、6羽になり、8羽になった。飛来したての頃は、冬羽であったが、徐々に色濃くなっていく。その換羽の状況を見るのが、いつも楽しみである。
5月の連休明けには、真っ黒になったツルシギ1羽を確認した。8羽のそれぞれが、換羽の状況が違い、観察していて、とても興味深い。真っ黒になったツルシギを見ると、早苗が揺れ、若葉かおる初夏を、今年も無事に迎えられた喜びを実感する。元気であってこその鳥見である。四季折々、鳥たちとの出会いに感謝し、その折々の人との出会いを大切に、これからも過ごしていきたいと思う。
早苗が揺れる田んぼ。今年は、寒い春を過ごしたので、田植えも遅かったようである。その田んぼに、ムナグロ、チュウシャクシギ、キョウジョシギ、トウネン、ハマシギ、キアシシギなどの姿が見える。例年、見られるコアオアシシギやオグロシギ、ウズラシギ、アカアシシギなどの姿が見えないのは、寂しい限りである。
先日、蓮田で、オオハシシギとエリマキシギに出会った。オオハシシギは、例年、蓮田で越冬する。夏羽になったオオハシシギは、赤くて綺麗だ。夏羽のオオハシシギが2羽とエリマキシギが、一箇所にいて、近くには、蓮の芽があり、なかなか良い雰囲気であった。
今期は、田んぼのシギたちとの出会いが、少ないが、まだこれからに期待出来るのであろうか。
五月晴れ。晴れ渡った空が気持ち良い。久しぶりに訪れた公園は、木々の緑が覆いかぶさるようになって、緑の色を濃くしている。センダイムシクイの♪チヨチヨビー♪の声が、木々の間を縫うように聞こえてくるが、姿は見えない。シジュウカラの♪ツツピー♪ツツピーの声も頻繁に聞こえてくる。
スズメが群れで現れた。見慣れたスズメも1羽、1羽の仕草を見ると、とても可愛い。メジロも姿を見せ、サツキの花の間で見え隠れしている。キビタキ♀も現れた。しばらくすると、近くの水場に降りて、パシャパシャと気持ち良さそうに水浴びを始めた。今日は、気温が上がって、水浴びを見ている方も、気分爽快。キビタキ♂も現れた。
久しぶりの公園。緑の風と小鳥たちの姿に、心癒されたひとときだった。
2010年4月30日、粟島を訪れることが出来た。前日の4月29日に予定したのだが、悪天候のため、乗船予定であった高速船が欠航し、村上に足止めになったため、一日遅れでの上陸となった。
粟島で最初に探鳥した場所は、小学校およびその周辺の畑である。午後からは、牧平周辺を探鳥した。午後4時以降は、自由行動となったため、同行のOさん、Kさんと宿泊先の民宿周辺を散策することにした。探鳥のポイントのひとつである小学校に向かおうとしていたとき、海沿いの資材置き場のようなところに、1羽の鳥がとまっていた。Oさんが、最初に、その鳥に目をとめて「ムギマキ!」と叫んだ。ムギマキならば、絶対撮りたいとの思いで、レンズを向ける。しかし、どうもムギマキとは様子が違う。
今度は、Oさんが、「クロジョウビタキじゃない?」と言う。「あなた、クロジョウビタキに会ったことあるんでしょう?」うん、うん、そう、そう。私は、与那国島でクロジョウビタキに出会ったことがある。でも、2008年4月、与那国島のぎらぎら光る陽光の中で見た、クロジョウビタキとは、ずいぶん印象が違う。でも、やっぱりクロジョウビタキに間違いない。私は、確信した。
粟島で出会ったクロジョウビタキは、ずいぶん愛想が良く、翌5月1日も、小学校周辺を飛び回り、元気な姿を見せてくれた。この思いがけない出会いに心から感謝。
粟島行きの高速船が、欠航したため、初日の4月29日は、村上駅近くのホテルに宿泊することになった。ホテルで持参したお弁当を食べた後、タクシーで村上城址公園に向かった。
村上城址公園の山頂からは、市内を一望出来、遠くは、佐渡ヶ島まで見渡すことが出来るという。私たちが訪れた4月29日は、雨が多少ぱらつく暗い日であったが、春を告げるソメイヨシノが、ちょうど見ごろで、美しい自然を楽しむことが、出来た。山頂に登って行く道にも桜が植えてあり、花見をしながら散策が楽しめ、市民の憩いの場になっている。家族連れ、中学生や高校生、グループなど次々に訪れる人たちで城址公園は、賑わっていた。
城址公園で最初に出会ったのが、コゲラ。桜の花を見上げるようにして、一心に木をつつき、しばらくして新緑の木々の間に吸い込まれるように姿を消した。山頂近くでは、ヤマガラ、ビンズイ、カワラヒワに出会った。イカルも鳴いていたが、姿を確認することが出来なかった。公園の入り口近くまで戻ってみると、草のところから、黄色と黒の鳥が飛んだ。すぐに姿が消えてしまったが、もしかしてキビタキかもしれない。そう思うと胸が高鳴った。何故なら、今シーズン、まだキビタキに出会えていなかったからである。
