タイトル:九羽の白鳥 とりどり日記

Home > とりどり日記(2010年6月)             >> 過去のとりどり日記

写真はクリックすると大きくなります

最新版はここをクリックしてください

2010/6/30 マキノセンニュウ

マキノセンニュウ

豊富町サロベツ原生花園は、幌延原生花園に比べると観光客の出入りが多く、観光バスが次々と到着し、賑やかである。このサロベツ原生花園では、今では、個体数が激減したといわれるシマアオジが観察出来ることがある。運が良ければ、撮影も可能というわけである。今回、私は、シマアオジとの出会いに執着心があまりになさすぎたのか、遠い遠い世界でさえずるシマアオジをスコープを通して見せていただいて満足してしまった。そのため折角の撮影の機会を逸してしまったようだ。運の良い方は、かなり近い距離で撮影出来たそうである。

その代わり、マキノセンニュウが、近くで囀る姿をたっぷり楽しませてくれ、ゆっくり撮影することが出来た。2年前の6月に訪れたときも、マキノセンニュウは、何度か姿を見かけていたが、今回は、かなり近くでじっくり観察出来たことが何より嬉しく、深く心に残る思い出となっている。

2010/6/29 ベニアジサシ

ベニアジサシ

小雨が時折、降る中を久しぶりに海辺に向かった。潮風が頬をなでる。コアジサシが、どんよりした曇り空の中を元気に飛んでいる。シロチドリが、ちょこちょこと可愛らしい足取りで砂浜を歩いていく。オバシギ1羽とオオソリハシシギ2羽が、まるで家族のように仲良く、浜辺を歩いている。海水浴の人たちで賑わう海は、好きではないが、コアジサシが舞い、シギの姿がちらほら見える海の光景に、私は、心惹かれるものを感じる。

しばらく足元を気にしながら、砂浜を歩くと、コアジサシやアジサシがたくさん降りている。ベテランの方が、「ベニアジサシがいますよ。」と教えてくださった。ファインダーを覗いてみる。胸のところが、綺麗なピンク色をしたベニアジサシが1羽、視界に入った。さらに良く見ると、右手の方に2羽のべニアジサシの姿が見える。嬉しい!!

昨年見たベニアジサシも、以前、多摩川河口で見たベニアジサシも、あまりに遠かった。今回、近くでゆっくりベニアジサシを観察することが出来、久しぶりに満ち足りた気分になった。自分ひとりでは、見つけることが出来なかったベニアジサシ。教えてくださった方々に心から感謝。

2010/6/28 コヨシキリ

コヨシキリ

6月20日の午後、下サロベツ原野を訪れ、ツメナガセキレイ、ノビタキ、アカエリカイツブリなどとの出会いを楽しんだ後、明日の予定であった豊富町のサロベツ原生花園にも回ることになった。もう少しゆっくり下サロベツ原野での探鳥の時間が欲しかったが、明日は、雨が予想されるとのことで、移動することになった。

サロベツ原生花園で出迎えてくれたのは、オオジシギである。おそらく皆の期待は、シマアオジであろうが、そう簡単には姿を見せてくれない。この日の宿は、豊富温泉であった。

翌早朝、サロベツ原生花園へと向かう。早速、オオジシギの賑やかな声が聞こえてくる。昨日、下サロベツ原野では、遠くに見たコヨシキリが、今朝は、近くで囀っている。あちらからもこちらからも聞こえてくるのは、コヨシキリ。そして飛び交っているのは、ノビタキとツメナガセキレイ。

コヨシキリは、住まいの近くのフィールドにも飛来しているが、北の大地で出会うとコヨシキリの表情が違って見えるから不思議である。そして、その声までもが、新鮮に聞こえるのは、私だけであろうか。

6月23日から6月28日までの鳥たちを思い出の鳥たち初夏の北海道1に掲載しました。

2010/6/27 ノビタキ

ノビタキ

下サロベツ原野で出会った、もうひとつの鳥は、ノビタキである。春の粟島でたっぷり出会ったノビタキであるが、環境が違えば、鳥たちの印象は、おのずと違ってくる。ヤマドリゼンマイの上を飛び回ったり、灌木にとまったり、エゾカンゾウの近くに姿を見せたりとノビタキの動きは、なかなか活発であった。

初秋、近くの田んぼ巡りをしていると、秋晴れの空のもと、渡り途中のノビタキに出会うことがある。すっかり冬羽になったノビタキは、周りの風景の秋色にマッチして、なかなか渋味のある美しさである。

初夏の下サロベツ原野では、夏羽の美しさを見せ、ゆっくりと楽しませてくれた。高原に出掛ければ、夏羽のノビタキに出会う機会は多いと聞くが、なかなか一人で出掛ける勇気もなく、初夏の北海道での出会いは、私にとって忘れ難いものとなっている。

2010/6/26 ツメナガセキレイ

ツメナガセキレイ

下サロベツ原野で、良く見かけるのが、ツメナガセキレイである。2年前の4月、与那国島で初めてツメナガセキレイに出会った。牧場の土くれの上にとまったツメナガセキレイ。鮮やかな黄色が印象的であった。そして、同じ年の6月に下サロベツ原野で、コバイケイソウにとまったツメナガセキレイに出会った。南の島で出会ったツメナガセキレイを、今度は、北の大地で見る機会が巡ってこようとは!

越冬地と繁殖地。違った環境で、鳥の表情もまた異なって見える。今回「初夏の北海道」二日目に、またコバイケイソウにとまったツメナガセキレイに出会うことが出来た。下サロベツ原野では、灌木にとまった姿やアヤメを背景に、あるいは沼を背景にと様々な姿を楽しませてくれたツメナガセキレイ。今度出会えるのは、いつだろう?

2010/6/25 アカエリカイツブリ

アカエリカイツブリ

大雪山旭岳でギンザンマシコとの出会いを楽しんだ後、初日の宿は、白金温泉であった。翌早朝、白金温泉付近を探鳥、一瞬であったが、電線にとまったヤマセミを間近に見て、あまりの大きさに驚いた。かなり遠いところには、アオバトが数羽、木にとまっているのが見えた。

二日目の一番のお目当ては、幌延原生花園である。豊富町サロベツ原生花園から兜沼方面までを上サロベツ原野と呼ぶのに対し、幌延ビジターセンターのあるあたりは下サロベツ原野と呼ばれている。ビジターセンターの横から木道に沿って進むと、まずノビタキ♂♀の姿が、目に入った。さらに進むとツメナガセキレイ、遠くには、コヨシキリも見える。

2年前、下サロベツを訪れたときには、花が非常に少なかったが、今回は、エゾカンゾウやコバイケイソウに加えてアヤメの紫色が心を和ませてくれた。そして思いがけずアカエリカイツブリを間近に見ることが出来た。アカエリカイツブリは、印旛沼や葛西臨海公園で出会ったことがあるが、静かな幌延原生花園での出会いは、また一味も二味も違って心に残るものであった。

2010/6/24 大雪山の雪渓とノゴマ

大雪山の雪渓とノゴマ

「初夏の北海道」の初日、大雪山旭岳で、一番のお目当ては、ギンザンマシコであったが、もうひとつ脇役として登場したのが、ノゴマである。6月に北海道を訪れれば、ノゴマに会える確率は、かなり高い。しかし、4年前の6月に旭岳を訪れたときのノゴマは、あまりに遠かった。あの頃、ギンザンマシコに会いたいという気持ちも、もちろんあったが、それ以上にノゴマに会いたいという気持ちの方が強かった。野鳥の道に精通した方から見れば、ある意味で変わり者だったかもしれない。

今回、嬉しかったのは、大雪山の雪渓を背景にノゴマの姿を写真に収められたことである。「イタドリの上でさえずるノゴマ」とか「シシウドの上のノゴマ」とか、絵となるノゴマの姿は、いろいろあるが、真っ白な雪渓を背景にノゴマを撮影出来たことは、心に残るひとこまである。