桜の木のところには、2羽のシジュウカラが、頻繁に姿を見せてくれた。そのシジュウカラを観察していると、目の前の木にとまった鳥がいる。キビタキだった。先程、見た鳥は、やはりキビタキだったのだ。嬉しかった。雨が降った後で、かなり暗かったが、心が晴れて明るくなった。生垣の中では、ウグイスが見え隠れしている。センダイムシクイの声とビンズイの声が聞こえてきた。ビンズイは、何羽も姿を見たが、センダイムシクイは、1羽だけ。 探鳥時間は、短かったが、ささやかな鳥たちとの出会いを楽しむことが出来た。
昨年、体調を崩し、遠征はもちろん、鳥撮りもやめなければならないかもしれないと暗い気持ちで過ごした日々。今回の遠征も、多少の不安があったが、背中を押してくれた夫に心から感謝している。2泊3日の短い旅であったが、ご一緒させていただいた皆様が、とても気持ちの良い方ばかりで、心に残る思い出の旅となった。
今回、粟島での探鳥は、4月29日〜5月1日の予定であった。それが、風雨のため、海が荒れ、乗船予定の高速船が欠航となったため、探鳥可能な時間が、大幅に縮められた。4月30日の10時に粟島に上陸。翌5月1日の15時30分のフェリーに乗って帰らなければならない。実質、探鳥可能な時間は、1日だけとなった。その限られた時間内に、出来るだけたくさんの鳥を見たいと思うのは、私だけではないであろう。
粟島での初日、午前と午後の探鳥を終え、後は、自由時間とのことであった。同行の方と宿舎の近くにある小学校およびその周辺を散策することにした。そのとき出会ったのが、クロジョウビタキである。最初にその鳥の存在を見つけたOさんに感謝である。「証拠写真を撮ってね。」とのOさんの言葉に、肩に力を入れて撮影したクロジョウビタキ。忘れられない大きな思い出となった。そのとき、夕方で陽の光が弱くなりかけていたが、イカル、コムクドリの群れ、コサメビタキにも出会った。
翌朝は、6時から探鳥ということであったので、私たち4人は、4時半起床5時出発で、付近を散策することにした。桜の木には、たくさんのメジロが飛んで来た。その桜の木に、オオルリ♀がとまった。近くの草地では、マミチャジナイが、熱心に採餌している姿を見ることが出来た。そのマミチャジナイは、ずいぶん体格が良く、警戒心も薄くて、容易に撮影することが出来た。普段は、なかなか姿を見つけにくいウグイスも、その朝、ゆっくり見ることが出来た。
自由時間に出会った鳥たちが、粟島での思い出のアルバムを膨らませ、心に深く刻み込まれるものとなった。Oさん、Kさん、Nさんに心から感謝。
粟島で探鳥するにあたり、ポイントとなる地点のひとつは、小学校周辺および小学校の裏手に広がる畑およびその奥の林であり、もうひとつは、牧平周辺である。
小学校周辺の探鳥を午前中に終え、昼食後、私たちは、牧平に向かった。牧平から眺める日本海は、美しいコバルトブルーで、初夏の陽光を浴びキラキラと輝いて見えた。牧平には、畑が多い。そこでまず最初に出会ったのが、ルリビタキ♀であった。ルリビタキが飛んだ後に現れたのがミヤマホオジロ♀。ミヤマホオジロの♂は、華やかな印象があるが、♀は地味である。この一歩引いた感じのミヤマホオジロ♀が、私は好きである。
牧平では、ノビタキを良く見かけた。虫を運んでいる♀が多かったが、今、子育て中なのだろうか。♂も何回か見かけたが、遠かったり飛ばれてしまったりで撮影するには、いたらなかった。ベニマシコも何羽か見かけた。畑のそばの草地では、真っ赤なベニマシコに出会ったし、木にとまったベニマシコを見ることが出来た。
アトリは、小学校の校庭や小学校裏手の畑で何度か見る機会があったが、なかなか思うような撮影が出来ない。大抵群れでいることが多く、1羽が飛ぶと一斉に飛び立ち、撮影の機会を逸していた。牧平でようやく撮影の機会が巡ってきた。菜の花が咲いている草地で♂と♀のアトリをゆっくり撮影出来たし、日本海をバックに木にとまった姿を撮影することが出来た。
嬉しかったのは、クロツグミに会えたことである。距離があったし、背景が今一つであったが、クロツグミの姿がファインダーに入ったときの嬉しさは、格別であった。
そのほか、牧平では、カシラダカ、ホオジロ、ホオアカ、アマサギ、トラツグミ、ツツドリ、アオジなどを見かけた。
粟島は、周囲23キロあまりの島で大自然がいっぱい。春と秋の渡りの時期には、鳥たちが、羽を休め栄養補給する場所として大切な中継地となっている。新潟県岩船郡粟島浦村という地名である。