2010/6/23 ギンザンマシコ

ギンザンマシコ

「初夏の北海道」心惹かれる言葉である。鳥に関心を持つようになって、ことさら、初夏の北海道には、魅力を感じ、6月の声を聞くと、浮足立つ思いがする。今回、6月19日〜22日まで、大雪山を皮切りにサロベツを経て天売島を訪れる機会に恵まれた。天売島は、まだ一度も訪れたことがなく、ウトウの帰巣風景への期待は、大きかった。

初日の6月19日、羽田空港、千歳空港を経て、旭岳ロープウェー乗り場へと向かった。すでに時刻は、午後3時を回っており、鳥たちとの出会いへ少々不安がよぎっていたのは、正直な気持ちである。今年は、各地で初夏の訪れが遅く、旭岳は、かなり雪が残っていた。4年前の6月に旭岳を初めて訪れたとき、やはり雪が多く残っており、足元を気にしながら一心に第3展望台まで歩いた日のことが、懐かしく思い出される。

キバナシャクナゲ、チングルマ、エゾノツガザクラなど、大雪山の花を楽しみながら、お目当てのギンザンマシコの出現を待つ。ハイマツの下を歩いているというギンザンマシコ。運が良ければ、かなり近くで見ることが出来るのだが、この日は、少々手強かった。しかし、皆の念力が通じたのか、ハイマツのところに、あの真っ赤なギンザンマシコ♂と控えめな色合いの♀の姿が見えたとき、嬉しさが、じわじわと込み上げてきた。そして、これから始まる初夏の北海道での出会いに大きな希望が湧いてきたのも偽らざる気持ちである。

2010/6/22 サンコウチョウ

サンコウチョウ

♪フィチイ フィチイ ホイホイホイ♪薄暗い杉林の中から聞こえてくるのは、あの「月・日・星」の三光鳥。毎年、6月になると、サンコウチョウに会いたくなる。それは、あの神秘的な声によるものだろうか。それとも、長い尾をひらひらさせて薄暗い林の中を飛び回る天女のような舞い姿によるものだろうか。

今シーズンも、何とかサンコウチョウに会いたくて出掛けたが、声はすれども姿が見えず。杉の葉の陰に長い尾だけが見えた時、「ああ、やっとサンコウチョウ。」と思ってほっとした。そのサンコウチョウが、逆光の位置に一瞬とまってくれた。青いアイリング。それは、いつ出会ったときでも、心ときめかせてくれる色である。

2010/6/21 オオセッカ

オオセッカ

♪ジュクジュクジュク ♪ジュクジュクジュク 葦原のあちらからもこちらからも聞こえてくるオオセッカの声。この声を聞くと、夏の訪れを感じる。♪チョチリ チョチリ チョチリ。葦原を飛び立ったオオセッカは、鳴きながらディスプレイ飛行をする。この姿を何とかカメラに収めたいと思うのだが、私には至難の業。

とうとう諦めて、葦原の葦にとまったオオセッカを何とか撮影。これも風に揺れた葦が、ときどき手前にそよぎ、なかなか思うようには、いかなかった。コジュリン、セッカ、コヨシキリの姿も見えた葦原。葦原のコーラスは、一層にぎやかになってきた。

2010/6/20 ヨシゴイ

ヨシゴイ

6月の声を聞くと、気になる鳥のひとつがサンカノゴイ。そして沼を眺めながらサンカノゴイの出現を土手の上で待つ間、もうひとつのこの時期の鳥が楽しませてくれる。それはヨシゴイ。頸を伸ばしてヨシに擬態をする様が、何ともユーモラスである。

ヨシゴイは、漢字では、葦五位と書く。ヨシが生えているところに住んでいるので、ヨシゴイと呼ばれるという。五位は、ゴイサギのことであり、ゴイサギに体形が似ている種類を「ゴイ」と呼ぶという。サンカノゴイ、ミゾゴイなどがそうである。

例年、ヨシゴイの飛翔を何とか撮影しようと試みるが、どうもピンの甘い画像ばかりである。もうしばらくすれば、ヨシゴイの雛の姿も見られるかもしれない。涼しい日を選んで、また沼に出掛けてみよう。

2010/6/19 アカショウビン

アカショウビン

「火の鳥」と言われるアカショウビン。♪キョロロロロ キョロロロロ キョロロロロ♪神秘的なこの鳴き声を初めて耳にしたのは、裏磐梯である。6月の裏磐梯では、早朝、じっとしていると寒さが体にしみ込んでくるようだ。ブナ林で、しばらく待つと、天から降りそそぐように♪キョロロロロ キョロロロロ キョロロロロ♪の声が聞こえてきた。それは、まさに天使の声。あの瞬間の胸のときめきは、今でも決して忘れることはない。

今回、初夏の信州で思いがけず、♪キョロロロロ キョロロロロ キョロロロロ♪の声を聞いた。私は、このアカショウビンの声を聞いただけでも心が満ち足りるくらい、アカショウビンの声が好きである。そしてこのとき、さらに思いがけずアカショウビンの姿まで見ることが出来たのだった。

6月14日から6月19日までの鳥たちを思い出の鳥たち初夏の信州 その2に掲載しました。

2010/6/18 コムクドリ

コムクドリ

コムクドリは、渡り途中、手賀沼湖畔にも立ち寄ってくれることがある。数年前、コムクドリは、案外、身近なところで見られるということを教えてくださった方があった。しかし、ずいぶん探しまわったのだが、見つけられず、この春、初めて手賀沼湖畔で出会う機会があった。

コムクドリ♀が、遅咲きの桜の花のところに来るのだが、あまりに近すぎて写真には、ならなかった。不思議なことに、桜の花のところにやってくるのは♀ばかりである。「桜の花には、コムクドリの雌がよく似合う。」ということだろうか?

初夏の信州では、コムクドリの雌が、結構サービス良く、何度も姿を見せてくれた。

2010/6/17 オオアカゲラの巣立ち雛ハチクマ

オオアカゲラに会いたい。今まで何度そう思い願ったことだろう。初夏の信州に行けば、会えるらしい。そう知りながら、なかなか一人で出掛ける勇気がなかった。今回、ツアーを利用して出掛けた信州で、オオアカゲラの子育て、さらには、巣立ち雛まで観察する機会が、巡って来ようとは!

到着早々、大きなカメラを構えたカメラマンの姿にいささか圧倒されながら、そのレンズの方向を目で追うと、白く皮の向けた樹木の小さな穴からオオアカゲラの雛とおぼしき姿が見えた。親鳥が、時折、虫を運んできて給餌する。今まで、HPやブログなどで何度となく見ていたオオアカゲラの給餌風景が、今、目の前で見られる。このときの嬉しさ、感動は、私の拙い言葉では表現出来ない。

さらに翌朝、この雛が無事に巣立ち、頼りなげに木にとまっている姿まで見ることが出来たのだ。「オオアカゲラ」。私にとって忘れ難い思い出の鳥のひとつとなった。

2010/6/16 アカゲラ

アカゲラ

アカゲラを見る機会は、今まで何度かあった。東京近郊の公園や森や林、軽井沢や裏磐梯や北海道などの旅先。その時見たアカゲラは、木をつついていたり、木を上っていく姿であった。私が初めてアカゲラに出会い、初めてアカゲラを撮影したのは、八千穂高原の山荘の庭である。木を上っていくアカゲラは、結構速くて撮影に苦労したあの日の思い出が懐かしい。

今回、初夏の信州で地上に降りて採餌するアカゲラをゆっくり観察する機会に恵まれた。5月も末というのに、このとき、ツグミもいたのには、少なからず驚いた。アカゲラは、草地のところに嘴を差し込み何やら虫をとっていた。熱心にかなり長い時間、その動作を続けていた。そのとき離れたところにアカハラが2羽いたが、1羽がアカゲラにかなり接近して思いがけずツーショットとなった。初夏の信州の思い出のひとこまである。