岩船港から粟島まで、普通船フェリーで1時間30分、高速船で55分かかる。普通船フェリーの料金(2等)は、1,830円、高速船は、3,690円である。今回、4月29日に乗船予定であった高速船が悪天候のため欠航となった。それは、波の高さで決まるのだという。当然と言えば当然のことなのだが、今回の経験で、それがとても良く理解出来た。
4月30日、岩船港9:00発の高速船は、出航することになり、ようやく粟島へ向かうことが出来た。いよいよ探鳥開始。最初に小学校に向かった。校庭では、夏羽のカシラダカ、やはり綺麗な夏羽のアトリ、スズメの群れ、ツグミ、ニュウナイスズメ、アオジ、ノジコを見ることが出来た。しかし鳥との距離が遠い。一人ならば、もう少し近づくことも出来るが、なかなか難しい。こんな状態が続くのかと、少々気が滅入ったのは、正直なところである。
次に学校の裏手の畑に向かった。ここでは、アオジ、キビタキ♀、オオルリ、アトリ、チョウゲンボウ、トビなどに出会った。畑の奥の林では、今シーズン見る機会のなかったマヒワの群れを見ることが出来た。畑で出会ったチョウゲンボウは、普通見かけるチョウゲンボウと違って、全体的に淡い色をしているように感じた。
畑から、また学校に戻るとき、学校の裏まで来ると、オオルリがヒラヒラとまるで蝶のように飛んで来て、一瞬、目の前にとまった。ほんの一瞬だったし、あまりに近過ぎたため写真を撮ることが出来なったが、目の前でオオルリを見たという感激、感動は、忘れらないものとなった。そのオオルリが、草地に降りて、また舞い上がり畑の方角へと飛んで行った。
寒い日の多かった四月。雪が降った日もあり、戸惑うことが多かった。それは、人間だけではなく、木々や草花、鳥や動物たちの営みにも影響しているようだ。一番、目に着いたのが、桜の開花時期。桜通りや公園のソメイヨシノを、ずいぶん長い間楽しむことが出来た。そして今、公園の八重桜が、ちょうど見頃となった。
今朝、ほんのひととき、久しぶりに近くの公園を訪れた。まばゆい新緑の中のボリュームのある八重桜は、見ごたえがあり、しばし佇んで花見を楽しんだ。新緑の木々の間から聞こえてくるのは、♪ツツピー♪ツツピーのシジュウカラ。♪ギィーというコゲラ。♪チッ♪チッというシメの声。緑の葉が重なりあって、林の中にでもいるような雰囲気。♪キョロン♪キョロン♪ツィーとアカハラの声も聞こえてきた。
♪チリリリリ♪チリリリリ。今度は可愛い声が聞こえてきた。それは、湧きあがるように、あちらからこちらからと聞こえてくる。エナガの幼鳥の声である。桜の葉の間を縫うようにエナガは、飛びまわり、虫をとっているようだ。もう一人立ちしたのだろうか。真っ赤な目のエナガが、自分で虫を探している。
春から初夏へ確実に季節は、変わって行く。
「粟島」という名前を初めて耳にしたのは、数年前、飛島を訪れたときのことである。その粟島に4月29日〜5月1日の予定で訪れる機会に恵まれた。しかし、折悪しく4月29日は、強風のため波が高く、乗船予定であった岩船港12:30発の高速船は、欠航となった。
当然ながら足止めの状態であったので、村上駅近くのホテルに宿泊し、村上城址公園で3時間ほどの探鳥を楽しんだ。やはり海が近いということもあって、城址公園では、渡り途中の鳥たちとのささやかな出会いがあった。
しかし、やはり粟島での鳥たちとの出会いに期待は膨らむ。翌4月30日、9:00発の高速船は、出航した。その日の夕方、思いもかけない出会いが待っていた。同行のOさん、Kさんと散歩をしているとき、出会ったのが、何とクロジョウビタキであったのだ。与那国島で出会ったことはあるが、まさか粟島でクロジョウビタキに出会うことがあるとは。
詳しい旅行記は、改めてご紹介させていただきます。
早いもので、今日は、もう皐月。四月は、寒い日が多く、思いがけなく雪が降った日もあり、戸惑うことが多かった。その寒さのために桜を長い間楽しめたのは、嬉しいことである。天候不順のため、農作物に影響が出ているようだが、鳥たちの動向も例年より夏鳥の飛来が、ずいぶん遅い。例年なら、近くの公園でキビタキやセンダイムシクイ、ときにはオオルリなどと出会う機会があるのだが、今シーズンは、まだ出会いの機会に恵まれない。
そのような状況のなかで、サシバとの出会いは、嬉しかった。たとえ、それが杭の上にとまっているサシバであったとしても、その出会いは、新鮮で嬉しいものである。鷹の渡りで出会うサシバとは、また別の感動であった。
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