2010/6/15 ハチクマ

ハチクマ

ハチクマ。何とも不思議な名前である。ハチクマは、ミツバチ、スズメバチ類などの地下にある巣を掘り出して、その盤状の巣そのものと巣に入っている卵、幼虫、蜜で雛を育てる。と山渓名前図鑑「野鳥の名前」にある。ハチを好んで食べ、クマタカに似たタカだから「ハチクマ」と言われるという。

そのハチクマを初めて見たのは、5年前の10月、室蘭でのことである。渡り途中のハチクマが10月の青空を飛んでいく。比較的間近に見られたその姿は、ずいぶん大きくて圧倒されたものだった。

今回、初夏の信州でもハチクマに出会った。かなりの距離を歩いた後に、上空を飛ぶハチクマの姿を認めたとき、体に熱いものが流れるのを感じた。鳥との出会いは、いつも新鮮で嬉しいものである。

2010/6/14 コムクドリ♂

コムクドリ♂

「ムクドリ」。農耕地、川原、市街地などスズメ同様、いろいろなところで見かけるが、かなりの嫌われ者である。スズメは、スズメだけを撮影しているという人の話を聞くが、ムクドリに関しては、そのような話を私は知らない。

ところが、このムクドリに立った一文字、「コ」がつくだけで、コムクドリとなり、バーダーの見る目が変わってくる。それは、やはり鳥の風貌、色彩によるものであろうか。雄成鳥の上面は、金属光沢のある紫色、紺色、黒色で何とも上品な色合いである。

このコムクドリ♂の金属光沢のある色彩をファインダーに入れられたのは、2007年5月に飛島に行ったときのことである。コムクドリを見るのは、その時が初めてだったわけではないが、あの時、後ろ姿だったので、金属光沢のある上面がくっきりと浮かび上がり、美しく輝いて見えたように記憶する。

昨年の春には、リンゴの花にとまったコムクドリ♂を撮影する機会に恵まれ、今回の信州では、花はなかったが、水芭蕉の葉のところで見え隠れするコムクドリ♂の姿を楽しむことが出来た。

2010/6/13 ミソサザイ

ミソサザイ

日本で一番小さい鳥のひとつと言われるミソサザイ。小さな体に似ず、かなりボリュームのある声でさえずる。せせらぎの聞こえる山道を歩きながら、♪ピピピ チュイチュイ チョチョ チュリリリリ♪の声が聞こえてくると疲れも吹き飛んで急に元気になるから不思議だ。まだミソサザイの正体を知らないころ、一体この声の持ち主は、どんな姿なのだろう?と想像をめぐらし楽しんだものだった。

今回、初夏の信州で出会ったミソサザイは、一心に苔を集めていた。巣作りの準備である。あの小さな体のミソッチが、口いっぱいに苔を集めている姿は、胸打つものがあり、写真の構図を考えている余裕がなかった。あのミソサザイは、どんなマイホームを作ったのだろう?

6月8日から6月13日までの鳥たちを思い出の鳥たち初夏の信州 その1に掲載しました。

2010/6/12 キバシリ

キバシリ

キバシリに初めて出会ったのは、奥日光である。鳥に関心を持ち始めて、まだ日の浅いころ、無謀にもひとりでキバシリを探しに奥日光に出掛けた。ひとりで鳥を探すということが、どれほど大変なことか、当時の私には、考える余裕すらなかった。光徳牧場で降りて、鳥の声をたよりに歩き始めたが、よちよち歩きであった当時の私には、鳥の姿が目に入らない。セキレイらしい鳥が1羽、やっと視界に入った。帰りのバスの時間も気になり、とうとう成果のないままバス停で、ぼんやり待っていると、目の前の林にコゲラのような鳥が現れた。コゲラでも良いと必死にレンズを向ける。それが、何とキバシリであった。若葉の中でくるくると動き回るキバシリ。嬉しい出会いの瞬間であった。

その後、裏磐梯、北海道などでキバシリに出会う機会は、何度かあったが、あの日のように緑の中で撮影する機会には、恵まれない。今回、信州の高原で出会ったのは、キバシリの雛である。何とも可愛い姿で、必死に木を登っていく。この日の出会いも新鮮で忘れ難いものとなった。

2010/6/11 コサメビタキ

コサメビタキ

今回、5月の末に信州を訪れる機会に恵まれ、念願だった水芭蕉とリュウキンカの群落を十分味わうことが出来たのは、例年より、ほぼ2週間遅れという気象条件のお蔭である。5月の初めには、雪景色であったという信州。鳥たちもさぞ戸惑ったことだろう。

今回、コサメビタキが、営巣している姿を、かなり距離はあったが、2か所で見ることが出来た。コサメビタキのあの可愛らしい目が、スコープを通して視界に飛び込んできたとき、何とも言えない感慨が押し上げてくるのを感じた。コサメビタキは、渡り途中、近くの公園にも立ち寄ってくれる。しかし、信州や裏磐梯など高原で出会ったときのコサメビタキのあの目の輝きは、心を揺さぶるものがある。それは、確かな命を育む強い愛情から生まれるものであろうか。やがて雛が誕生し、巣立ちを迎えたとき、あの目の輝きは、どのようになるのだろう。

2010/6/10 サンショウクイ

サンショウクイ

♪ヒリリリヒリリリヒリリリ♪まるで鈴を鳴らしているような澄んだ声。サンショウクイの名前の由来は、山椒を食べて口の中がヒリヒリするような声で鳴くから「山椒喰」と命名。と山渓名前図鑑「野鳥の名前」にある。その声を初めて聞いたのは、近くの馴染みの公園。渡り途中に立ち寄ったサンショウクイが公園内の木々の間を鳴きながら飛んだ数年前のことである。

その後、裏磐梯、飛島、都市公園、そして昨年5月、信州でも出会った。今回、初夏の信州で、ほんの一瞬であったが、サンショウクイ2羽に出会った。あまりにも短い時間であったが、やはり出会いは嬉しいものである。裏磐梯で出会ったときも、そして今回標高1200mの高原で出会ったときも、サンショウクイの動きは、速く、撮影には苦戦する。これから繁殖に向けて2羽での行動であろう。確かな命が育まれるよう願ってやまない。

2010/6/9 オオアカゲラ

オオアカゲラ

「啄木鳥」この言葉には、不思議な響きがあり、心惹かれるものがある。♪緑の森陰に響く歌は、大工のキツツキさん、精出す歌。♪この歌に登場するキツツキは、アカゲラなのだろうか、それともアオゲラ?あるいは、一番身近なコゲラだろうか。ケラ(キツツキ)類のドラミングが、静まり返った林に響き渡るとき、その姿を想像し、胸弾む思いがする。

アカゲラには、今まで何度か出会う機会があった。東京近郊の公園、近くの林、旅先の森林など。コアカゲラには、北海道で出会った。しかしオオアカゲラとの出会いの機会は、今まで一度もなかった。奄美大島を訪れた時も、オーストンオオアカゲラの影をかすかに見たにすぎない。長い間夢であったオオアカゲラとの出会いは、案外、簡単であった。

夕方になると水芭蕉のところにクロツグミやアカハラが降りるという。今年は、寒さのために半月遅れという水芭蕉やリュウキンカを眺めながら、クロツグミやアカハラを待っていると、ドラミングが聞こえてきた。すぐ近くの木に姿が見えたのが、オオアカゲラである。あまりにあっけない出会いの瞬間であった。

2010/6/8 キビタキ

キビタキ

初夏の信州。水芭蕉が咲き、リュウキンカの黄色い花が、彩りを添える。そんな光景をずいぶん長い間夢見てきた。昨年、短い時間ではあったが、初夏の信州を訪れる機会があった。しかし、お天気にも恵まれず、滞在時間も短かったので、何とも心残りであった。ひとりで行くには、体力が少々心配であり、今回、某旅行社のツアーに思い切って参加することにした。「ハイキング」と名付けられた、その企画に少々躊躇したが、結果としては、人と鳥との出会いに恵まれ感謝の旅となった。その時出会った鳥たち、心に残る思い出の鳥たちを書き留めたいと思う。

春の粟島では、渡りの環境で出会った鳥たち。その鳥たちが、標高1200mのこの高原では、繁殖のための環境で見られる。その一つがキビタキ。今年は、例年より半月遅れという気象条件のため、私たちの訪れた5月末は、ちょうど水芭蕉が見ごろであった。リュウキンカやスミレ、カタクリなども見られ、花と鳥と新緑を十分に味わうことが出来た。その新緑の中に、キビタキの鮮やかな黄色は、何とも美しい。渡りの環境で出会ったキビタキとは、また違った美しさを見せ楽しませてくれた。

2010/6/7 オナガ

オナガ

私の住む町のいわゆる「市の鳥」は、「オナガ」である。平成6年11月に制定されたそうだ。市の案内には、翼と尾が美しい灰青色をした里の鳥とうたっている。♪ギューイと鳴き、その声は、決して綺麗とは言い難い。関東では、ごくごくありふれた鳥で、葛西臨海公園や水元公園など都市公園でも見かけることが多い。住まいの近くでも、良く見かけ、その騒がしい声で目覚める朝もあったのに、今年は、シーンと静まり返っている。オナガの声を聞かない。オナガの姿を見かけない。何だか寂しい限りである。

そのオナガに思いがけず出会う機会に恵まれた。ヒラヒラヒラヒラ。オナガが飛んでいく姿は、美しい。ちょっと小高くなった、その場所は、まるで見晴らし台。だんだん鳥の姿が少なくなっている昨今、せめて「市の鳥」である「オナガ」は、絶えることがないようにと願っている。

2010/6/6 サンカノゴイ

サンカノゴイ

6月の声を聞くと、気になる鳥がいる。そのひとつが、サンカノゴイ。繁殖のために、近くの沼に飛来すると聞く。沼の葦原から飛び立ち、早苗の揺れる田んぼに餌取りに出かけるサンカノゴイ。ちょっとグロテスクな鳥だが、なかなかの人気者である。今シーズンは、寒さのために稲の苗の生育が遅く、サンカノゴイが田んぼに降りても、姿が良く見える。土手の上から、サンカノゴイの降りた田んぼを眺めても、十分に姿を確認することが出来る。

昨日、久しぶりに沼に出かけた。土手の上には、カメラやスコープを構えた方々が、ずらり。しばらくの間、♪ギョギョシギョギョシのオオヨシキリを撮影。ヨシゴイの飛翔にも挑戦するが、例年通り、なかなかうまくいかない。しばらくすると知人のNさんの声が聞こえた。「サンカノゴイがいるよ。」という合図である。Nさんは、沼に足繁く通い、サンカノゴイの生態についても精通されている。何と目の前の葦原にサンカノゴイの姿が見えたのだ。今までこんな経験は一度もない。「今、飛び立つからね。」とNさんは、優しく教えてくださった。お蔭で私でも飛び立ちのシーンが撮影できた。感謝!

2010/6/5 カケス

カケス

ドングリが大好きというカケス。鳴き声は、お世辞にも綺麗とは言えないが、カケスの羽模様は美しい。英名のJayは、まさに「ジェー」という鳴き声からきているのであろう。山渓名前図鑑「野鳥の名前」にカケスの語源は中西悟堂「野鳥の名」にあるように、その鳴き声による。とある。鳴き声から地方名「ガース」「ガエス」「カヤス」などの方言があり、それが和名の由来になっているようだ。

今回訪れた高原で、早朝の探鳥を終え、鳥との出会いの少なさにがっかりして山荘に戻ると、目の前の木にさっと飛んできた鳥がいた。鳥の大きさから、ツツドリとかカッコウかもしれないと思った。葉の陰に隠れて見えなかった姿が、ようやく見えたときカケスとわかった。いたずらっ子のようなカケスの顔。久しぶりの出会いであった。

5月31日から6月5日までの鳥たちを思い出の鳥たち八千穂高原に掲載しました。

2010/6/4 ミソサザイ

ミソサザイ

♪ピピピ チュイチュイ チョチョ チュリリリリ 高原の朝、流れに沿って進むと元気いっぱいミソサザイの声が樹間を響き渡る。日本では、もっとも小さい鳥の一つといわれるが、小さな体のわりには、大きな声で、短い尾を上げてさえずる。

冬になると近くの公園で見かけることもあるミソサザイ。でも、その時は、♪チッ チッという地鳴きである。渓流や沢沿いに尾羽を立てて、腰を左右に振りながら歩く姿は、何とも可愛らしい。♪ピピピ チュイチュイ チョチョ チュリリリリ 山道を歩きながら、この声を聞くと不思議と体に力が湧いてくる。白樺林の美しい高原で出会ったミソサザイ。この日もミソサザイの声に大いに元気づけられたものだった。

2010/6/3 ウソ

ウソ

鳥を愛し、自然を愛する。鳥の生態に関心を持ち、鳥の住む環境を知る。鳥との適度な距離を保ちながら探鳥し撮影も楽しむ。そのお仲間に加えていただき今回の高原の旅が実現した。この高原を訪れるのは、今回が二度目である。初めて訪れたとき、まだ鳥に関心を持ち始めたばかりであった。遠い遠いオオルリをファインダーに入れていただきシャッターを押した、あの日の感激が鮮やかによみがえってくる。

前回も泊った山荘の庭には、コガラ、ヤマガラ、イカル、アカゲラ、ウソなどが餌台に遊びにやってくる。窓ガラス越しに見るコガラは、あまりに近すぎて撮影は困難である。私がウソを初めて見たのもアカゲラを初めて撮影したのも、この山荘の庭であった。

この冬、ウソとの出会いが全くなかったが、今回、ウソ♂2羽を比較的間近に見ることが出来た。その折々、鳥との出会いは、いつも新鮮で嬉しいものである。

2010/6/2 カワガラス

カワガラス

渓流に生息するカワガラス。今まで何度か出会ったことがある。一番ゆっくり観察出来たのは、奥日光の湯滝付近である。そのとき、カワガラスのさえずりも初めて聞いた。シマフクロウの撮影で羅臼を訪れたとき、宿の前を流れる川でもカワガラスに出会った。ひとりで行った軽井沢。シーンと静まり返った雪の道を鳥との出会いを期待して一人歩いた。とうとう鳥には出会わず、川のところに辿り着くと、カワガラスがさっと飛び去った。あのとき、ヤマセミにも出会った。

今回訪れた高原では、カワガラスの幼鳥に出会った。お腹のところが、点・点・点とホシガラスを連想するような色合いで、可愛らしいという印象があった。まさに渓流で出会ったカワガラス。その奥では、ルリビタキも飛んでいた。静かな高原の朝のひとこまである。

2010/6/1 マミジロ

マミジロ

標高1600m。日本一と謳われる白樺林は、北八ヶ岳の東麓に植生している。今、その白樺林に赤紫色のトウゴクミツバツツジが、見事に調和し、大自然の美しさを堪能することが出来る。朝露に濡れたコメツガも美しかった。

水の流れる音も心地よい高原の朝。思いがけない出会いが待っていた。前日の夕食前、話題にのぼっていたマミジロ。私の鳥見歴の中では、幻の鳥となっていたマミジロが、何と目の前に現れたのである。以前、裏磐梯で、目の前を横切ってすっと姿を消したのが、多分マミジロではなかっただろうか。あの時の残念な思いが、長い間、自分の胸の中でくすぶり続けていた。

アカハラやシロハラと同じように落ち葉の中をつついて採餌するマミジロ。この朝の出会いは、鮮烈で忘れることがないであろう。ただ残念だったのは、木の枝にとまった瞬間が二度あったのに、シャッターを押すことが出来なかったことである。ミソサザイのさえずりも聞こえる高原の朝。嬉しく心に残る出会いであった。

◇◇ これまでの 『とりどり日記』 ◇◇

2005年 1 - 2 3 - 4 5 - 6 7 - 8 9 - 10 11 - 12
2006年 1 - 2 3 - 4 5 - 6 7 - 8 9 - 10 11 - 12
2007年 1 - 2 3 - 4 5 - 6 7 - 8 9 - 10 11 - 12
2008年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2009年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2010年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12